BSE問題 概要

BSE問題

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/11/27 06:01 UTC 版)

概要

牛海綿状脳症 (BSE) は、伝達性海綿状脳症 (TSE) の一種で、に見られる疫病である。BSEは俗に「狂牛病」 (mad cow disease) と呼ばれることもある。

BSE問題は主に牛肉に関してのみクローズアップされる傾向があるが、ヤギ類のTSEであるスクレイピープリオンの起源とされる。異常プリオンは高温・高圧でないと変化せず、通常の調理方法では滅菌できないため、焼却オートクレーブでの滅菌処理を必要とする。したがって、BSEの原因となる異常プリオンが蓄積される『特定危険部位 (SRM) 』の確実な除去が必要である。

BSEは、主に牛などを肥育するための飼料に含まれていた肉骨粉が、異常プリオンというタンパク質に汚染されていたために水平感染したことが確認されている。同様に異常プリオンによって引き起こされる、ヒトの伝達性海綿状脳症 (TSE) であるクロイツフェルト・ヤコブ病との関連性も確認されており、特定危険部位の食品への混入や食肉の異常プリオン汚染を防ぐ対策が講じられている。

食肉への異常プリオン混入に関しては、異常プリオンが蓄積されやすい特定危険部位を除去することによって防ぐことができる。また肉骨粉の使用・混入を禁止するなど、適切な飼料規制(フィードバン)によってもBSEの発生を防止できるため、すでに世界各国で実施されている。

これらの対策の結果、BSEが原因とされるヒトのプリオン病である、変異型クロイツフェルト・ヤコブ病 (vCJD) の発見数は減少した。しかし潜伏期間が長いvCJDは、発見から感染経路特定が困難であることもあり、長期の監視が必要であるというプリオン病専門家からの指摘もある。

なお、日本産のウシにおいては、2009年1月に北海道でBSE患畜(2000年生)が発見されたのを最後に、BSE患畜の発生は見られなくなった。北海道以外で生まれた牛では、2004年2月に神奈川県でBSE陽性とされた乳用牛(1996年生)が最後であった。


  1. ^ 食肉偽装事件で有罪の元社長の「天下り」~福岡食肉市場(株)子会社へ NET IB NEWS、データ・マックス、2012年7月5日、2018年10月5日閲覧
  2. ^ フジチク元会長、懲役8年確定へ 牛肉偽装、上告を棄却 日本経済新聞電子版、2010年10月14日付、2023年2月5日閲覧。
  3. ^ a b c 【BSE問題】愛知でも牛肉偽装か 「フジチク」会長を聴取 朝日新聞、2004年10月15日付
  4. ^ a b c 【BSE問題】輸入肉193トンはフジチク元専務が買い付け 牛肉偽装 朝日新聞、2004年11月12日付
  5. ^ 国立国会図書館農林環境課(樋口修). “米国産牛肉輸入問題とBSE”. 国立国会図書館. 2019年6月3日閲覧。
  6. ^ 読売新聞、2013年6月29日付、37面
  7. ^ 米国産牛肉の対日輸出に関するマイク・ジョハンズ農務長官の声明”. 駐日アメリカ合衆国大使館 (2006年1月20日). 2006年4月25日時点のオリジナルよりアーカイブ。2015年3月10日閲覧。
  8. ^ STATEMENT BY AGRICULTURE SECRETARY MIKE JOHANNS REGARDING U.S. BEEF EXPORTS TO JAPAN(同上)
  9. ^ 農水省プレスリリース2012年12月8日)[1]
  10. ^ 産経ニュース(2013年2月1日)[2]
  11. ^ 農業情報研究所 2004年4月レポート






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