4-ニトロアニリン 4-ニトロアニリンの概要

4-ニトロアニリン

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/02/27 00:06 UTC 版)

4-ニトロアニリン
識別情報
CAS登録番号 100-01-6
特性
化学式 C6H6N2O2
モル質量 138.12 g/mol
示性式 C6H4(NO2)NH2
外観 黄色もしくは黄赤色粉末
密度 1.437 g/mL, 固体
融点

146-149 °C(lit.)

沸点

332 °C(分解)[1]

への溶解度 <0.1 mg/mL at 21 °C
危険性
安全データシート(外部リンク) [1]
EU分類 hazchem T; hazchem N
主な危険性 毒性
NFPA 704
1
2
0
Rフレーズ R23/24/25; R33; R52/53
Sフレーズ S28; S36/37; S45; S61
引火点 199 °C
半数致死量 LD50 750mg/kg(ラット)[1]
関連する物質
関連物質 2-ニトロアニリン
3-ニトロアニリン
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。

合成

下に 4-ニトロアニリンをアニリンから得る合成経路を示す。鍵となる段階はアニリン (1) からアセチル保護したアセトアニリド (2) のアミノ基のパラ位を、混酸によりニトロ化する芳香族求核置換反応である。このとき少量生じる副生物の 2-ニトロアセトアニリド (3a) を精製で除去し 4-ニトロアセトアニリド (3b) を得て、引き続きアセチル基を加水分解で脱保護して 4-ニトロアニリン (4b) を得る[2]

アニリンを直接ニトロ化しようとすると酸化による分解やアニリニウム塩形成による配向性の変化が起こる。これを防ぐためにアセチル保護が施される。

用途

4-ニトロアニリンは最初のアゾ色素として知られるパラレッドを合成する原料となる[3]

毒性

4-ニトロアニリンは被曝、誤飲、吸収によって毒性を示すため、取り扱いには注意を要する。ラットにおける半数致死量 (LD50、経口) は 750 mg/kg とする報告がある。強い甘味があるため第二次世界大戦後の混乱期には砂糖の代用品として使用され、多くの中毒者を生んだ。応急処置にはブドウ糖ビタミンCメチレンブルーの静脈注射が有効である[4]。特に水生生物にとって危険であり、汚染物質として洩れた場合に長期にわたる影響を残す可能性がある。

出典

[脚注の使い方]

  1. ^ a b 『窒素酸化物の事典』p364
  2. ^ Mohrig, J. R.; Morrill, T. C.; Hammond, C. N.; Neckers, D. C. "Synthesis 5: Synthesis of the Dye Para Red from Aniline." Experimental Organic Chemistry. Freeman: New York, NY, 1997; pp 456-467.
  3. ^ Williamson, K. L. Macroscale and Microscale Organic Experiments, Fourth Edition. Houghton-Mifflin, 2002. ISBN 0-618-19702-8
  4. ^ 『窒素酸化物の事典』p379


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