香港上海銀行・香港本店ビル 特徴

香港上海銀行・香港本店ビル

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/07/17 11:07 UTC 版)

特徴

香港上海銀行の3代目本店ビル
香港上海銀行・香港本店ビル
夜の様子

香港上海銀行の本店は、現在の建物が建つ前にも1865年以来この地に存在している。この土地は中環(Central)の女王の名前を冠した通り「皇后大道中(Queen's Road Central)」の1号という場所であり、イギリス統治時代香港の真ん真ん中を意味した(現在でも香港の中心地であることに変わりはない)。中環地区が現在のように香港の政治経済交通の要衝になったのは、香港政庁の政府合同庁舎(中區政府合署)や総督府といった中枢施設が設置されたことと、香港上海銀行の本店が所在することが大きい。特に1933年から1935年にかけて建てられた先代の3代目本店ビルは、高さ70mと当時極東で最も高く、シカゴ派の影響を受けたものであった。1941年末から1945年までの日本軍による統治時代には香港占領地総督部の本部が置かれた。戦後、1980年代初頭に現在の建物に建て替えられるまで使われた。

1983年にイギリスの建築家、ノーマン・フォスターが香港上海銀行からの依頼を受け設計、建設を開始した。設計の際の条件として完成後何十年を経ても陳腐化しない建物というものもあったとされる。1985年に竣工し、高さ178.8m、44階建てで、完成当時は中環地区で最も高いビルとなった。この建物は現在フォスターの最も代表的な作品としても知られている。

香港上海銀行新社屋には莫大な建設費が投入されたが、同時に建設当時の考えられる最先端の建築技術をふんだんに使用している。超高層ビルとしては世界初となる吊り構造を採用した(そのため、このビルの床に立つと時々揺れるような感覚に陥ることがある)。ガラスを多く利用している点では、現在のミニマリズム建築にも通じる。自然を多く取り込めるようにするなどの点は、エコロジーを目標とした超高層ビルとして後にフォスターが設計する事になる、ドイツフランクフルトに建設され1997年に完成したコメルツバンクコメルツ銀行タワー(Commerzbank Tower:300.1m)へと繋がる建築思想をもうかがえる。更に香港らしいエピソードとして、建物を設計する際には風水師による指南も行われたともいわれる。

香港では建物側面の鉄骨の組み方の特徴から「蟹ビル」という愛称で呼ばれることがある。

この建物にインスパイアされた建築として、1991年に竣工した東京都文京区本郷にあるフォスター設計のセンチュリータワーがある。

グループの持ち株会社HSBCホールディングスは、1991年に成立した当初この建物を本拠としたが、1993年にロンドンに拠点を移し、現在は2002年ドックランズ地区にフォスターの設計により完成したエイト・カナダ・スクウェア8 Canada Square:199.5m)を総本部としている。








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