首長竜 形態

首長竜

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/10/11 14:05 UTC 版)

形態

一部の種、例えばエラスモサウルスの仲間では(頸)が体より長い。その他の種でもを含めた長さと同じくらいのものが多かった。四は完全に状に変化しており、尾は短く、水生生活に適応していた。軟体部が保存された化石から、尾鰭の証拠が見つかっている種もいる[2][3][4][5]。当時の水中の生態系での頂点に君臨していたと考えられる。 ほかの首の長い生き物としてはマメンキサウルスタニストロフェウスなどがいるが、マメンキサウルスの頸椎19個、タニストロフェウスの頸椎9個に対し、エラスモサウルス科の仲間の頸椎は、最も少ないもので44個、最大で79個と生物史上最多の頸椎を持っていた[6]。一方首の短いプリオサウルス類のシモレステスなどは頭蓋の長さが3メートル以上もあるが頸椎は13個しかない[7]。なお現生の首の長い生き物であるキリンの頸椎は他の哺乳類と同じく7個である。

名称の語源

「クビナガリュウ(首長竜)」という日本語の名称は、フタバスズキリュウの発見に伴って長谷川善和が作り命名した物である。それも、意訳で作られた造語である。学名のPlesiosauriaには「トカゲに似た物」という意味があるが、直訳しても意味が通じにくかったことから、この日本語訳の名称がつけられた。過去には、「長頸竜」「蛇頸竜」などとも呼ばれていたが統一されてすらいなかった上、非学術の範疇では恐竜との区別さえ曖昧であったがために、新たに名称を作る必要があった。この意訳によって、プリオサウルス類(Pliosaurus、プレシオサウルスよりもトカゲに似た物という意味)は「首が短い首長竜」と呼ばれるようになった。

生態

出産

「首長竜はに上がって産卵したか」「そもそも首長竜は陸に上がることができたか」という疑問について賛否が分かれている。呼吸をする海棲爬虫類が卵を産む場合には、ウミガメやエラブウミヘビ科のウミヘビのように陸に上がらなければならず、そうでなければ海面で幼体を産む必要がある。首長竜の骨格構造では陸に上がることは不可能とする見解があるが、反論として陸に上がることは可能だったとする説もある。

魚竜の場合、胎児を持つ化石出産中に死亡した化石が発見されており、最初から予想されていた胎生であることは既に証明されているが、首長竜の場合は卵の化石はもとより、魚竜のように胎児を持つ化石や出産中の化石も長らく未発見であり、結論が出せない状況にあった。しかし、アメリカの研究チームが1987年に発掘された首長竜の一種であるプレシオサウルス類の化石を分析したところ、体内に1匹の子供の骨格が残っていることが2011年に判明した。これにより、首長竜は胎生であり、陸に上がって産卵する卵生ではなかったことが証明されたと研究チームは結論付けている。ちなみに子供の体長は約1.5メートルで、親の体長(約4.7メートル)と比べて非常に大きく、しかも子供はまだ成長過程にあったと見られ、最終的に子供は親の体長の4割を超える(約2メートル)まで成長してから出産された可能性があると見られている。このように、首長竜は大型の子供を1度に1匹だけ産むタイプの生物であったと見られることから、首長竜は同じタイプのクジラと同じように群れを作って手厚い子育てをしていた可能性もあると研究チームは語っている[8]

食性

首の長いプレシオサウルス類の歯は扁平な円錐状で、華奢で、強くものを噛む形状ではなく、歯の先端の磨耗もわずかしかない。硬いものを食すのに適していないため、イカやタコなどの軟体動物を主に食べていたと考えられる[9]。一方首の短いプリオサウルス類の歯は、先端が鋭く根元が太い。強力な顎で、サメや大型のイカなどを餌にしていた[1]。また、小型の首長竜類や魚竜類を食べていた可能性もあるとされている[10]。 主に魚食性であったが、アンモナイトオウムガイ等も食べていた事、また、他の海棲爬虫類や海面近くに飛来したプテラノドンなどの翼竜や陸上の恐竜を捕食したことが近年[いつ?]の研究で分かっている。[要出典]


  1. ^ a b 『カラーイラストで見る恐竜・先史時代の動物百科』ダグラス・パーマー、原書房、2015年、p.90
  2. ^ Dames, W (1895). “Die Plesiosaurier der Süddeutschen Liasformation”. Abhandlungen der Königlich Preussischen Akademie der Wissenschaften zu Berlin 1895: 1–81. 
  3. ^ Wilhelm, B.C., 2010, Novel anatomy of cryptoclidid plesiosaurs with comments on axial locomotion. Ph.D thesis, Marshall University, Huntington, WV. USA
  4. ^ Wilhelm, B.C.; O'Keefe, F. (2010). “A new partial skeleton of Pantosaurus striatus, a cryptocleidoid Plesiosaur from the Upper Jurassic Sundance Formation of Wyoming”. Journal of Vertebrate Paleontology 30 (6): 1736–1742. doi:10.1080/02724634.2010.521217. https://mds.marshall.edu/bio_sciences_faculty/58. 
  5. ^ Smith, Adam S. (2013). “Morphology of the caudal vertebrae in Rhomaleosaurus zetlandicus and a review of the evidence for a tail fin in Plesiosauria”. Paludicola 9 (3): 144–158. 
  6. ^ 『翼竜の謎』金子隆一ほか、二見書房、1995年、p.151
  7. ^ 『「知」のビジュアル百科33 太古の生物図鑑』ウイリアム・リンゼー、あすなろ書房、2006年、p.39
  8. ^ “首長竜:卵を産まず 赤ちゃん、胎内でスクスク 米研究チームが化石を分析”. 毎日jp(毎日新聞. (2011年8月12日). http://mainichi.jp/select/science/news/20110812ddm012040031000c.html 2011年8月12日閲覧。 [リンク切れ]
  9. ^ 『フタバスズキリュウ発掘物語』長谷川善和、化学同人、2008年、p.117-118
  10. ^ 『生物ミステリーPRO ジュラ紀の生物』土屋健、技術評論社、2015年、p.44


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