青森ねぶた 賞

青森ねぶた

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/04/04 05:20 UTC 版)

昭和20年代より、ねぶたを豪華絢爛にすべく審査制度が設けられた(古くは戦前にも審査は存在した模様だが現存する資料は確認できていない)。当初は「優秀」「優良」「佳良」などの名称であったが、審査に偏りがあるなどの理由から、1960年からは中止された。しかし審査を廃止した結果制作の手を抜くねぶた師が出るようになり、2年後の1962年より青森ねぶたの最優秀作を決める「田村麿賞」(現「ねぶた大賞」)が制定された。その後、「田村麿賞」に次ぐ賞がいくつか設けられ、また製作者賞(制定当時の表記)などの部門賞も設けられた。ただし、1964年のみ田村麿賞を受賞したねぶたが無い。祭り4日目の運行終了後に審査の集計が行われ、夜11時ごろに各賞が決定、翌日の表彰式で受賞した団体に賞の額が贈られ、ねぶたに飾り付けられる。なお、額の形状は、黒い枠の上段に「贈」、右上に「祝 ねぶた祭」、左上に団体名、左下に「青森ねぶた祭実行委員会」、下段にその年の西暦が記されている。

審査方法(2018年現在)
基本的には点数制で、ねぶた本体の点数に運行、ハネト、囃子などの点数を加算して順位が決まる。しかしそのため、ねぶた本体の順位と総合点の順位が異なる場合があり、これによってねぶた本体の評価と総合点での審査結果で逆転現象が起こることもある。そのため様々なねぶたに各賞が分散することもあれば、一度に多数の賞を取るねぶたが出ることもある。集計後、審査委員の採決によって点数が調整されることもある。

賞一覧(2019年現在)

  • ねぶた大賞(1995年〜)
最高賞。1962年〜1994年までは「田村麿賞」(詳しくは「ねぶた大賞」を参照)。最も大きい額を用いる。背景は金色。
  • 知事賞(1971年〜)
第2位の賞。背景はオレンジ色。
  • 市長賞(1959年(1990年)〜)
かつては参加賞の位置づけであったが、1990年より第3位の賞となった。これに合わせるようにそれまで年賞と同じ小型だった額が大型化された。背景は緑色(参加賞時代は薄紫の背景に赤の文字)。
  • 商工会議所会頭賞(1990年〜)
第4位の賞。背景は空色。
  • 観光コンベンション協会会長賞(1994年〜)
第5位の賞。2000年までは「観光協会会長賞」。背景はピンク色。
  • 囃子賞(1972年〜)
最も良い囃子を奏でる団体に贈られる賞。背景は赤色。
  • 運行・跳人賞
運行と跳人が最も良い団体に贈られる賞。かつては運行賞と跳人賞という別々の賞だった。背景は薄いオレンジ色。
  • 最優秀制作者賞(2005年〜)
その年の最も良いねぶたを作った制作者(ねぶた師)に贈られる賞。背景は銀色。
  • 優秀制作者賞(2007年〜)
最優秀制作者賞に準ずるねぶたを制作したねぶた師に贈られる。原則として2台に贈られる賞だが、2012年は審査で同点のねぶたが存在したため3台に贈られた。額は贈られない。
  • 海上運行賞(1997年〜2000年、2002年〜)
最終日に開催される海上運行に選出されたねぶたに贈られる賞。かつては海上運行に出陣できる全てのねぶたに上位の賞と伏せて贈られており、その後、数年間賞に選ばれていない団体へと贈られる賞となった(2003年からは推薦という形となり、厳密に言えば賞という位置付けではない)。海上運行が7台となった2008年からは、大賞からの上位5台は海上運行の対象ながら贈られず、上記各賞を受賞していない2台に単独で贈られた。2014年は海上運行が6台になったため再び1台に贈られるようになった。海をイメージしているのか背景は青色。
  • 年賞
全てのねぶたが獲得する賞。初出陣の年を一年賞とし、それから何年出ているかが記されている。2018年現在最長は「日通」と「に組」の七十二年賞。参加賞のような位置付けであり、最も小型の額を用いる。背景は黄色。

ねぶた大賞

ねぶた本体・運行はねと・囃子の総合評価で最優秀のねぶた運営団体には「(令和○年)ねぶた大賞」が贈られる[24]

またこの賞は1962年より「田村麿賞」の名称で制定されたが、坂上田村麻呂は東北地方からみると征服者であり逆賊ではないか[25]との見解により「賞名に征服者の名前を冠しているのはおかしい」「史実の坂上田村麻呂は青森までは来ていない」[26]との批判を受け、各界各層の意見や世論を踏まえた結果として1995年より現在の賞名に変更された。2012年時点での通算最多受賞記録は北村隆の12回。連続受賞記録は佐藤伝蔵の4年が最高(翌年伝蔵は他界)。

かつて設けられていた賞

  • 奨励賞(1967年〜1970年)
当時はこれと田村麿賞だけだったことから恐らく現在の知事賞に相当する賞。1台だけに贈られた年と2台に贈られた年があった。
  • 制作賞(1979年〜1993年、2001年〜2004年)
1979年、80年はねぶた本体のみで最も優れた団体に贈られる賞として、1981年〜1989年は3位の団体に1990年〜1993年は5位の団体に贈られる賞あった。2001年に復活したが、その年の最も良いねぶたを作った制作者(ねぶた師)に贈られる賞としてであった。背景は青色(黄緑色、黄色、藤色の年もあった)。制定当時は製作者賞。2005年に前述の「最優秀制作者賞」に名称変更した。
  • 青森公立大学開学記念賞(1993年)
背景は水色
  • 商工会議所百周年記念賞(1993年)
背景は黄色
  • 運行賞
運行が最も良い団体に送られる賞。6日間を皆勤したねぶたがとることが多かった。跳人賞と統合された。背景は青色。
  • 跳人賞
跳人が最も良い団体に贈られる賞。運行賞と統合された。背景は薄ピンク色。

  1. ^ a b 日本銀行仙台支店他「東北の主要夏祭の動向」、2015年9月16日、1頁。
  2. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t u v w x y z aa ab ac ad ae af ag 阿南透「条例制定とその後の青森ねぶた祭」『江戸川大学紀要』第25巻、江戸川大学、2015年3月15日、1-12頁。 
  3. ^ 東北三大祭り 観客分散、観覧席削減…感染対策に腐心”. 産経ニュース (2022年7月30日). 2022年7月30日閲覧。
  4. ^ a b c d e f g h i j k l m 清川 繁人「条例制定とその後の青森ねぶた祭」『青森大学付属総合研究所紀要』第24巻第2号、青森大学付属総合研究所、2023年、13-20頁。 
  5. ^ 青い森鉄道発行「駅周辺散策マップ 浅虫温泉駅」
  6. ^ 提言書米子青年会議所
  7. ^ 8月の「青森ねぶた祭」開催中止 地元経済への影響懸念”. 共同通信 (2020年4月8日). 2020年4月8日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年11月20日閲覧。
  8. ^ 青森ねぶた、2年連続開催断念”. Web東奥. 東奥日報社 (2021年6月2日). 2021年6月2日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年11月20日閲覧。
  9. ^ “青森ねぶた祭、3年ぶり開幕 「ラッセラー」で踊るハネトは抽選制に”. 朝日新聞デジタル (朝日新聞社). (2022年8月2日). https://www.asahi.com/articles/ASQ826F73Q81ULUC011.html 2022年11月20日閲覧。 
  10. ^ 函館市史通説編4 p677 - 691
  11. ^ 神田明神広報「ねぶたの吉良上野介がネオンで成仏する⁉ 神田明神で開催中の他にはない「体験型展覧会」へ」(神田明神・清水祥彦宮司)・吉良義央ねぶた(ねぶた師・北村春一制作)2019年12月28日
  12. ^ a b c d 県立図書館だより 青森県立図書館報/第27号”. 青森県立図書館. 2023年8月10日閲覧。
  13. ^ ねぶた工房 龍星
  14. ^ 竹浪比呂央ねぶた研究所
  15. ^ ねぶた画廊
  16. ^ ねぶた師 北村隆 公式ウェブサイト
  17. ^ 佞武多倶楽部どっとこむ 鹿内一生
  18. ^ 佞武多倶楽部どっとこむ 川村心生
  19. ^ 佞武多倶楽部どっとこむ 穐元鴻生
  20. ^ 佞武多倶楽部どっとこむ 白鳥芳生
  21. ^ 佞武多倶楽部どっとこむ 穐元和生
  22. ^ 佞武多倶楽部どっとこむ 外崎白鴻
  23. ^ 佞武多倶楽部どっとこむ
  24. ^ 各賞紹介(青森ねぶた祭オフィシャルサイト)
  25. ^ 東北の基層文化を探る③ 田村麻呂伝説と蝦夷復権”. あきた森づくり活動サポートセンター. 2019年9月19日閲覧。
  26. ^ 時の言葉「坂上田村麻呂」 青森地域社会研究所 (PDF)
  27. ^ 引用:[1]
  28. ^ 郷土の音楽:青森県”. 教育芸術社. 2023年8月9日閲覧。
  29. ^ あすとろん第35号”. NPO法人花山星空ネットワーク (2016年). 2023年8月9日閲覧。
  30. ^ a b c 青森ねぶた祭、暴力動画が大拡散。県GDPの約1%を稼ぐ一大行事だけに地元青年会議所は幕引きに躍起も被害者の無抵抗ぶりに「暴力が常習化?」との憶測も | マネーボイス
  31. ^ 青森ねぶた祭でスタッフが「曳手」6人を殴打、動画拡散…標識にぶつかり「気合を入れ直そうと」 読売新聞
  32. ^ 青森市長「非常に残念」/ねぶた祭暴力問題 Web東奥
  33. ^ 「青森ねぶた祭」“暴力動画”の事実関係を説明「気合を入れ直すという気持ちで」 青森青年会議所が謝罪 ORICON NEWS
  34. ^ 青森ねぶた祭で引き手をたたく「気合入れ直すため」 運行団体が謝罪 朝日新聞デジタル
  35. ^ 青森ねぶた祭 クライマックスで曳手を“殴打” 動画SNSで拡散 テレ朝NEWS
  36. ^ 総合で放送できないときはNHK Eテレで放送(青森県内のみ)しかし、『NHK手話ニュース』が放送時間内にある場合、中継は一旦中断。
    例:2016年、総合ではオリンピック中継、Eテレでは19:55から20:00の5分間手話ニュースを放送。
  37. ^ 前述のように当初総合で放送できないためにEテレで放送予定であったとしても、高校野球中継の延長で放送できなくなった場合は総合サブで放送し、Eテレで放送できるようになったらEテレに切り替えて放送されている。
    例:2018年、18:55から20:45までEテレで予定されていたが、18:55から19:00は総合メイン、18:59から19:50は総合サブ、19:35から20:45はEテレといった変則的な編成になった。
    15分だけ総合サブとEテレで同時放送したのは19:30までにEテレの高校野球中継が終わらず、19:30から20:43は総合で原爆の日のドラマを放送していたためで途中でメインとの切り替え・統合ができなかったためである。ちなみに19:50から20:43の総合サブはフィラー番組で対応したがEPG上では青森ねぶた祭りのままになっていた。
  38. ^ 2010年まではアナログでもサイマル放送。
  39. ^ 2018年・2019年BS日テレ2022年BS11
  40. ^ 生中継!青森ねぶた祭 ほとばしれ!北国の魂(リンク切れ、サイトは2018年のもの)
  41. ^ “ねぶた祭、最古の写真か 127年前に撮影”. 毎日新聞. (2018年7月31日). https://mainichi.jp/articles/20180731/k00/00e/040/169000c#cxrecs_s 2018年7月31日閲覧。 






固有名詞の分類


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「青森ねぶた」の関連用語

青森ねぶたのお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



青森ねぶたのページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアの青森ねぶた (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。

©2024 GRAS Group, Inc.RSS