長期と短期 長期と短期の概要

長期と短期

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/05/02 06:03 UTC 版)

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長期

長期において、企業は生産水準を(期待)利潤(あるいは損失)、土地労働力資本財起業などの要素に応じて、その経済の長期平均費用に合うように変化させる。単純化のため工場が固定生産要素しか持たないと考えると、一般的に、企業は長期的に次のような変化を起こす。

  • (期待)利潤に応じて産業に参入する
  • 損失に応じて産業から退出する
  • 利潤に応じて工場を増やす
  • 損失に応じて工場を減らす

ミクロ経済学のモデルでは、この「長期」という概念が長期平均費用曲線英語版(Long-run average cost curve, LRAC)に関連しており、企業はそれぞれの長期産出量に対して平均費用(1単位毎の費用)を最小化するであろうという事実を反映している。長期限界費用英語版(Long-run marginal cost, LRMC)は固定資本を含めた生産要素を変化させ追加的な産出に対する費用を最小にしようとしたときの追加的なサービス (経済学)英語版の1単位に対する費用である[注釈 1]。長期において、長期限界費用に等しい価格が設定されることで効率的な資源配分が達成される。「長期費用」の概念は企業がその産業において生産を続けるか退出するかの決定を考える際にも用いられている。完全競争の産業における長期均衡においては、LRACの最小値において LRMC = LRAC となる。長期限界費用曲線と長期平均費用曲線の形は規模に関して英語版収穫がどのように変化するかで決定される。

「長期」においてあらゆる計画は実施される[2][3]。一例として、ある企業が新たな工場を建設したり、あるいは新たな生産ラインを追加することでより大規模に生産をするとする。ここで、その企業はその生産過程において新たな技術を採用するとする。この企業はその長期生産に関してあらゆる選択肢を考慮し、そしてその長期目標に対して、最適な投入物の組み合わせと技術を選択する[4]。最適な投入物の組み合わせとは、全ての投入物が可変であるとき、計画された産出量水準に対して最小の費用となるような投入物の組み合わせである[3]。実際に計画が決定され生産が始まると、この企業は短期において固定投入物と可変投入物を用いて生産活動を行う[3][5]

短期

リアルタイムに行われるあらゆる生産は「短期」として扱われる。短期においては、利潤最大化をする企業は次のことを実行する。

  • 限界費用限界収益より小さければ生産を増やす。(限界収益とは追加的な1単位の産出に対する追加的収益)
  • 限界費用限界収益より大きければ生産を減らす。
  • 限界可変費用が1単位ごとの価格よりも小さければ(平均総費用が価格よりも大きかったとしても)生産を続ける。
  • 平均可変費用が(産出のどのレベルであれ)価格よりも大きい場合、生産を停止する。

注釈

  1. ^ 長期であるからこそ固定資本を変化させることができるのであって、短期においては固定資本は変化させることはできない。
  2. ^ While the law does not directly apply in the long run it is not irrelevant. The long run is the planning phase. A manager deciding which of several plants to build would want to know the shape of the SR cost curves associated with each of these plants. Marginal diminishing returns are related to the shape of the short-run marginal and average cost curves. Thus the law indirectly effects long-run decision making per R. [7]

出典

  1. ^ Paul A. Samuelson and William D. Nordhaus (2004). Economics, 18th ed., [end] Glossary of Terms, "Long run" and "Short run."
  2. ^ Melvin & Boyes, 2002. Microeconomics, 5th ed., p. 185. Houghton Mifflin.
  3. ^ a b c Boyes, W., 2004. The New Managerial Economics, p. 107. Houghton Mifflin.
  4. ^ Melvin & Boyes, 2002. Microeconomics, 5th ed., p. 185. Houghton Mifflin.
  5. ^ Perloff, J, 2008. Microeconomics Theory & Applications with Calculus, p. 230. Pearson .
  6. ^ a b Whitaker 2008.
  7. ^ Pindyck & D. Rubinfeld, 2001, Microeconomics, 5th ed., pp. 185-86. Prentice-Hall.
  8. ^ Carlo Panico and Fabio Petri, 2008. "long run and short run," Short- and long-period in Keynes, The New Palgrave Dictionary of Economics, 2nd Edition. Abstract.
       • John Maynard Keynes, 1936. The General Theory of Employment, Interest and Money, pp. 4-5.
  9. ^ N. Gregory Mankiw, 2002. Macroeconomics, 5th ed. pp. 240, 120, and 327-329.


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