過積載 不正改造

過積載

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/12/24 09:10 UTC 版)

不正改造

貨物自動車においては、自動車会社とは別の架装メーカーで、横開きのドアを上開きに改造するなど、使い易いように車両のカスタマイズを行うことがしばしば行われる。本来、この種の改造は法令の範囲内で行うべきものであるが、しばしば一部架装メーカーなどにおいて過積載に適したように車体を不正に改造していたことが発覚する[1][2]

取り締まり

高速道路の入口料金所や本線料金所、一部区間の本線上では、自動で積荷を含む車両高が車両制限令以内か測定するセンサーと軸重計があり、車両制限令サイズ超過や軸重超過時には「高さ超過」「軸重超過」の警告が出る仕組みが導入されており、繰り返し軸重超過が検出された場合、多頻度・大口割引制度の適用が制限される運用が2017年4月1日より始まった[3]。軸重・車両総重量超過については最寄りのインターチェンジで流出を促されるか、悪質な場合は刑事告発も辞さないとしている。また警察と共同で抜き打ち検問も行われている。トラックスケール」(看貫、俗に言う「カンカン」)で車両総重量を計測され、車両総重量から自動車検査証記載の自重を引いたものが積載重量として判定される。最大積載量を1キログラムでも超えれば、厳密には過積載である。過積載が見つかれば道路交通法違反として、次のように定められている。

国土交通省は2015年1月、基準の2倍以上の悪質違反者に対して、違反の事実をもって即時告発を行う実施方針を打ち出している。以降、日本高速道路保有・債務返済機構およびネクスコ3社・本州四国連絡高速道路首都高速道路阪神高速道路の6社は、違法な大型トレーラーを通行させていた運送会社を、警察に即時告発する手続きを取っている[4]

責任

既述のとおり、過積載行為は事業者自らの意思によるものの他、荷主(発注者)の意向によりやむなく行われることも相当多くみられるため、国土交通省では、行政処分の制度の中に荷主(発注者)に対して「勧告書」や「警告書」を発出して罰則する制度を設け、荷主主導型の過積載から運送事業者を保護しようとしている。

(警察としては、事業者が過積載を認識して積ませることを防止する方向に走っている。違反を捕まえて、運転者のみならず事業者の責任も追及し、処罰するようになってきている。これにより、事業者は伝票上も過積載にならないようにきっちり積むようになってきており、鋼材関係では過積載は少なくなってきているといわれている。)

<補足>()内の記述は警察が過積載に関して事業者(車両の使用者)責任を問うケースについて記述されているが、実際には警察が検挙した過積載違反について、道路交通法第108条の34による通報制度に基づき国土交通省に通報し、国土交通省が所管する運送事業者の責任を問う仕組みとなっている。

国土交通省では当該通報に基づき、運送事業者への立ち入り検査(臨店監査)や呼出監査を実施し、事業者の管理責任を問うことになる。行政処分制度の概要[5]

また、発注者が事業者へ過積載防止を呼びかけていることもある[6]

しかし実際には、運送会社に過積載を強要した荷主に対し、国土交通省が勧告・公表するケースが、制度が1990年から実施されて以来、一度も存在しないことが、2017年10月26日読売新聞の報道で判明しており、国土交通省は情報収集や荷主への指導を強化している[7]


  1. ^ (株)パブコによる新規検査の不正受検について-国土交通省
  2. ^ 過積載トラックに改造した疑い 千葉の整備会社、1300台改造か”. 朝日新聞 (2023年1月24日). 2023年1月28日閲覧。
  3. ^ 車両制限令違反者に対する大口・多頻度割引停止措置等の見直しについて”. 東日本高速道路株式会社・中日本高速道路株式会社・西日本高速道路株式会社・首都高速道路株式会社・阪神高速道路株式会社・本州四国連絡高速道路株式会社 (2016-09-39). 2023年12月11日閲覧。
  4. ^ NEXCO中日本、運送会社6社を即時告発…重量超過の大型トレーラーを通行”. レスポンス (2016年9月14日). 2019年5月10日閲覧。
  5. ^ 過積載、速度超過等の処分基準-国土交通省
  6. ^ 工事請負者の方へ-東京都建設局
  7. ^ トラック業者に過積載強要、荷主の公表「ゼロ」 読売新聞 2017年10月26日
  8. ^ “中国の橋崩落、トラック運転手に年収100年分の罰金刑”. AFP (フランス通信社). (2013年11月22日). http://topics.jp.msn.com/world/general/article.aspx?articleid=2321704 2013年11月22日閲覧。 


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