花の子ルンルン 花の子ルンルンの概要

花の子ルンルン

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/07/06 06:42 UTC 版)

東映魔女っ子シリーズ
第7作[1] 魔女っ子メグちゃん 1974年4月
- 1975年9月
今作[2] 花の子ルンルン 1979年2月
- 1980年2月
次作[2] 魔法少女ララベル 1980年2月
- 1981年2月
花の子ルンルン
アニメ
原作 神保史郎
脚本 城山昇曽田博久吉田喜昭
キャラクターデザイン 荒木伸吾姫野美智
音楽 筒井広志
アニメーション制作 東映動画
製作 テレビ朝日旭通信社東映
放送局 テレビ朝日系列
放送期間 1979年2月9日 - 1980年2月8日
話数 全50話
その他 テレビ朝日広報資料付記の作品英名:
LULU,THE FLOWER ANGEL
映画:花の子ルンルン こんにちわ桜の国
監督 佐々木章
制作 東映アニメーション
封切日 1980年3月15日
上映時間 15分
テンプレート - ノート
プロジェクト アニメ
ポータル アニメ

概要

『キャンディ・キャンディ』のヒットを受け、ヨーロッパを中心とした舞台を用意。花探しの旅を通じて人間的成長を遂げる作品の流れは、前作に通じるものである。このコンセプトのため、オリジナル魔法少女といっても、主人公ルンルンが使う魔法は当初、ドレスチェンジ程度にとどめられていた。魔法の道具である花の鍵は、途中機能アップが図られたものに変更された。この様なシリーズ途中での魔法アイテムの変更は、のちの作品でも慣例化したが、魔法少女物の本格的な玩具との初タイアップ化という点においても、見逃せない点である[3]。新しい試みとして、話の最後には必ずセルジュがその話でルンルンと深く関わった登場人物に、ルンルンの思い出にと花の種を手渡し、その後の花が咲いた様子と花言葉が紹介された[注釈 1]。トゲニシアにも花の種が手渡されたことがある。

「ルンルン」という言葉の流行と、本作との関係

本作の放送後の1982年ごろ、「ルンルン気分」という言葉が流行したことがある。一例として、漫画家の水沢めぐみ集英社)の初期作品(「5月のお茶会」「ねむり姫のイブ」など)には吹き出し外の手書き文字で「ルンルン」ないし「ルン」またはひらがなで同様の表記が見られる。講談社の雑誌るんるんは一世代後の刊行。作家の林真理子1982年『ルンルンを買っておうちに帰ろう』にて作家デビューし、当時のベストセラーを記録している。三省堂国語辞典 第4版(1992年発行)に、この語は掲載された。米川明彦編『日本俗語大辞典』(東京堂出版)2003年11月 ISBN 978-4490106381 において、「ルンルン」の語源は本作であるとする説を取っている。実際のところ、この言葉自体は、日本アニメーションペリーヌ物語」のOPの歌詞や、さらにさかのぼれば草野心平の「河童と蛙」(1938年)の河童をうたった詩にまでたどりつくこともできる[4]。『魔女っ子大全集』(東映動画篇・バンダイ刊) 109頁において、「諸説紛々であったが、朝日新聞の裁定で本作が(当時流行した)「ルンルン気分」の語源である」としている。この語の発案者は原作者の神保史郎。「50音表を見て響きの良い言葉を選んだ」と語っている。

ストーリー

遠い昔の地球では人間と花の精が仲良く暮らしていた。ところが欲深くなった人間は自然を大切にしなくなり、地球を離れた花の精は虹色の雲の向こうの小さな星・フラワーヌ星に自分たちの王国を作りあげる。しかし、地球に残った何人かの花の精は人間と結ばれ、花の精の血を受け継いできたのだった。

南フランスの小高い丘のふもとにある小さな田舎町で、花屋の祖父母と暮らすルンルンという女の子が12歳の誕生日を迎えたある日、言葉を喋る動物で白猫キャトーと犬のヌーボが現れる。二匹は花の精の血を引く「花の子」を探していて、魔法の綿毛でルンルンが「花の子」と知った二匹は自分たちがフラワーヌ星の使者だと話す。

キャトーとヌーボはフラワーヌ星の新しい国王には地球のどこかに咲く「七色の花」が必要で、それを探せるのは「花の子」の女の子だけだと言い、ルンルンに「七色の花」を探すよう訴える。自分が「花の子」だということに驚き、一度は祖父母を置いていけないと断るルンルンだったが、祖父母は「七色の花を見つけた女の子は幸せになれる」という家族の古い言い伝えを教えて、七色の花探しの旅を後押しするのだった。

ひそかにその様子をうかがう二つの影。それはフラワーヌ星に反旗を翻して滅ぼされた一族の子孫トゲニシアと、その手下のヤボーキだった。ルンルンが七色の花を見つけ出したら、それを横取りして自分が新しい女王になろうという魂胆なのだ。

旅のお供になったキャトーとヌーボから、魔法の道具の「花の鍵」を貰ったルンルンは、ヨーロッパを中心に各地でさまざまな人に出会う。時にはトゲニシアたちのちょっかいにも合いながら、困った人々を見つけては、持ち前の面倒見の良さと花の鍵の力で解決していった。

旅の先々でルンルンが出会うセルジュというさすらいの青年カメラマンは、幾度となくルンルンを助けたり励ましてきた。しかし旅の仲間に加わることはなく、風のように現れては去ってしまう。そんなセルジュにルンルンは淡い恋心を抱くのだった。

ある日、七色の花を見つけたルンルンだが、トゲニシアの横取りにあう。花粉風で発見場所の山頂から渓谷に飛ばされたルンルンは、セルジュを助けようして誤って滝壺に落ち、花の鍵も壊れてしまう。そのとき不思議な声が響き、「よき行いの報い」として新しくなった花の鍵を与えられて命を救われた[注釈 2]

七色の花を探す旅を続けていくルンルンだが、祖父が倒れたと知って急いで故郷に帰る。そこでルンルンが目にしたのは美しい花畑の丘だった。セルジュがルンルンと交流した人々に渡して歩いた花の種はやがて花を咲かせ、その美しさをルンルンにも見てもらいたいと考えた人々はルンルンあてに種を送ってきたのだ。この種をルンルンの代わりに祖父が畑に植え、「愛とまごころのしるし」ともいえる花畑に育てあげていた。祖父はこの世話で少し無理して倒れただけで、そう大ごとでは無かったのだ。

一安心するルンルンだが、祖父の身を案じ、花探しをやめると言い出した(祖父に説得され再度旅立つことを誓ったが)。これを聞いたトゲニシアらは花畑を潰してルンルンを旅立たせようと考え、花畑を無残に荒らしてしまった。花畑に残っていたつぼみを見つけ、愛おしんだルンルンの涙がつぼみに当たったその時、開いたその花は、探し求めていた「七色の花」だった。自分の探索の旅は無駄だったかと自問するルンルンに、祖父は「ルンルンの行いで、人々の愛とまごころがここに結集し七色の花が生まれたのだ」と論した。トゲニシアは花粉風を使って七色の花を奪い取ろうとするが、七色の花はこれを跳ね返し、トゲニシア達はどこかに飛ばされてしまった[注釈 3]。花の鍵の光を七色の花に当て、フラワーヌ星へと続く虹の橋が現れた。ペガサスに引かれた薔薇の馬車に乗り、七色の花を届けに向かった。

フラワーヌ星についたルンルンは歓迎され、王家一族に迎えられた。花を探しだした偉業を王から称えられ、新国王の妃として迎えられることを伝えられるが、ルンルンはそれを拒絶する。しかし新国王候補とは、誰あろうセルジュその人であった。新しい花の鍵をくれたのも彼だった。だが、ルンルンの表情はなお暗い。祖父母を地球に残すことが気がかりで心から喜べないのだ。自分だけが幸せになるより、自分を育ててくれた祖父母にこそ幸せになって欲しい。そんなルンルンの苦悩と願いを、セルジュは理解していた。セルジュは、そんなルンルンだからこそ、深く愛したのだ。

戴冠式の日、王家、そしてセルジュが選択したのは、セルジュがルンルンと共に地球に行くことだった。王の座はセルジュの弟に託された。地球に花を愛する人々を増やす使命を受け、キャトーやヌーボらに見送られて、二人は祖父母の住む地球へと旅立っていった。

確かに七色の花は、ルンルンに幸せをもたらしたのである。


注釈

  1. ^ 第25話と第26話は前後編となっており、第25話はセルジュは登場せず、花言葉の紹介のみとなった。
  2. ^ この時見つけた七色の花は、スイセンに水晶の光が当たってそのように見えていただけで、本物ではなかった。
  3. ^ トゲニシア達は後に、フラワーヌ星で日陰者になるより、地球で仲間を増やす道を選び、フラワーヌ星を捨てた。
  4. ^ 主人公のキャラクターデザインについて、顔のおおよその輪郭として、前作の「キャンディ」は円形3つの組み合わせ、次作の「ララベル」は正方形、本作の「ルンルン」は逆三正角形であると担当したチーフアニメーターの進藤満尾は当時のアニメ雑誌で解説している。
  5. ^ パワーアップした花の鍵は衣装に応じた能力も使えるようになった。
  6. ^ 第37話までは橙色、第38話以降は赤。
  7. ^ 作中では、第49話・最終話では地球とフラワーヌ星との行き来に、七色の花と花の鍵によって作られた虹の橋を使って移動していた。これ以前の花の精達の移住方法や、そもそも通常の宇宙空間に浮かぶ天体なのかどうかは、本編では語られていない。
  8. ^ 製作者の言葉によると花を表すフランス語から取ったとされていたが、これは製作者の誤りで、フランス語で花はフルール(仏:fleur)であり、フレール(仏:frère)は兄弟という意味である。
  9. ^ 東映動画が作成した番宣用ミニポスターの放送ネット局欄には本来のネット局である静岡けんみんテレビの略号である「SKT」ではなく、静岡放送の略号である「SBS」と表記されていた。当時、SKTの金曜19時前半枠は「走れ! ピンク・レディー」の遅れネットに充てていた事から、静岡放送で放送される予定だった。しかしSKTは「走れー」を同年2月から土曜15時後半に移動。よって「ルンルン」はSKTにて第1話から同時ネットで放送された。

出典

  1. ^ 「魔女っ子マテリアル」、銀河出版(1999年)。
  2. ^ a b c 東映魔女っ子シリーズは書籍や商品展開によって作品の範囲が異なっており、公式サイトでも本作や次作が何作目に該当するかについての見解は特に示されていない。
  3. ^ 『魔女っ子アニメ大全集』:東映動画篇、(株)BANDAI、1993年8月20日 106頁。ISBN 4-89189-505-5
  4. ^ 三省堂ワールドワイズ・ウェブ『三省堂国語辞典』のすすめ その97(2009年12月9日)飯間 浩明[1]
  5. ^ 第48話「サン・レモの慕情のひと」。
  6. ^ 姫野美智によるとルンルンの服は当初、ピンクでデザインしたのだが、スポンサーが「人形の衣装が日焼け変色しては困る」ということで真っ赤になったそうである(『魔女っ子アニメ大全集』:東映動画篇 148頁)。
  7. ^ アニメージュ』1979年6月号。
  8. ^ 「全国放映リスト」『アニメージュ』1979年10月号、徳間書店、70 - 71頁。 
  9. ^ 熊本日日新聞テレビ欄より。
  10. ^ a b c 「全国放映リスト」『アニメージュ』1980年4月号、徳間書店、64 - 65頁。 
  11. ^ 『北國新聞』1979年3月7日付朝刊テレビ欄より。
  12. ^ 「全国放映リスト」『アニメージュ』1980年4月号、徳間書店、65頁。 
  13. ^ 『魔女っ子アニメ大全集』:東映動画篇 155頁。


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