紅茶 紅茶の産地

紅茶

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/10/31 18:45 UTC 版)

紅茶の産地

インド

アッサムの茶葉

インドでは、基本変種、アッサムチャの両方が栽培される。代表的な産地としてアッサム、ダージリン、ニルギリが知られる。

アッサム (Assam)
インド北部産。茶湯の水色は澄んだ濃い目の深い紅色でミルクティーに適する。甘い芳醇な香気を持ち、こくのある濃厚な味。
ダージリン (Darjeeling)
インド北部産。茶湯の水色は透明度の高い琥珀色でストレートティー向き。世界最高と称される特徴的な香気(マスカットフレーバー、あるいはマスカテルと呼ばれる)と、好ましい刺激的な渋味(一般にパンジェンシーと表現される)を持つ。特に硬度の低い水を用いると良く香りが出るといわれる。ダージリンには、100以上の茶園が存在している。
ニルギリ (Nilgiri)
インド南部産。スリランカに近く、特長もスリランカのハイ・グロウンに似る。茶湯の水色は濃い橙色でミルクティーや特にスパイスを用いるバリエーションティーに適する。フレッシュですっきりとした香気としっかりとした風味を持つ。
ドアーズ (Dooard)
インド北部産。茶湯の水色は濃橙色。ミルクティー向き。強い渋みはなく、こくのある味だが、香気に劣る。
シッキム (Sikkim)
インド北部産。ダージリンに似るが、渋味が弱めでこくがあるといわれる。

インドネシア

スマトラ
ジャワ (Java)
ジャワ島産。基本変種とアッサムチャの両方が栽培されている。

マレーシア

マレー半島南部のキャメロンハイランド、茶園名はBoh

バングラデシュ

シレット (Sylhet)

スリランカ

セイロンティー』の名前で知られる。ウバ、ヌワラエリヤ、ディンブラ、キャンディ、ルフナの5地域をまとめて「セイロン・ファイブ・カインズ」と呼ぶ。

セイロンティーは茶園・工場の標高位置によって

  • ハイ・グロウンティー(高地産茶) - 標高4,000フィート(約1,300m)以上で生産されたもの
  • ミディアム・グロウンティー(中地産茶) - 標高2,000〜4,000フィート(670〜1,300m)の中地で生産されたもの
  • ロー・グロウンティー(低地産茶) - 標高2,000フィート(670m)以下の低地で生産されたもの

の3つに分類される[6]

ウバ (Uva)
セイロン島南東部。茶湯の水色は明るい鮮紅色で優れ、ティーカップに注いだときに見られる、内側の縁に浮かびあがる金色の輪は「ゴールデンカップ」あるいは「ゴールデンリング」と呼ばれている。好ましい刺激的な渋味(一般にブリスクと表現される)を伴う芳醇な風味と、一般に薄荷に似た、ときに甘い花のような香気(茶葉により様々に変化する)を持つ。飲んだときサリチル酸メチル香を感じられるものが高品質とされる。濃い目のミルクティーに適する。ダージリン、キーマンと並ぶ三大銘茶のひとつ。
キャンディ (Kandy)
セイロン島中央部。茶湯の水色は輝きのある紅色で冷めても濁り(「クリームダウン」と呼ぶ)を生じにくい。バリエーションティーやアイスティーに最適。香りは控えめで、渋みが少なく、軽く柔らかだがこくのある味。
ディンブラ (Dimbula)
中央山岳地帯の西側に広がる高地。茶湯の水色は明るく鮮やかな紅色。マイルドで優雅な香りと適度な渋みを伴うバランスのとれた味わいが特徴[7]
ヌワラ・エリヤ (Nuwara Eliya)
セイロン島中央部。茶湯の水色は淡い橙赤色。ストレートティー向き。'草いきれのする'と称されるさわやかな香気を持ち、優しく穏やかな、しかししっかりとした味。
ウダプッセラワ (Udapussellawa)
ヌワラエリヤ地方とウヴァ地方に挟まれた地域で生産されるハイグロウンティー。以前はヌワラ・エリヤとウバに別れて出荷されていたが、2000年頃から独立した産地として出荷されている。
ルフナ (Ruhuna) / サバラガムワ (Sabaragamuwa)
セイロン島南部。茶湯の水色は深紅色。ミルクティー向き。独特の強いスモーキーな香気を持っている。重い風味と濃厚な渋みを持つ。主にアラブ諸国で好まれている。
ゴール (Galle)
セイロン島南部。茶湯の水色は明るいオレンジ色。アイスティー・ストレートティー向きだが、ミルクティーにも向いている。ロウグロウン(low grown)
ラトゥナプラ (Ratnapura)
茶湯の水色は澄んだ濃い紅色。ストレートティー向き。チョコレートのような風味、チャイによく使われる。ロウグロウン(low grown)

中国

基本変種の紅茶として有名なものには、祁門(キームン)、雲南(ユンナン)などがある。これらはインドやスリランカのものと比べ茶葉が細かく砕かれていないものが多い。渋味が出にくいものが多い。燻したような香りのするものもある。またアールグレイなどの着香紅茶に利用される場合もある。(→中国茶

三大銘茶の一つ。独特の甘い香りと微かなスモーキーさを漂わせ、味わいは渋みが少なく甘さを持っている。イギリス女王の誕生日茶会に饗されることでも知られている。

アフリカ

アフリカでは、ケニアタンザニアマラウイモザンビークなどで生産されているが、その多くがブレンド用である。ケニア産のものは比較的良質といわれる。

ケニア
標高2000メートルの高地で作られ、セイロンに似た特徴を持つ。ケニアの他にも、タンザニアマラウイでも生産されている。
ルクリリ(Rukuriri)
ケニア原産で、CTCで茶葉が粒状になっているのが特徴。
アフリカンプライド

ジョージア

ジョージアの紅茶は深橙色。ストレートティー向き。甘い味を持つといわれる。

トルコ

リゼ (Rize)
チャイの代表的産地がリゼ。チャイダンルックと呼ばれる二段式のヤカンを用いる。紅茶をいったん濃く淹れ、湯で好みの濃さに調節し、沢山の砂糖を入れて飲まれる。

日本

1876年明治9年)に紅茶用茶樹の種子が導入され、鹿児島県福岡県静岡県東京に紅茶伝習所が設けられ、紅茶に適するアッサムチャと基本変種を交配して国産紅茶品種を作り、紅茶の製造が始まった。昭和30年代半ばまでは1,500t以上生産されていた。1971年の紅茶輸入自由化以降、国内の紅茶生産は壊滅状態となったが、現在では静岡県および長野県岐阜県三重県奈良県滋賀県山陰地方九州地方(福岡県や屋久島など)といった地域で生産された国産紅茶が若干量流通している。これら国産品を「和紅茶」と呼称している事業者もある。「紅ほまれ」「はつもみじ」「紅かおり」といった紅茶向け品種もある[8](後述)。

生産者により品質のばらつきが多い傾向がある。やぶきた等の緑茶用品種から作られるものは渋みや苦みが少なく口当たりが柔らかい反面、香も淡いものが多い。べにふうき等の紅茶用品種から作られるもにのはインドやスリランカの紅茶に匹敵する強い味と風味を持っているものもある。

一方、沖縄県では紅茶生産に適する原料となるアッサムチャの生産に適する位置から、1958年にアッサムチャの生産を試みた記録がある。定着はしなかったが、2000年より再度生産を開始。「琉球紅茶」のブランド名にて有機無農薬栽培などの付加価値を付け、苗木から選定したブランド化をスタート。自治体と取り組み本格的な生産に乗り出し、「金武町琉球紅茶産地化事業」が2008年JAPANブランドに認定。同年、中小企業庁地域資源育成事業にも認定され、国外の販路も視野に入れた高品質な国産紅茶の本格的な生産を開始している。

静岡市では静岡市ブランドとして丸子(まりこ)紅茶を登録し、研究機関をおいて発酵茶の普及にも尽くしている[9][10]

紅茶の会は2002年から毎年、地紅茶サミット(全国地紅茶サミット)を開催している[11]。「地紅茶」とは国産紅茶のことで、紅茶の会の藤原一輝により提唱された[11]。ここで、「国産」とは「日本産」だけを指すものではない。

  • 主な国産紅茶用品種(農林登録年度)※紅茶向け品種には「べに」「もみじ」など赤色を連想する言葉が使われている
    • べにほまれ(昭和28年)
    • はつもみじ(昭和28年)
    • べにかおり(昭和29年)
    • べにふじ(昭和35年)
    • べにひかり(昭和44年)
    • べにふうき(平成5年):メチル化カテキン利用により機能性食品原料として注目品種

またの葉を加工して「紅茶」の名称で販売されている商品もある[12]


注釈

  1. ^ レポート本文には、「UHT(超高温殺菌)は熱変性しており、味もよくない。」と記されている。
  2. ^ この飲み方は日本式。正式な飲み方はロシア(作法)を参照。
  3. ^ しかし、消費量が最も高いのはトルコであり、イギリスはアイルランドに次いで二位である。

出典

  1. ^ 文部科学省日本食品標準成分表2015年版(七訂)
  2. ^ 日本紅茶協会 『紅茶の大事典』成美堂出版、2013年、263頁。 
  3. ^ a b 日本紅茶協会 『紅茶の大事典』成美堂出版、2013年、267頁。 
  4. ^ a b Bruce Richardson (2022年4月14日). “Understanding Tea Blends”. Tea Time Magazine. Hoffman Media. 2022年9月27日閲覧。
  5. ^ Emily Han (2022年8月3日). “What's the Difference Between English, Irish and Scottish Breakfast Teas?”. kitchn. Apartment Therapy. 2022年9月27日閲覧。
  6. ^ お茶百科「紅茶の主要産地 スリランカ」伊藤園、2015年7月20日閲覧
  7. ^ 日東紅茶「紅茶のマメ知識 紅茶の産地」
  8. ^ a b 「鵜方紅茶」復活へ着々 三重・JA伊勢 専用品種、新たに作付け『日本農業新聞』2020年5月6日(2面
  9. ^ 丸子紅茶 | しずおか葵プレミアム
  10. ^ 静岡県/発酵茶ラボとは?
  11. ^ a b 紅茶の会
  12. ^ 【食のフロンティア】「和紅茶」クセ少なく人気/杉の葉使った商品も登場『日経MJ』2018年3月5日(フード面)
  13. ^ 桑原 珠玉「19世紀カリスマ主婦が説く紅茶の入れ方All About(2015年7月23日閲覧)
  14. ^ フクナガヒストリー、食に歴史あり 洋食・和食事始め(産経新聞出版)
  15. ^ http://www.tea.co.uk/tea-faqs
  16. ^ FAQ About TeaUK Tea & Infusions Association(2020年5月22日閲覧)
  17. ^ a b c 島尾伸三『中国茶読本』(平凡社 <コロナ・ブックス> 1996 ISBN 4-582-63307-2)pp.57-64.
  18. ^ 石毛直道『食文化 新鮮市場』(毎日新聞社、1992年)pp.193-199
  19. ^ a b 日本紅茶協会 『紅茶の大事典』成美堂出版、2013年、257頁。 
  20. ^ a b c d e 日本紅茶協会 『紅茶の大事典』成美堂出版、2013年、258頁。 
  21. ^ 日本紅茶協会 『紅茶の大事典』成美堂出版、2013年、258-259頁。 
  22. ^ 「核戦争の最大の懸念は放射能ではなく紅茶不足、50年代の英公文書」AFP(2008年05月05日付配信)
  23. ^ a b c d e 日本紅茶協会 『紅茶の大事典』成美堂出版、2013年、261頁。 
  24. ^ 「紅茶の抹茶」加工に最適 宮崎県都城市の企業が開発『日本農業新聞』2021年11月13日1面
  25. ^ 『紅茶の大辞典』日本紅茶学会編 成美堂出版 ISBN 978-4-415-31373-3
  26. ^ 講談社サイエンティフク-紅茶に重曹を入れたらどうなる?
  27. ^ チョコレートは危険な食品?健康効果、アレルギーや中毒症状についてここからPRESS(2020年5月22日閲覧)
  28. ^ Harold McGee 香西みどり訳『マギー キッチンサイエンス』(2008年、共立出版)p.423,429






紅茶と同じ種類の言葉


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「紅茶」の関連用語

紅茶のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



紅茶のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアの紅茶 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。

©2022 GRAS Group, Inc.RSS