砂かけ婆 (ゲゲゲの鬼太郎)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/07/07 05:30 UTC 版)
アニメにおける変遷
第1シリーズ
第1作では登場のたびに顔が変わり(合計4パターン存在する)、衣服も異なるなどデザインが定着していない様子がみられた。目の周りの隈のような部分がつながって、狸の顔のようになっていたこともある。第2作に近いデザインでの初出は第29話。登場回数は13回と決して多くはないものの、砂に加えて医学や占いなどの術で仲間をサポートするといった、後の基本設定となるシーンがすでに見られる[2]。
第2シリーズ
目の色は褐色で、着物の色は紫。出番も大幅に増え、レギュラーキャラクターとして定着した。本作より妖怪アパートの大家としての設定が登場[2]。30話では死神が連れて来た鬼太郎の母について怪しみ、作戦が成功しかけて気を良くし「ほかの方も亡くなった御家族を呼んで差し上げます」と言う死神に、実際には最初からいない「死別した娘」を呼ばせてペテンを暴いた。
第3シリーズ
目の色が白に近い薄いピンク色となり、他シリーズと比べて人間に近い外見をしている。本作より着物の帯が市松模様となる[2]。妖怪医術や占いなど、砂関連以外の術も多く使うようになった。第107話では「生まれた時から婆で色恋は他人事(この話で子泣き爺に告白されるまで)」と発言した。鬼太郎のことを息子のように可愛がっており、7話で磯女と赤ん坊を見て「お母さんっていいな」と呟いた鬼太郎に「鬼太郎にはお婆がおるぞい」と声をかけるなど、母親代わりという立場がより強調されている。32話の鬼太郎が濡れ衣を着せられた妖怪大裁判では百々爺からの「砂かけ婆は鬼太郎の母親も同然であり証人に相応しくない」という指摘が認められており、鬼太郎の母親代わりということは妖怪の間でも公然の事実となっている。
第4シリーズ
薄い青緑色の髪、ピンク色の肌、白い着物など、全体的な印象は従来とかなり異なる。子泣き爺とはピンチになるとお互いを褒め合い、その場を押し付けようとするのが定番のパターン。第27話ではシルエットではあったが、容姿端麗な若き頃が登場する。昔の恋人や若返りをタネに敵妖怪に惑わされる場面が多く見られ、若い時代に人間の漁師との恋愛経験があった事を語り、自身もかつては人間であったような示唆もなされるが詳細は不明。本作で言及された年齢は、目玉おやじによれば500歳は超えているとの事(第21話)。第46話の妖怪大裁判で鬼太郎が濡れ衣を着せられた際は、夜行さんに「鬼太郎の母親代わりみたいなもの」と評されたため証人と認められなかったことがあるが、母性的な面はあまり見られず祖母のような印象が強い。妖怪アパートの大家として住人に料理を振舞うなど世話好きな一面も見られる[2]。ねこ娘に薬草の類を教える描写も時々描かれた。101話で一刻堂に封じられた時はつむじ風と砂山に変えられた。厚化粧して女子高生に変装したり芸者姿(もう一人はねずみ男)に変装したりとコミカルな要素も増えた。最終回で鬼太郎に彼の母をモデルにして作った人形を手渡した。
第5シリーズ
灰色の髪に赤い目、ベージュ色の肌、薄い青紫色の着物という外見。鬼太郎が事実上1人で事件を解決する話が多いため、第4作以前に比べると出番も減少している。本作では妖怪横丁で従来の妖怪アパートに該当する妖怪長屋を経営している。本作では鬼太郎の面倒を見ていたのは昔の鬼太郎やネコ娘が幼かった頃の事で、鬼太郎とネコ娘も50年以上生きて立派に成長したため、過去のシリーズより世話を焼く描写が少なくなった。本作での鬼太郎親子の世話は専らネコ娘が務めているため、長屋の大家兼身元引受人としての仕事に専念している。妖怪長屋の老朽化が進んでいることから、リフォームを検討するが、住人の家賃滞納が深刻で実現が遠そうなことを嘆く。長屋住人をまとめる寮母としての要素が強く描写され、その1人であるかわうそ曰く「口うるさいけどいなくなったら困る、母ちゃんみたいな存在」。わがままなトラブルメーカーのアマビエに厳しくも優しく接し、アマビエも砂かけ婆を「おばば」と呼び慕っている。砂を調合する実益も兼ねて各地の砂を収集する趣味があり、長屋住人も家賃代わりに砂の採取をしばしば手伝わされている。薬を調合する技能も基本的には砂状の物に特化され、他の薬に関しては役割を井戸仙人や夜行さんに譲る形になっている。本作では妖怪四十七士の奈良県代表に選ばれた。南国情緒に憧れ、「妖怪ポリネシアンセンター」なる施設を訪ねたがる発言を何度かしている。第76話でグアムに行った時は水上オートバイを乗り回した。普段の和服姿以外に、水着や洋服、更にメイド服姿にもなっている。
第6シリーズ
デザインはこれまでのシリーズと変わらないが、白い髪に薄いピンク色の肌、赤褐色の目に紫色の着物と歴代の外見を合わせたような姿になった。妖怪に博識な面は健在。第3話を初めに仲間を褒める際や叱る際に「チューしてやるぞ」という口癖が定番になっている(演じる田中真弓のアドリブから定着した台詞。これを受けて脚本で正式に第17話で実際に相手に唇を近づける仕草が描かれた時、田中は「もう飽きて来た」と言っていたとの事[6]。物語上は女優とのキスに失敗して悔しがる子泣き爺に、「そんなにチューして欲しけりゃわしがくれてやる」と迫ったのが始まりと、82話の回想で語られる)。こうした豪快で男勝りな振る舞いをする一方で、体重を言及されるとねこ娘と共に怒ったり、美形の男性には目を奪われやすく10話のヨースケくんを見て思わず「良い男じゃないか」と口にしたり、従来同様に目玉おやじとはかなりの長い付き合いで、第14話で鬼太郎とねこ娘が知らない今の姿になる前の目玉おやじの本来の若き日の姿を知っていることが明言され、「それは男前の青年だった」とうっとりしながら語った。第72話ではかつて好きな男に告白できなかったことを話し、鬼太郎の求愛がいやみの術によるものと知って落ち込んでいたねこ娘を励ました。子泣きじじいなど他の妖怪に対しても原作や過去作同様に交流が多く、面倒見のいい性格で河童の太郎丸から純粋に慕われている(暴走した時も彼女から尻子玉を抜こうとしなかった)。第82話ではぬっぺっぽうの妖術で認知症の放心状態になったが、子泣き爺の必死の呼びかけと口づけにより(一反木綿曰く「愛の力」)意識を取り戻した(事件解決後は「覚えていない」と言い張っている)。今時のデジタル機器に強いという設定が加えられ、一部の仲間妖怪とはスマホでLENE(レイン)のやりとりもしている。犬山まなには鬼太郎を助けてくれた(第1~2話で名無しの矢で射られた彼をゲゲゲの森に通じる神社まで運んでもらった)ことに恩義を感じ、彼女の危機には何度も積極的に参戦している。第58話で資産運用(株式、不動産、仮想通貨、タックス・ヘイヴンなど)で莫大な蓄財を成している事が判明し、蒲鉾にされた鬼太郎の買い占め費用(一千万円)と妖怪病院での再生費用(一億円)を惜しげも無く出資した。第17話で蟹坊主からかつて密かに恋心を抱きつつ命を賭して守護していた人間のお姫様と勘違いされ付き纏われてしまうが、現実を理解しながらも認めようとしない彼の哀しみを受け止めたうえで厳しく説得し続け、蟹坊主が鬼太郎に倒され現実を認めると最期の望みを優しく聞いた。最終話では得意のネット能力を利用してねずみ男の呼びかけとバックベアードに立ち向かう鬼太郎の姿を動画配信し、人間と妖怪を和解させた。本作では「オババ」と呼ばれることはほとんどなかった。
- ^ 田神健一・奥津圭介・中村亜津沙編 『アニメ版 ゲゲゲの鬼太郎 完全読本』 講談社、2006年、26-27頁。ISBN 4-062-13742-9。
- ^ a b c d e f g h i j k l m 水木しげる編『鬼太郎大百科』小学館、1980年、2004年、他。
- ^ 水木しげる 『電子書籍版 鬼太郎大全集 19 世界お化け旅行(2)』 水木プロダクション、31頁。
- ^ a b c 水木しげる『水木しげる 鬼太郎大百科』小学館、2004年、47頁。ISBN 4-092-20322-5。
- ^ アニメ6期9話
- ^ 『アニメージュ』2018年12月号、徳間書店、2018年11月、28頁。
- ^ 水木しげる 『妖怪たちの物語 妖怪ワンダーランド2』 筑摩書房〈ちくま文庫〉、2007年、211-218頁。ISBN 4-480-03062-X。
- ^ DVD『月曜ドラマランド ゲゲゲの鬼太郎』 東映ビデオ、2007年。
- ^ DVD『妖怪奇伝ゲゲゲの鬼太郎 魔笛エロイムエッサイム』 東映ビデオ、2007年。
- ^ 『「悪魔くん」「河童の三平 妖怪大作戦」完全ファイル』青林堂 ISBN 4-7926-0364-1。
- ^ 映画「ゲゲゲの鬼太郎」公式サイト 「作品情報」→「キャラクター&キャスト」 2008年5月11日閲覧
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