相互作用
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/04/27 03:58 UTC 版)
薬学
薬学の分野では一般に「相互作用」と訳す。
薬理学では複数の薬物(あるいは食物などに含まれる成分)が摂取されたとき、その薬効あるいは副作用などに単独で摂取した場合と比較して相違がある場合、これを相互作用という。この薬理学的相互作用は
- ファーマコキネティクス的(英: Pharmacokinetic)相互作用:吸収、体内分布、代謝、排出においてある薬物が他の薬物の濃度を変化させる。(例:薬物代謝酵素シトクロムP450に他の薬物・食物(グレープフルーツなど)が影響を与える)
- ファーマコダイナミクス的(英: Pharmacodynamic)相互作用:薬効や副作用に直接関わる段階で薬物間の影響がある。(例:納豆などに含まれるビタミンKによって抗凝固剤ワルファリンの薬効が低下する)
の2つに分けることができる。
中国哲学での相互作用の分析
中国において発達した五行思想では、森羅万象は木・火・土・金・水の5種類の要素からなるとし、それらの要素が互いに作用しあい、その生滅盛衰によって天地万物が変化し、循環する、と見なし、要素同士の関係を「相生」「相剋」「比和」「相乗」「相侮」という種類に分け、詳細に、かつ俯瞰的に分析する手法を編み出した。
中国におけるこのような、要素同士あるいは機能同士の相互作用の分析のノウハウ(西洋風に言うところの"ネガティブフィードバック"や"ポジティブフィードバック"と呼ばれる作用も含んでいるだけでなく、さらに他のタイプの作用も分類した上での、相互作用に関する総合的あるいは一般的な考察)は様々な分野に応用され、東洋諸国(アジア各国)で現代にいたるまで活用されている。一例を挙げると、伝統中国医学では現在でも、人間の心身全体が持つ機能同士の相互作用を五行の分析手法を用いて把握することがあり、人間の自然治癒力を援助したり引き出すことに成功している。日本で東洋医学や漢方に沿って(あるいは統合医療の場で)人体の諸機能について考察する時にも、こうした図にもとづいて相互作用の分析を行うことがある。
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5要素の相互作用の図を、各臓器の機能の間の相互作用の分析へと応用した図。NHKの大型番組『人体 神秘の巨大ネットワーク』でも、この図にかなり似た図(円形に配置された多要素間に影響の線が出ている図)で視聴者に人体の諸臓器の複雑な相互作用のイメージを伝えた。同番組では、ひとつひとつの臓器が「メッセージ伝達物質」と総称できるような物質を(血液中へと)放出させるなどして、「メッセージ」や「ヘルプ要請」の「指令」などの類を臓器間で相互に伝えあっている、ということが解説された。そして人体においては、決して脳が司令塔ではなく、各臓器それぞれが(脳を全然経由せず)能動的に他の臓器に対して直接的にメッセージや指令を出している、ということが明らかにされた。さらに言うと、「腸が、脳や人間の思考をコントロールする」というような作用すらある、ということが明らかにされた。
関連項目
相互作用と同じ種類の言葉
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