異性装
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異性装を描いた作品
上記の「異性装の理由/芸術」の項と、下記の「関連項目」も参照。
神話や伝説を多く含む古代の史書『古事記』『日本書紀』は、ヤマトタケルが女装して宴に潜入して、熊襲建を討ったと伝える[9]。
中世文学においても異性装の物語は人気を博した[10]。その代表的な作品が平安時代後期に描かれた『とりかへばや物語』であり、男装の女君と女装の男君がジェンダーを入れ替えて宮廷生活を送る物語である[10]。平安時代末期の『有明の別れ』は男装の女君が隠れ身の術を使って活躍し[10]、室町時代の短編物語絵巻『新蔵人物語』では主人公の女性が自らの意志で男装して宮中に上がる[10]。
江戸時代には、小説や演劇等において異性装や男女の入れ替えといった発想を取り入れた作品が多く作られた[9]。曲亭馬琴の小説『南総里見八犬伝』に登場する八犬士のうち2人(犬塚信乃・犬坂毛野)は女装で登場している。柳下亭種員・二世柳亭種彦・柳水亭種清が書き継いだ小説『白縫譚』の主人公若菜姫は男装している[11]。歌舞伎『青砥稿花紅彩画(白浪五人男)』の主人公の一人である弁天小僧は女装して美人局を働く男性であり[9]、女装のまま居直って正体を現す場面は「知らざあ言って聞かせやしょう」のセリフとともに知られている[12]。神田祭や山王祭では、女性が男装する出し物があるなど異性装がしばしば行われており、これらを描いた浮世絵が多数現存する[9]。これらの異性装は職業や立場によるもので、性的指向やアイデンティティとの関係は無いとされる[13]。
近代において、実在の人物である川島芳子をモデルとした村松梢風の小説タイトルに使われた『男装の麗人』という言葉は、美男子に扮した女性を指す表現として広く使われた。こうしたキャラクターが登場する演劇や映画・テレビドラマ、漫画・アニメーション作品は現代に至るまで多数制作されている(『リボンの騎士(サファイア (リボンの騎士))』[14]や『ベルサイユのばら(オスカル・フランソワ・ド・ジャルジェ) 』など)。恋愛シュミレーションゲーム『ときめきメモリアル/ときめきメモリアルの登場人物((伊集院レイ)項目参照))』には家のしきたりで外では男として生活するため男装したキャラクターも登場した。
逆に女装した男性が登場する作品もあり、サブカルチャーでは「男の娘」「バ美肉」と呼ばれるジャンルが存在する。
- ^ 太田敏男「パラフィリア症群・作為症群」『精神神経学雑誌』第124巻第1号、2022年、62-66頁、2023年11月8日閲覧。
- ^ a b 松永千秋「ICD-11で新設された「性の健康に関連する状態群」―性機能不全・性疼痛における「非器質性・器質性」二元論の克服と多様な性の社会的包摂にむけて―」『精神神経学雑誌』第124巻第1号、2022年、134-143頁、2023年11月8日閲覧。
- ^ 女装した男児ら厳かに舞う 三田で「百石踊り」神戸新聞NEXT(2017年11月23日)2018年3月21日閲覧
- ^ Why Nobody Cared When FDR Wore a Dress
- ^ 女装でひったくり犯捕まえろ!=男性警官がおとり大作戦−愛知県警 時事通信 2009年11月28日
- ^ “「オフサイド・ガールズ」男装してスタジアムに潜り込むイランの少女たち”. J-CAST テレビウォッチ (2007年9月11日). 2024年4月7日閲覧。
- ^ “サッカー観戦禁止のイラン女性、男装で入場試みるも失敗に終わる”. www.afpbb.com (2017年2月15日). 2024年4月7日閲覧。
- ^ 歴史を変えた50人の女性アスリートたち 著:レイチェル・イグノトフスキー、訳:野中モモ
- ^ a b c d 太田記念美術館「江戸の女装と男装展」(2018年)。
- ^ a b c d 木村朗子「日本中世物語におけるセクシュアリティ」『奈良女子大学文学部研究教育年報』第10巻、2013年12月、2018年7月25日閲覧。
- ^ 棚橋正博. “白縫譚”. 日本大百科全書(ニッポニカ)(コトバンク所収). 2018年7月20日閲覧。
- ^ “弁天小僧”. デジタル版 日本人名大辞典+Plusについて(コトバンク所収). 2018年7月25日閲覧。
- ^ “異性装は何を越えるか? 装いでたどる「性の越境」の系譜:朝日新聞デジタル”. 朝日新聞デジタル (2022年9月12日). 2022年9月26日閲覧。
- ^ 浮世絵が映す異性装の文化『朝日新聞』夕刊2018年3月13日
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