湿度計
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/11/01 05:38 UTC 版)
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乾球温度と湿球温度の温度差から表により求める乾湿計や、吸湿材の電気特性の変化をセンサーで測定する電気式湿度計がある。また精密観測用には、露点計も用いられる。毛髪の性質を利用した毛髪湿度計など、伸縮性の素材を用いた湿度計もあるが、誤差や時間差が大きいのが欠点である。
測定原理は、相対湿度を感知部の物性・形状の変化として検出するものと、大気温度と水蒸気圧とを測定することによって間接的に算出する(気圧による補正が必要)ものとに大別される。一般的には後者のほうが精度の高い観測が可能であるとされ、殊に乾湿式湿度計は、他の湿度計を校正する基準器としての性格を持つ。
日本では、気象業務法及びその下位法令により、公共的な気象観測には、検定に合格した乾湿式湿度計、毛髪製湿度計、露点式湿度計又は電気式湿度計を用いることとされている。
最も古い湿度計は、初期ルネサンスの人文主義者、建築理論家、建築家であるレオン・バッティスタ・アルベルティによるものとされている。それは1452年に「建築論(De re aedificatoria libri decem)」の中に記されたもので、海綿(スポンジ)が湿ると重さが変わることを利用したものである[1]。
伸縮式湿度計
伸縮式湿度計は、ぴんと張ったヒトや動物の毛・ナイロン糸の湿度変化による伸縮を利用したものである。構造が簡単で相対湿度を直読でき連続測定も可能である。しかし、指示遅れや誤差(5~20℃で5%程度)が大きくなることを避けられないのが短所である。気象観測用として毛髪製湿度計に許容される器差は、湿度5%である。
伸縮式湿度計には、指針と目盛板によって湿度を直接表示するもののほか、指針の代わりに記録ペンを駆動し、ゼンマイ等の動力で回転するドラムに巻かれた記録紙に湿度の時系列を自動的に記録する自記湿度計がある。近年は、自動観測用に電子的に伸縮を検出するものも作られている。
公共的な気象観測に用いられる毛髪製湿度計は、感部に脱脂等の処理をした毛髪を用いた伸縮式湿度計である。応答性(細さ)と耐久性(弾力)に優れることから、白人女性の金髪、特にフランスや北欧の若い女性のものが最適であるとされており、このことは、気象庁の元測器課長でもある新田次郎の『毛髪湿度計』という作品のモチーフにもなっている。
バイメタル式湿度計
測定部分は、塩分を染みこませた濾紙を感湿材として金属(真鍮)の薄板に貼りあわせ、ゼンマイ形のコイル状に巻いたものである。湿度が上がると紙は吸湿して膨張し、いっぽう真鍮は伸びないためコイルが変形して、ゼンマイが巻きあげられ先端の指針を動かす。構造が単純で安価なため家庭用として広く普及しているが、誤差が10%以上生じる場合があるなど精度は高くない。また数年でコイルが劣化して寿命となる。
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- ^ 堤之智. (2018). 気象学と気象予報の発達史 さまざまな湿度測定の発達. 丸善出版. ISBN 978-4-621-30335-1. OCLC 1061226259
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