暦
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現況
21世紀においてはほとんどの国家でグレゴリオ暦が使用されており[62]、イスラム圏のように元々はヒジュラ暦を用いる地域においても、公式にはグレゴリオ暦を用いる国がほとんどである[63]。グレゴリオ暦使用はさらに拡大しており、2016年にはこれまでヒジュラ暦を公式の暦としていたサウジアラビアが、公式暦のグレゴリオ暦への変更を発表した[64]。ただし旧来の暦が完全に廃棄されたわけではなく、新旧両暦の併記・併用は珍しくない[65]。
紀年法についても、多くの国ではグレゴリオ暦と一体化しているキリスト紀元(AD)が使用されている。一方で、いくつかの国ではグレゴリオ暦を使用しつつ、紀年法においてはキリスト紀元のかわりに独自のものを採用している。例えばタイ王国では釈迦が入滅した翌年の紀元前543年を紀元とする仏滅紀元を採用しており[66]、また中華民国では建国した1912年を紀元とする民国紀元が西暦と併用される[67]。1997年には、北朝鮮において金日成の生誕年である1912年を紀元とする主体年号の使用が開始された[68]。また、日本においては元号の使用が世界で唯一残存しており[69]、2019年5月1日には令和への改元が行われた[70]。
世界の暦法はほとんどの地域でグレゴリオ暦へと切り替えられたが、旧暦によって行われていた年中行事や祭日が新暦へ直接移行するわけではないことが多い。例えば日本では、雛祭りのように完全に新暦へと移行したもの、新暦の8月13日から8月16日にかけて行われるお盆のように、旧暦に配慮して1ヶ月だけ行事を遅らせる月遅れ、そして十五夜のように完全に旧暦のまま行うものが存在する[71]。中国や韓国、ベトナムでは新暦移行後も旧暦の正月である春節を盛大に祝っている[72]。またロシア正教会やジョージア正教会、セルビア正教会など一部の正教会は祭日を従来のユリウス暦で行っているため、これらの国々ではクリスマスはユリウス暦の12月25日(グレゴリオ暦では1月7日)に行われる[73]。イスラム圏の国々ではヒジュラ暦に基づいて行事や祭礼が行われるが、特にラマダーンの開始は目視による新月の観測から求められるため、実際には日取りがずれることが珍しくない[74][75]。
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