山寨手機 山寨手機の概要

山寨手機

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/02/15 05:39 UTC 版)

山寨手機
各種表記
繁体字 山寨手機(山寨機)
簡体字 山寨手机(山寨机)
拼音 shānzhài shǒujī
注音符号 ㄕㄢㄓㄞˋ ㄕㄡˇㄐㄧ
発音: シャンジャイショウジ
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語源

山寨」は元々は「山の要塞」、つまり「山賊のアジト」を意味し、転じて「(山賊などがアジトで密造してそうな)偽造品」を意味する。「手機」は携帯電話機のことである[1]

製品

「山寨手機」として販売される製品は当然、メーカー不詳となるが、これらの機器が「安かろう悪かろう」という低品質なものではなく、耐久性や信頼性は不明なものの、少なくとも機能面では海外からの輸入されてくる普及価格帯の製品よりも上級であり、MediaTek 社(後述)の持つ技術力によって模倣元となった海外製携帯電話機には備わっていない機能まで付加されることがある[注 1][1]

産業

既に年間1億台以上の産業規模に成長しているが、製造業者と流通業者は共に、無線機としての認証や中国国内の付加価値税も支払ってはいないとされる。

製造業者はほぼすべてがファブレス半導体メーカーである台湾 MediaTek 製の半導体を使用している。MediaTek の半導体を使って、例えば中国香港の Caixon(凱信通訊科技)社のような会社が製品設計を担当し[注 2]、各製造会社へその設計デザインを販売している。 MediaTek が高度な機能まで含めたリファレンス・デザインを完成させ、提供しているので、中国国内の設計会社や山寨手機メーカーは元となる海外製品の意匠に手を加え、細かな構成部品の変更やソフトウェアの調整だけで製品化できる。この模倣携帯電話機の製造には、「世界の工場」となった中国国内の多様な生産能力[注 3]が下支えしており、筐体基板の製造も容易にこなせる実情がある。

元々は2002年4月に設立して、韓国サムスン電子などの携帯電話機を販売し、その後は2005年から模倣携帯電話機を自社製造をはじめた天宇朗通(Beijing Tianyu Communication Equipment)社がある。同社は2009年現在では、中国の正規の携帯電話機メーカーの最大手として、国内の携帯電話機市場ではカメラ付き携帯電話が好評で、ノキア、サムスン電子、モトローラに次ぐ第4位、2007年にはレノボの携帯電話を抜いて1700万台を販売した[1]

衰退

だが、2012年以降、中国市場でも電話機の主流がスマートフォンに移ってくると、ファーウェイZTEといったような正規のメーカーが新興国向けも含めて1000元程度で購入可能な端末を販売するようになってきた。さらには3Gを普及させたい通信事業者がインセンティブを付けることで、それらの正規端末でも本体の負担がほぼなくなることもあって、価格以外に魅力のない山寨手機の市場は縮小していっている[2][3]

類似機器

山寨筆記本
「山寨筆記本」とは模倣のノートパソコン(筆記本電脳)のことである。米インテルの普及価格帯ノートパソコン用CPUであるAtom2008年10月以降に中国国内でも比較的容易に入手可能となり、携帯電話機に続いてノートパソコンの模倣品が深圳のような市場の店頭に多数現れている[1]

注釈

  1. ^ 日本製の5 - 6万円する高級携帯電話機には機能面では及ばないが、ノキアが中国で1000(約14,500円)で販売しているような普及機種よりはマルチメディアなどの機能が充実している。
  2. ^ 中国Caixon社では、1ヶ月半で携帯電話機の製品設計を完了するとされる。
  3. ^ 2006年には中国国内で4.8億台の携帯電話機が製造され、3.9億台が海外に輸出された。全世界生産台数9.8億台のおよそ半数を生産したことになる。

出典

  1. ^ a b c d e f 大槻智洋、竹居智久著 『中国流イノベーション』、日経エレクトロニクス2009年6月15日号
  2. ^ “「Android S III」でも巻き返せない!? 山寨機の黄昏”. アスキー. (2013年4月2日). http://ascii.jp/elem/000/000/776/776516/ 2015年12月8日閲覧。 
  3. ^ “【第1部:中国メーカーの実態】1000元スマホが世界を駆ける、急成長する中国地場メーカー(page 2)”. 日経BP社. (2014年4月22日). https://xtech.nikkei.com/dm/article/FEATURE/20140421/347702/?P=2 2015年12月8日閲覧。 


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