北伊豆地震 断層

北伊豆地震

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/05/15 04:54 UTC 版)

断層

断層が通る丹那盆地
断層は写真の右奥から左下へ伸びる
北伊豆地震によってずれた円弧状の石組み

この地震の後、修善寺の東側の山間部から北側へ延びる多くの断層が見つかった。主なものは丹那断層・浮橋中央断層・浮橋西方断層・箱根町断層(以上、左横ずれ断層)、修善寺断層・田原野断層・姫之湯断層・加殿断層・大野断層(以上、右横ずれ断層)である。中でも最も大きい丹那断層は長さ約35キロメートル (km)。上下に2.4メートル (m) ずれ、北へ2.7 m移動した。丹那断層は国の天然記念物に指定され(1935年〈昭和10年〉6月7日)、現在も2か所で保存されており、観察することができる。

この断層運動が注目されたのは、東海道本線(現・御殿場線)の新線(現・東海道本線)用に建設中の丹那トンネルを直撃したからである。丹那トンネル函南口では、トンネル先端がまさに丹那断層付近に到達したところで、大量の出水に工事は困難を極めていた。大量の出水に対処するため、本坑とは別に排水用の坑道が掘られていたが、これが丹那断層によって切断された。西側から掘られた坑道の先端部が北へ2.1 m移動したのである[6]。これにより崩壊事故が発生し、工事関係者3名が死亡した。トンネルは当初直線で設計されていたが、この地殻変動で直線ではつながらないことになり、トンネルの中央部でS字にカーブするように設計し直された[7]

出典


  1. ^ 気象庁『震度データベース検索
  2. ^ 奥野山崩壊地(中部の崩壊地)”. 国土交通省ホームページ. 2014年6月11日閲覧。
  3. ^ 静岡県市町村災害史 天城湯ヶ島町”. 静岡県ホームページ. 2014年6月11日閲覧。
  4. ^ 静岡県市町村災害史 中伊豆町”. 静岡県ホームページ. 2014年6月11日閲覧。
  5. ^ 中央氣象臺『北伊豆地震報告』 2巻、1930年12月31日、22頁。 
  6. ^ a b 櫻井孝、「北伊豆地震 (1930年) による丹那トンネル内地震断層出現状況記録」 応用地質 1999年 39巻 6号 p.540-544, doi:10.5110/jjseg.39.540
  7. ^ 島村英紀 (2001年2月12日). “大地の不思議”. 静岡新聞. 2014年6月11日閲覧。






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