五島列島 観光

五島列島

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/06/08 08:10 UTC 版)

観光

石田城北の丸にある五島観光歴史資料館
大瀬埼灯台

五島は九州本土と離れており、大きな工場などもないため、大瀬埼灯台などの雄大な景観や美しい砂浜など手付かずの自然が残っている。

素朴な風土やキリシタンの歴史を物語る多くの古いカトリック教会など、五島の観光は他では味わいがたい風情がある。遣唐使の停泊地であったことから遣唐使に関する文物も残されており、福江島には道の駅 遣唐使ふるさと館[22]。五島へは空海も唐への往復の際に立ち寄っている。 世界遺産登録が視野に入り、地元でもキリスト教会群の保存や観光活用の動きが活発になっている。

五島の玄関口といえる五島市の港近くには日本で最も新しく完成した日本式の城である石田城(福江城)の城跡があり、五島市のシンボルとなっている。元は幕末の国防上の必要性から高松城に次いで日本で僅か2例目となる海城として完成したものであるが、五島市(旧福江市)の港湾埋め立てにより現在は港よりやや内陸に位置している。

石田城には天守閣がなく、幕末の同時期に完成した松前城五稜郭のように実戦に使われた逸話等も残っていないが、城の構えとなる石垣は比較的よく保存されており周囲を走る道路からも確認できる。また、城の本丸跡には1900年設立の長崎県立五島高等学校の校舎が建て替えを経ながらも設立当初より一貫して建っている。明治維新後に旧福江藩(五島藩)の当主であった五島盛光公により本丸の敷地が五島の教育のため県に寄贈されたことによるものであり、全国的に城跡を利用した学校は少なくないが本丸跡に建っている校舎は非常に珍しい。

堀や石垣の中の天守閣があるべき位置に歩いて「登城」するように通学する高校生は100年以上続く五島市街地の日常風景となっている。石田城の石垣の中には、五島高校の他にも二の丸跡に五島市庭園、北の丸跡に五島観光歴史資料館や五島市図書館、五島市福江文化会館などがある。

五島市街地から望める鬼岳(おにだけ、おんだけ)は山頂がなだらかな曲線をなしており、全面が芝生の公園となっているため冬季以外は家族連れの姿が多い。五島福江空港もこの鬼岳の北側山腹を拓いて建設されている。五島は本土と離れた位置にあるため工場等がほとんど無く、空気が澄んでいるため市街地を一歩でれば正に「降るような星空」が見える。

この条件を生かして鬼岳の山頂付近には鬼岳天文台も設置されており、夏休みなどには特に子供連れやカップルに人気が高い。鬼岳周辺には、この他ゴルフ場リゾート施設、温泉施設などもある。

外海に囲まれた五島列島は海産物の恵みが豊富であり、九州本土からの個人・ツアーの釣り客が多く訪れている。五島全域に釣りのポイントが多いだけでなく、福江島の高浜海水浴場をはじめ多くの海水浴場があり海のレジャーに訪れる観光客が多い。夏休みの間は無人島での地引網体験の実施や、海底が見える観光用グラスボートの運航などもあり、家族で楽しむことができる。

福江島の五島自動車学校では合宿免許の受け入れにも力を入れており、以前より福岡方面の若者に夏場の観光を兼ねたプランとして人気が高い[23]

観光の土産物には、良質な海産物やその加工品の他、TVなどで取り上げられる事が増え全国的にも有名となってきた五島うどん[24]かんころもち、上質なことで知られる椿油などが評価が高い。多くが市街地の土産物屋や空港や港の販売店で購入できる。

五島うどんはその名のとおり五島の名産品であり、椿油を練りこむ手延べ製法とそれによる細麺ながらの強いコシとゆでた後の伸びにくさが特徴。独特の製法の起源は不明であるが、一説では遣唐使が唐から伝えたものであり日本全国のうどんの元祖であるという。

五島観光を計画する際には、五島市観光協会や五島市観光ポータルサイトなどで名所やおすすめコースなどの情報収集をするとよい[25][26][27]


  1. ^ 五島列島』 - コトバンク、『五島列島』 - ジャパンナレッジ
  2. ^ ながさきのしま|長崎のしま紹介【五島】 長崎県企画振興部(2020年3月22日閲覧)
  3. ^ 五島しっとっと? 五島市観光協会(2020年3月22日閲覧)
  4. ^ 日本海の定義[リンク切れ]第九管区海上保安本部
  5. ^ 西海国立公園 環境省自然環境局[出典無効]長崎の気候特性 長崎海洋気象台[リンク切れ]など。
  6. ^ ながさきのしま|長崎のしま紹介【五島】 五島のプロフィール
  7. ^ ながさきのしま|長崎のしま紹介【平戸】 平戸のプロフィール
  8. ^ a b c d e f g h i j 五島列島、押し寄せる中国からの密航者…「自衛隊基地を作って」 産経デジタル
  9. ^ a b c d e f g 五島市の島”. 五島市. 2020年2月29日閲覧。
  10. ^ 唯一の島民が亡くなり無人に 五島・黒島 元島民「墓は気になるが、もう行くことはない」 - 長崎新聞・2022年12月29日
  11. ^ a b c d 五島市久賀島の文化的景観保存計画
  12. ^ 五島市久賀島の文化的景観保存計画
  13. ^ 久賀島の文化的景観
  14. ^ シリーズ世界遺産への路~五島キリシタンの歴史 No.6 ◆~華開いた信仰~ (五島市役所)
  15. ^ シリーズ世界遺産への路~五島キリシタンの歴史 No.11 ◆~潜伏~ (五島市役所)
  16. ^ シリーズ世界遺産への路~五島キリシタンの歴史 No.12 ◆~新天地を求めて~ (五島市役所)
  17. ^ シリーズ世界遺産への路~五島キリシタンの歴史 No.17 ◆~五島崩れ~ (五島市役所)
  18. ^ “隠れキリシタン紀行~五島列島編~”. asahi.com. (2011年2月4日). http://www.asahi.com/travel/hikyou/TKY201102020279.html 
  19. ^ “五島列島 カクレキリシタンとカトリックの胸の内”. asahi.com. (2011年2月18日). http://www.asahi.com/travel/hikyou/TKY201102150432.html 
  20. ^ カトリック長崎大司教区の統計(2010年)によると、五島列島(上五島地区・下五島地区)のカトリック信徒数は計9,269人。(カトリック長崎大司教区報『よきおとずれ』2011年5月号 PDF
  21. ^ 野崎島旧野首教会を含む。長崎の教会群とキリスト教関連遺産 構成資産の紹介 長崎県世界遺産登録推進課
  22. ^ 道の駅 遣唐使ふるさと館(2020年3月22日閲覧)
  23. ^ 五島自動車学校
  24. ^ TV紹介情報:五島うどん(価格.com)
  25. ^ 五島市観光協会
  26. ^ 五島の島たび(五島市観光協会)
  27. ^ 五島市ナビ(五島市)
  28. ^ 豊田通商、「近大マグロ」九州で量産 五島に一貫養殖拠点日本経済新聞』2015年7月24日記事
  29. ^ ツナドリーム五島種苗センター開所式を実施~長崎県五島列島でクロマグロ種苗生産の本格稼働へ~豊田通商
  30. ^ 五島の椿プロジェクト(2020年3月22日閲覧)
  31. ^ 【見学案内】上五島石油備蓄株式会社
  32. ^ 宇久島メガソーラーパークPVDP社
  33. ^ 離島に日本最大430MWのメガソーラー、営農型で2015年に着工へITメディア2014年6月13日記事
  34. ^ 五島連系設備(松島奈良尾線ほか)の運用開始について 九州電力、平成17年6月9日(2023年4月9日閲覧)。
  35. ^ 九電、五島からの送電態勢整う/電力不足時、補う 四国新聞社、2011年12月1日(2023年4月9日閲覧)。
  36. ^ 五島列島沖に眠る旧日本海軍の潜水艦群(海上保安庁)
  37. ^ ハチクマの渡り(まるごと五島:五島市公式サイト)
  38. ^ a b c 長崎新聞 (2021年2月18日). “「五島列島コンビニ史」 99年、県内離島初“24時間”店 10年代ATM新設で利便性向上 | 長崎新聞”. 長崎新聞. 2021年2月18日閲覧。
  39. ^ 食品産業新聞社. “ポプラ 140店をローソンまたはローソン・ポプラに転換、残り320店は工場内や病院内など狭小商圏に特化”. 食品産業新聞社ホームページ. 2021年2月18日閲覧。






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