乱数放送 ニックネーム

乱数放送

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/12/08 15:34 UTC 版)

ニックネーム

乱数放送は放送の特徴によりリスナーらがあだ名を付している。ENIGMA2000などのマニアが作る組織によって分類コードもつけられている。

分類コードには次の意味がある。 E-英語 G-ドイツ語 S-スラブ語 V-その他の言語 M-モールス信号 X-その他デジタルなど

MI6が運営する「リンカーンシャー・ポーチャー」は、放送開始直後と放送の最後に同名のフォークソングを流すことから命名された。英語放送のため分類コードはE03である。「マグネティック・フィールド」は、放送の冒頭と最後にジャン・ミッシェル・ジャールの同名の曲を流す。「アテンシオン」は、送信の始めにスペイン語で「¡Atención! ¡Atención!」のフレーズが入る。

大衆文化への影響

1997年、乱数放送を録音した4枚組CD「The Conet Project: Recordings of Shortwave Numbers Stations (ザ・コネット・プロジェクト: 短波乱数放送の録音)」がイギリスの Irdial-Discsレコードレーベルからリリースされた[8][1]

乱数放送の音源を使用した楽曲に、ステレオラブの「Pause」、ポーキュパイン・ツリーの「Even Less」、クロマ・キー (en:Chroma Key) の「Even the Waves」、ウィルコの楽曲、などがある。ウィルコのアルバム『ヤンキー・ホテル・フォックストロット』は、サンプリングされたメッセージから採名した[1]スコットランド出身のテクノバンドボーズ・オブ・カナダは早い時期に乱数放送に影響を受け、ペル・ウブのスコット・クラウス (en:Scott Krauss) は乱数放送の熱心なファンで、いくつかの楽曲で乱数放送をフィーチャーした。DJシャドウはアルバム『Endtroducing...』でThe Conet Projectをサンプリングした。日本では石野卓球が高名なフレーズ‘Yankee Hotel Foxtrot’をモチーフにした楽曲「Y.H.F.」を発表してソロアルバム『CRUISE』に収録している。

キャメロン・クロウは、映画『バニラ・スカイ』のシーンで『ザ・コネット・プロジェクト』の一部をフィーチャーした。彼は混乱の感覚を作るために乱数放送の録音を使ったと述べた。

日本における実例および受信状況

日本周辺では北朝鮮が、乱数放送を用いて各国に潜伏するエージェントに向けた指令を送信している、と報道されている[9]日本人拉致が頻発した時期に不審な放送が確認されている[10]。旧電波型式表記のA3である振幅変調を用いる北朝鮮の通称「A3放送」は、南北首脳会談が開催された2000年以来長い中断をはさみ、2016年に再開された[9]

日本で良好に受信可能な乱数放送を下記する。

通称名(分類コード) 運用国 送信地 電波型式 送信形式 運用状況
A3放送(V15) 北朝鮮 北朝鮮 AM 伝文形式:3+2文字(数字)、読み上げ:男性/女性、朝鮮語 運用中
遊撃隊行進曲系統(M40) 北朝鮮 北朝鮮 CW/A2 例:"VVV $$$ $$$ $$$ DE $$$ $$$ QTC..." 運用中
CQ系(M40) 北朝鮮 北朝鮮 CW 例:"VVV CQ 747.135" R5 停止中
韓国語乱数放送(V24) 韓国 韓国 AM 伝文形式:3+2文字または2+2文字(数字)、読み上げ:女性、朝鮮語 運用中
広州呼叫(V09) 中国 中国 AM 読み上げ:女性、北京語 停止中
北京呼叫(V22) 中国 中国 AM 読み上げ:女性、北京語 運用中
星星広播電台(V13) 台湾 台湾 AM 読み上げ:女性、北京語 運用中
The Parrot(V28) 北朝鮮? 北朝鮮? AM 読み上げ:女性、朝鮮語 運用中
Chinese robot(VC01) 中国 中国 USB 読み上げ:女性のロボット、中国語 運用中
Counting Station (Cynthia)(E05) アメリカ アメリカ、日本、その他 USB ID:3文字(数字)+1234567890.....、読み上げ:女性、英語 停止中
Cherry Ripe(E03a) イギリス オーストラリアダーウィン市 USB Cherry Ripe+ID:5文字(数字).....+5文字(数字)、読み上げ:女性、英語 運用中
Japanese Slot Machine 日本 日本国千葉県市原市 USB デジタル変調が解読されたことがなく、内容不明。 運用中

注釈

  1. ^ 電波は国際的なものであるため、本来は放送局名や周波数などの情報について何らかの正式・公式なアナウンスがあるべきだが、それが無い例がほとんどである。

出典

  1. ^ a b c d e Jason Walsh「スパイご用達? 短波「乱数放送局」の謎WIRED.jp、2004年11月18日
  2. ^ a b Working at a numbers station, a story from a numbers stations operator Numbers Stations Research and Information Center
  3. ^ a b スパイに指令? 16年ぶりに「乱数放送」再開=北朝鮮 聯合ニュース、2016年7月19日
  4. ^ 北朝鮮が「太陽節」前日に暗号放送 新たな内容 朝鮮日報、2017年4月14日
  5. ^ DRMのデータ能力の要約 Archived 2006年2月9日, at the Wayback Machine.
  6. ^ Tracking the Lincolnshire Poacher: The Number Stations - BBC Raduio4(2005年4月23日放送, archive.orgにてアーカイブ済)
  7. ^ David Pescovitz"Salon People Feature | Counting spies"(キャッシュ) [Salon.com]、1999年9月16日
  8. ^ "The Shortwave And the Calling: For Akin Fernandez, Cryptic Messages Became Music To His Ears", The Washington Post, August 3 2004.
  9. ^ a b スパイに指令? 16年ぶりに「乱数放送」再開 朝鮮日報、2016年7月19日
  10. ^ アジア放送研究会 特異な暗号放送 日本人拉致事件と関連か





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