リーダー (記号) リーダー (記号)の概要

リーダー (記号)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/03/23 08:59 UTC 版)

日本語では多くの場合、文章中では無音の状態もしくは文の省略を表す。古来の日本語文書にはなく、欧文翻訳文において三点リーダー( ... )の代わりとして使用され始め、純粋な日本語文書にも定着した約物であり、分離禁止文字の1種である[1]

数学においては、継続を示す目的で使用される。また、図表中では項目同士をつなげる記号として使われる場合がある。

JIS X 0208では二点リーダ(‥)と三点リーダ(…)のみが規定されており、JIS X 0208に対応したフォントを搭載した現代の一般的なコンピューターにおいても二点リーダー(‥)と三点リーダー(…)のみが利用可能となっているが、昔の活字写植等のシステムでは二点・三点以外のリーダー(五点リーダーなど)も利用されていた。新聞では四点リーダーが使用されている例もある。

意図的に使い分ける執筆者もおり、例えば新井素子の小説『・・・・・絶句』(1987年)ではタイトルに「五点リーダー」、『あたしの中の……』(1977年)では「六点リーダー」[2]の使用が指定されている。

用法

主な用法は以下の通り。一部はダッシュと同じような機能である。

間、静寂
  • 会話の中で、無音の状態(数秒の間)を表す。
  • 二点リーダーの長さにより、その時間の長さを表現できる[3]
  • (例)「わかった…………、そうしよう。」
  • (例)「なるほど。……そうなのか。」
時間の経過
  • 時間の経過を表す。(余韻の意味が含まれる場合もある)
  • (例)……そして3分後。
  • (例)それから、100年もの時が過ぎた……。
余韻、感情
  • 文の末尾で余韻を感じさせる。
  • (例)数々の苦難を乗り越えて、約束の地ににたどり着いた……。
否定、変化
  • 文の末尾で余韻を感じさせつつ、否定や変化させる。
  • (例)死闘の末に、ついに宿敵を倒した……かに思われた。
長音
  • 歌詞における、長い長音で用いる。
  • の長音で用いる。
  • (例)ん……
省略
  • 引用で文の一部を省略していることを示す。
  • (例)書籍には「彼女があの日……と考えた」と記載されている。
具体例、候補
  • いくつかの具体例や候補を挙げる際に、使う場合がある。
  • (例)じゃがいも、にんじん、玉ねぎ……などの具材を使う。
  • (例)素数は、2, 3, 5, 7, 11, 13, 17……といった数字が並びます。
記号
  • 図や表で項目をつなぐ記号として使う。
  • (例)バナナ……2本/リンゴ……5個/ブドウ……1房

表記方法

縦書きでは縦に点が並び、横書きでは横に点が並ぶように記す。日本語表記やマルチバイト文字のコードでは、原稿用紙マスの真中を通るように点を並べる。多くの欧文フォント、マルチバイト文字のコードであってもスマートフォンやタブレットのOSにおける描画では、ベースライン上に点が並ぶ(例としてiOSのメモ機能で入力したリーダーはInDesignなどのレイアウトソフトにペーストすると仮想ボディの中央に配置される)。

Unicodeには数学記号領域にU+22EF midline horizontal ellipsisがあり、こちらはフォントによらず点が中央を通るが、句読点ではなく数学記号としての文字プロパティを持っているため、本文での使用は望ましくない[4]

「など」の2文字を略記する目的で、二点リーダーが使用されることもある。

紙媒体
原稿用紙で手書きをするときには、三点リーダーを2マス続けて書き入れるのが一般的だが、1946年(昭和21年)に文部省教科書局調査課国語調査室が作成した『くぎり符号の使ひ方〔句読法〕(案)』のテンテンの用例『(5)テンテン ……または…   テンセン  ………』と書かれていることから広まった可能性がある。なお、テンセンについては点9つで会話の無言の表現や、項目のつなぎに使うとされる。それ以前から植字の現場において、「」等と誤植しないために複数マスにわたって書かれていればリーダーと判断が可能であることから、出版業界の慣習であったとする説もある。
デジタル媒体
コンピュータでも原稿用紙と同じく、三点リーダーを2文字分続けて表記する用法があるが、必ずしも徹底されているとは言えない。Web上においては、二点リーダーが使われたり、中黒("・" 特に半角の"・")や読点("、")を並べてあったり、中には句点("。")を並べる人もいる。

PC・スマートフォン等における入力時に、中黒3つによる表記が散見される(紙媒体においても)。


  1. ^ Requirements for Japanese Text Layout 日本語組版処理の要件(日本語版)”. www.w3.org. W3C (2020年8月11日). 2021年12月30日閲覧。 “cl-08 分離禁止文字”
  2. ^ 1マスに6つの点があるリーダ。1977年刊行の奇想天外社版。1981年刊行の集英社コバルト文庫版以降では三点リーダが2つで代用されている
  3. ^ 例で説明すると、前者だと、単純に間が空いている表現となる。後者だと、続く言葉を告げるか迷っているような表現になる。
  4. ^ general categoryはhorizontal ellipsisがPo (punctuation, other)、midline horizontal ellipsisがSm (symbol, math)。
  5. ^ JIS X 4051 日本語文書の組版方法”. www.jisc.go.jp. 日本産業標準調査会 (2004年3月20日). 2022年1月2日閲覧。(要アカウント・要ログイン)
  6. ^ a b Requirements for Japanese Text Layout 日本語組版処理の要件(日本語版)”. www.w3.org. W3C (2020年8月11日). 2022年1月22日閲覧。
  7. ^ Requirements for Japanese Text Layout 日本語組版処理の要件(日本語版)”. www.w3.org. W3C (2020年8月11日). 2022年1月22日閲覧。 “§3.1.10 分割禁止”





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