モスラの歌 オリジナルバージョン

モスラの歌

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/01/27 13:59 UTC 版)

オリジナルバージョン

1978年5月にキングレコードからシングルレコードとしてモノラル音源で発売された後、ステレオ録音の音源が発見され、1995年発売の『「モスラ」オリジナル・サウンドトラック完全盤』に初収録された。

古関による直筆楽譜は、古関裕而記念館が所蔵している[12]

『ゴジラvsモスラ』バージョン

1992年11月4日に東芝EMIからシングルCDとして発売された[13]。当初シングルカットの予定はなかったが、東宝宣伝部と東宝音楽出版の説得により発売にこぎつけ、オリコンチャート最高65位にランクインするなど好調な売上を受け、EMIも急遽CMスポットを制作するに至った[13]

『ゴジラvsモスラ』劇中で使用されているバージョンは、音楽担当の伊福部昭が編曲を行った[14][15]。本曲の使用は脚本で指定されており、監督の大河原孝夫もこれを希望した[16]。脚本ではすべて「モスラの歌」となっていたが、大河原の要望により伊福部作曲による「マハラ・モスラ」「聖なる泉」も使用している[16]

旧作での原住民のイメージが強い太鼓は外され、伊福部の2曲に合わせたオーケストレーションとしている[14][15]。伊福部は、「モスラの歌」はポップス的な性格であったため、宗教的なバックハーモニーとしたが、拍を切らないよう指定したため指揮者には苦労をかけたと述懐している[17]。音楽プロデューサーの岩瀬は、格調高い名アレンジであったと評している[15]

平成モスラシリーズバージョン

小林恵、山口紗弥加の歌は1996年12月16日にポニーキャニオンから発売された『「モスラ」オリジナル・サウンドトラック完全盤』に収録された。

小林恵、建みさとの歌は1998年11月26日に東芝EMIから発売された『モスラ3 キングギドラ来襲』に収録された。

編曲を担当した渡辺は、エアリスが親モスラを呼ぶシチュエーションから明るくは歌えないと考え、今までにない「モスラの歌」になるよう新鮮な響きとなることを意識したという[18]。伴奏のマリンバパーカッションは、原始的な地球のエネルギーを表現している[18]

1作目では死を覚悟した親モスラが戦いに挑む場面で流れるためトラックダウン段階でエネルギッシュさを削ぎ落としており、『モスラ2』では1作目と同じアレンジとし、削ぎ落とした部分も復活させて用いている[19]。『モスラ3』では、アレンジは前2作と同じであるが、監督の米田興弘からの要望により『三大怪獣 地球最大の決戦』の挿入歌「幸せを呼ぼう」をオマージュしたモスラへの呼びかけを加えている[20]

『モスラ2』での新モスラに張り付いたベーレムをエリアスがビームで落とそうとするシーンでは、「モスラーヤ、モスラ」の部分のみを繰り返す「応援の歌」が用いられた[19]


注釈

  1. ^ 書籍『特技監督 中野昭慶』(電子書籍版)では、「本多のペンネーム」と記載されている[4]

出典

  1. ^ a b ゴジラ大百科 1992, p. 155, 構成 早川優「ゴジラ映画を100倍楽しむ100のカタログ 96 『モスラの歌』のルーツを探る」
  2. ^ インドネシア語のトリビア”. デジタルことばの窓. 新潟大学. 2023年8月11日閲覧。
  3. ^ "モスラの歌". デジタル大辞泉. コトバンクより2023年8月11日閲覧
  4. ^ 中野昭慶、染谷勝樹『特技監督 中野昭慶』(電子書籍版、ディスカヴァー・トゥエンティワン、2023年2月27日、p.49
  5. ^ a b 「本多猪四郎監督 長編インタビュー(1)」『モスラ / モスラ対ゴジラ』東宝出版事業室〈東宝SF特撮映画シリーズVOL.2〉、1985年1月1日、149-150頁。ISBN 4-924609-04-8 
  6. ^ a b c d 平成ゴジラ大全 2003, p. 185, 「COLUMN モスラの歌を求めて」
  7. ^ 中野昭慶「追悼・本多猪四郎監督 善い人で、映画が大好きだった人」『ゴジラVSメカゴジラ』東宝 出版・商品事業室〈東宝SF特撮映画シリーズVOL.8〉、1993年12月11日、170頁。ISBN 4-924609-45-5 
  8. ^ ヤマダ・マサミ「第5幕 平成チャンピオンまつり」『ゴジラ/見る人/創る人』ソフトガレージ、1999年12月26日、119頁。ISBN 4-921068-45-3 
  9. ^ a b モスラ映画大全 2011, pp. 44–47, 聞き手・中村哲 友井健人「インタビュー 本編助監督 針生宏」
  10. ^ 東宝SF特撮映画シリーズ13 1998, pp. 36–39, 「MAIN STAFF INTERVIEW 監督:米田興弘」
  11. ^ モスラ映画大全 2011, p. 47, 文・小野俊太郎「あの歌が耳に残る理由」
  12. ^ モスラ映画大全 2011, p. 110, 「モスラの音楽」
  13. ^ a b 平成ゴジラ大全 2003, pp. 197–198, 「破之参 『ゴジラVSモスラ』 追い風に乗った宣伝戦略」
  14. ^ a b 東宝SF特撮映画シリーズ7 1993, pp. 162–167, 「インタビュー 伊福部昭」
  15. ^ a b c 平成ゴジラ大全 2003, pp. 194–196, 「破之参 『ゴジラVSモスラ』 伊福部アレンジ版“モスラの歌”」
  16. ^ a b 東宝SF特撮映画シリーズ7 1993, pp. 74–79, 「インタビュー 大河原孝夫」
  17. ^ ゴジラ大百科 1992, pp. 70–72, インタビュー [[和田薫 (作曲家)|]]「INTERVIEW1 伊福部昭」
  18. ^ a b 東宝SF特撮映画シリーズ11 1996, pp. 42–43, 「インタビュー 渡辺俊幸」
  19. ^ a b 東宝SF特撮映画シリーズ12 1997, pp. 42–44, 「音楽 渡辺俊幸」
  20. ^ 東宝SF特撮映画シリーズ13 1998, pp. 42–44, 「MAIN STAFF INTERVIEW 音楽:渡辺俊幸」
  21. ^ a b c モスラ映画大全 2011, p. 64, 聞き手・友井健人 中村哲「インタビュー 本編助監督 梶田興治」
  22. ^ 決定版モスラ [廃盤] CDJourmal
  23. ^ 酒井康 著 『虹色の音詞II』(シンコーミュージック・エンタテイメント 1999年)254~255p
  24. ^ “相田翔子&森高千里 ピーナッツを歌う 女性歌手12組がデュエット”. ORICON STYLE. (2016年8月11日). https://www.oricon.co.jp/news/2076648/full/ 2016年8月12日閲覧。 






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