ミニマル・ミュージック ミニマル・ミュージックの概要

ミニマル・ミュージック

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/04/03 16:46 UTC 版)

ミニマル・ミュージック
Minimal music
様式的起源 実験音楽セリエル音楽、プロセス音楽、アヴァンギャルド音楽、インドの伝統音楽
文化的起源 1960年代初頭 アメリカ合衆国
派生ジャンル クラウトロックノイズロックストーナーロックポストミニマリズムトータリズム
サブジャンル
ドローン[1]
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歴史

ミニマル・ミュージックは、1960年代のアメリカで生まれた。この時期、テリー・ライリーの「In C」(1964年)やスティーヴ・ライヒの「It's Gonna Rain」(1965年)「Come Out」(1966年)などの作品が作られている。ラ・モンテ・ヤングの「弦楽三重奏」(1958年)をミニマル・ミュージックの始まりとする説もある[4]

同時期にヨーロッパでは、ルチアーノ・ベリオジェルジ・リゲティヘンリク・グレツキらも単純反復による音楽語法を試みており、これらの作風はアメリカのミニマル・ミュージックと類似している。1968年には当時、音楽評論家として活躍していたマイケル・ナイマンコーネリアス・カーデューの「The Great Digest」を評す際、当時は抽象絵画などを表現する時に用いられていた単語「ミニマリズム」を文中で用い、音楽評論で初めて「ミニマル」の概念を持ち込んだ[5]

ナイマンは、1974年の著書『実験音楽 ケージとその後 (Experimental Music: Cage and Beyond)』のラ・モンテ・ヤングに言及した節で、ヤングのヴェーベルン聴取を取り上げ[6]、「ミニマルなプロセスの音楽」の起源をセリエリズムであると主張している。ヤングは、セリーが形を変えて提示されても同一音高が同一オクターブで演奏される傾向を「静的」と解釈可能であると見たのである。

エリック・サティの後期作品の一部(「ヴェクサシオン」「家具の音楽」など)は、執拗な反復によって曲が成り立っており、ジョン・ケージの初期作品に影響を与えているという点で[7]、ケージの後に続いたミニマル・ミュージックへと続く音楽史の脈絡に深く影響している。

日本における潮流としてはヨシ・ワダ近藤譲藤枝守らが、欧州における潮流としてはトム・ジョンソン、ジェルジ・リゲティ、ジョン・マクガイヤーらがミニマル・ミュージックに類似する反復語法を自身の語法に取り入れている。作曲家の久石譲は、自らのコンサートの一部において、ミニマル・ミュージックの語法で書かれた作品を上演している。また、反復を基本とするオスティナート語法での作曲を長年続けていた伊福部昭のもとへテリー・ライリーが表敬訪問した[8]

代表的な作曲家

特に代表的な作曲家

著名な作曲家


  1. ^ 長期間、西ドイツ在住であったが、現在は帰国した
  2. ^ 子のTashi Wadaとともに親子二代でミニマリズムという稀有な例でもある
  3. ^ ポストミニマリズムという形容では、論及が難しい一派に対して使われ始めた
  1. ^ Cox & Warner 2004, p. 301 (in "Thankless Attempts at a Definition of Minimalism" by Kyle Gann): "Certainly many of the most famous minimalist pieces relied on a motorick 8th-note beat, although there were also several composers like Young and Niblock interested in drones with no beat at all. ... Perhaps “steady-beat-minimalism” is a criterion that could divide the minimalist repertoire into two mutually exclusive bodies of music, pulse-based music versus drone-based music.Steve Reich is thought of as the godfather of minimalism"
  2. ^ 外部リンク中の15.: Minimalism and melody New York minimalism - Minimalism in Europe - Melody 17.: Holy Minimalisms Pärt - Tavener and Górecki - (Messiaen) - Ustvolskaya
  3. ^ ジャン=イヴ・ボスール『現代音楽を読み解く88のキーワード 12音技法からミクスト作品まで』音楽之友社、2008年、p100-102.161-163。
  4. ^ 小沼純一『ミニマル・ミュージック その展開と思考』青土社、2008年、p21。
  5. ^ Experimental Music Cage and Beyond: Second edition p.130 chapter 7 minimalism 978-0-521-65383-1
  6. ^ 外部リンク
  7. ^ 外部リンク
  8. ^ 外部リンク中の上野インタビューにその記述がある。KAWADE夢ムック ISBN:978-4-309-97833-8


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