ペニー・レイン プロモーション・フィルム

ペニー・レイン

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/10/14 09:29 UTC 版)

プロモーション・フィルム

ビートルズは、1965年以降イギリスのテレビ番組に直接出演して演奏することを避けることを目的に、プロモーション・フィルムを制作して各テレビ局に配布していた[20]

「ペニー・レイン」のプロモーション・フィルムは、「ストロベリー・フィールズ・フォーエバー」と共に、ミュージック・ビデオとして認知されるようになった最初の例の1つとなった[21]。プロモーション・フィルムの監督は、スウェーデンのテレビディレクター、ピーター・ゴールドマンが務め、トニー・ブラムウェルによって制作された[22]。プロモーション・フィルムには、ペニー・レイン行きの46番バス、ロータリー交差点の真ん中に位置している待合室、白い馬に乗った消防士などリヴァプールで撮影された映像が含まれているが、ビートルズのメンバーが映っているシーンはロンドン東部のストラトフォードにあるエンジェルレーンで撮影された[23]。また、フィルムにはメンバーが乗馬する様子(2月5日に撮影)[24][25]ケント州セブンノークスのノール・パークで撮影された映像も含まれている[25]

リリース、文化的影響など

「ペニー・レイン」と「ストロベリー・フィールズ・フォーエバー」は、前作『エリナー・リグビー / イエロー・サブマリン』と同じく、両A面シングルとして発売された[26][27][28]。このシングルは、アメリカでは1967年2月13日[29]、イギリスでは同月17日に発売された[30]。シングル盤は、初めてビートルズのメンバーの写真を使ったオリジナル・スリーブが使われた作品となり[26][31]、裏面には各メンバーの幼年期の写真が使用された。シングル盤は『ストロベリー・フィールズ・フォーエバー / ペニー・レイン』は、全英シングルチャートにおいてエンゲルベルト・フンパーディンクの『リリース・ミー』に次ぐ第2位となり[32]、首位獲得を逃した。一方、アメリカでは本作の単独A面で発売され、1967年3月18日付のBillboard Hot 100で1位を獲得[33]。『ビルボード』誌の1967年度年間ランキングでは第55位[34]。『キャッシュボックス』誌では最高位2週連続第1位、年間ランキング45位を獲得した[35]。イギリスでは、キャピトル・レコードが発行したプロモーション用シングル盤に収録された「ペニー・レイン」は、ピッコロトランペットによるコーダが加えられたミックスになっている。このプロモーション用シングル盤は、発行数が少ないことからビートルズのグッズで最も価値のある品となっている。このミックスは、1980年に発表された『レアリティーズ Vol.2』や2017年に発売された『サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド (スーパー・デラックス・エディション)』のディスク6に収録されている[36]

1996年に発売された『ザ・ビートルズ・アンソロジー2』には、間奏が管楽器による合奏になっていて、ピッコロトランペットによるコーダが継ぎ足された音源が収録された[37]

2015年に再発売された『ザ・ビートルズ1』や2017年に発売された『サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド 50周年記念エディション』にはジャイルズ・マーティンによってリミックスされたものが収録されている。また、後者にはアウトテイクも収録されている。

メロディ・メーカー英語版』誌は、本作の管楽器のパートを「綺麗なアレンジ」とし、「感傷的な雰囲気を帯びたこの楽曲は、ビートルズがはっきりと覚えているリヴァプールの通りの切迫していて、カラフルで鮮明な思い出の中にゆっくりと組み立てられた」と評している[38]

ペニー・レインの標識

本作のヒットにより、ペニー・レインの道路標識の盗難および訪れたファンによる落書きが多発し、一部では標識はとりやめになりペンキで描かれるようになった[39]

2004年に『ローリング・ストーン』誌が発表した「ローリング・ストーンの選ぶオールタイム・グレイテスト・ソング500」では第456位[40]、2006年に『モジョ』誌が発表した「The 101 Greatest Beatles Songs」では第9位にランクインした[41]

ラトルズが1978年に発表した楽曲「Doubleback Alley」は、本作のパロディとなっている[42]

クレジット

※出典[43]

ビートルズ
外部ミュージシャン

注釈

  1. ^ ちなみに、1965年に発表されたレノン作の「イン・マイ・ライフ」のオリジナルの歌詞には、ペニー・レイン(通り)への言及が含まれており[8]、同作のレコーディングが始まったのと同じ時期のインタビューでマッカートニーは、「いつかペニー・レインについての曲を書きたい」と語っている。

出典

  1. ^ Ingham 2006, p. 195.
  2. ^ Heylin 2007, p. 153.
  3. ^ Philo 2014, p. 119.
  4. ^ Willis 2014, p. 220.
  5. ^ Courrier 2009, p. 157.
  6. ^ Simonelli 2013, p. 106.
  7. ^ The 500 Greatest Songs of All Time” (英語). Rolling Stone (2021年9月15日). 2021年12月21日閲覧。
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  21. ^ Austerlitz 2007, pp. 17–18, 19.
  22. ^ Winn 2009, p. 85.
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  39. ^ Turner 2012, pp. 132–133.
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  60. ^ The Cash Box Year-End Charts: 1967”. Cashbox Archives. 2020年8月5日閲覧。
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ペニーレイン (曖昧さ回避)

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ペニーレイン英語: Penny Lane




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