ブロムワレリル尿素
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検査法
簡易検査法
アルキル化剤としての性質を利用して、ニトロベンジルピリジン法により簡便な操作で検出できる。検査試料としては胃内容液あるいは尿1mlを用い、10μg/ml以上の濃度で検出可能であるがこの方法は有機リン系農薬でも陽性となるので、必ずコリンエステラーゼ活性値が低下していないかを確認する必要がある[19]。
機器分析法
ブロムワレリル尿素の測定法には「GC」、「GC/MS」、「HPLC」、「LC/MS」法があるが、熱に不安定でキャピラリーカラムを用いたGC法では分析が困難である。そのため「HPLC」を用いた方法が一般的に用いられる[19]。
過剰摂取の治療法
ブロムワレリル尿素と臭素の両方を考慮に入れる必要がありアセトアミノフェンを含有する場合は、これにも注意が必要である。ただし、1回摂取の急性中毒の場合は臭素が問題となることは少ない。胃内に多量に残存している場合が多いので、催吐、胃内容物の吸引、胃洗浄、必要に応じ活性炭投与を行う[20]。
吸収されたブロムワレリル尿素の排泄促進には強制利尿が効果的で、留置カテーテルによる導尿を行い、フロセミド静脈注射を反復投与する[20]。対処療法として昇圧剤、強心剤、呼吸興奮剤等の投与を、重症の場合は血液透析、血液灌流を行う[20]。中枢神経抑制だけならば、気道の確保を中心とする。慢性の臭素中毒の治療には、塩化物を投与する方法もある[19]。
参考文献
- 井上雄一「睡眠薬」『睡眠学』朝倉書店、2009年2月、657-661頁。ISBN 978-4254300901。
- 鶴見済『完全自殺マニュアル』太田出版、1993年。ISBN 9784872331264。 NCID BN10157682。全国書誌番号:95015752 。
関連項目
- 阿部定事件
- 氷点 - ヒロインの陽子が自殺を図る時に使用。
- 豊饒の海 - ヒロインの聡子の女中、蓼品が自殺を図る時に使用。
- 芥川龍之介 - 自殺に用いて完遂。(バルビタールを使ったとの説もある)
- 金子みすゞ - 服毒自殺に用いた。
- 太宰治 - これを用いて数回自殺未遂
- 田部シメ子 - 太宰治との服毒自殺の際に用いた(田部は死亡し太宰は生存)。太宰による短編小説『道化の華』のモデル。
- アダリン(カルブロマール) - ブロムジエチルアセチル尿素
- アリルイソプロピルアセチル尿素
- ^ 1937年の牧忠勝の『日本自殺考』では、内閣統計局と内務省の統計から(ブロムワレリル尿素の記述はないが)「毒による自殺」は、1909年(明治42年)の約3%から、1934年(昭和9年)では約20%までに増加しており、筆者はその増加について「特に毒を仰ぎては著しいのである」と記している:牧忠勝『日本自殺考』関西出版クラブ事務所、1937年、89-93頁。
- ^ a b c d e f g h i j k l m 橋田英俊、本田俊雄、森本尚孝、相原泰「市販鎮痛剤常用量の服用による慢性ブロム中毒の1例」『日本老年医学会雑誌』第38巻第5号、2001年、700-703頁、doi:10.3143/geriatrics.38.700。
- ^ a b c d e f 井上雄一 2009, pp. 657–658.
- ^ a b c d e 藤井基之「かぜ薬の承認基準および地方委譲について(セミナー)」『ファルマシア』第7巻第2号、日本薬学会、1971年2月、157-159頁、doi:10.14894/faruawpsj.7.2_157、NAID 110009914263。
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- ^ 東禹彦「アリルイソプロピルアセチル尿素とブロモバレリル尿素で同一部位に固定薬疹を生じた1例」『皮膚の科学』第13巻第6号、435-438頁、doi:10.11340/skinresearch.13.435、NAID 130005068497。
- ^ a b c “ブロムワレリル尿素”. 一般社団法人日本中毒学会. 一般社団法人日本中毒学会 (2018年10月3日). 2019年1月21日閲覧。
- ^ a b c ブロバリン原末インタビューフォーム
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