ブロムワレリル尿素 検査法

ブロムワレリル尿素

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/04/13 00:38 UTC 版)

検査法

簡易検査法

アルキル化剤としての性質を利用して、ニトロベンジルピリジン法により簡便な操作で検出できる。検査試料としては胃内容液あるいは尿1mlを用い、10μg/ml以上の濃度で検出可能であるがこの方法は有機リン系農薬でも陽性となるので、必ずコリンエステラーゼ活性値が低下していないかを確認する必要がある[19]

機器分析法

ブロムワレリル尿素の測定法には「GC」、「GC/MS」、「HPLC」、「LC/MS」法があるが、熱に不安定でキャピラリーカラムを用いたGC法では分析が困難である。そのため「HPLC」を用いた方法が一般的に用いられる[19]

過剰摂取の治療法

ブロムワレリル尿素と臭素の両方を考慮に入れる必要がありアセトアミノフェンを含有する場合は、これにも注意が必要である。ただし、1回摂取の急性中毒の場合は臭素が問題となることは少ない。胃内に多量に残存している場合が多いので、催吐、胃内容物の吸引、胃洗浄、必要に応じ活性炭投与を行う[20]

吸収されたブロムワレリル尿素の排泄促進には強制利尿が効果的で、留置カテーテルによる導尿を行い、フロセミド静脈注射を反復投与する[20]対処療法として昇圧剤、強心剤、呼吸興奮剤等の投与を、重症の場合は血液透析、血液灌流を行う[20]。中枢神経抑制だけならば、気道の確保を中心とする。慢性の臭素中毒の治療には、塩化物を投与する方法もある[19]

参考文献

関連項目


  1. ^ 1937年の牧忠勝の『日本自殺考』では、内閣統計局と内務省の統計から(ブロムワレリル尿素の記述はないが)「毒による自殺」は、1909年(明治42年)の約3%から、1934年(昭和9年)では約20%までに増加しており、筆者はその増加について「特に毒を仰ぎては著しいのである」と記している:牧忠勝『日本自殺考』関西出版クラブ事務所、1937年、89-93頁。 
  1. ^ a b c d e f g h i j k l m 橋田英俊、本田俊雄、森本尚孝、相原泰「市販鎮痛剤常用量の服用による慢性ブロム中毒の1例」『日本老年医学会雑誌』第38巻第5号、2001年、700-703頁、doi:10.3143/geriatrics.38.700 
  2. ^ a b c d e f 井上雄一 2009, pp. 657–658.
  3. ^ a b c d e 藤井基之「かぜ薬の承認基準および地方委譲について(セミナー)」『ファルマシア』第7巻第2号、日本薬学会、1971年2月、157-159頁、doi:10.14894/faruawpsj.7.2_157NAID 110009914263 
  4. ^ a b 厚生労働省医薬・生活衛生局安全対策課長『催眠鎮静薬、抗不安薬および抗てんかん薬の「使用上の注意」改訂の周知について (薬生安発0321第2号)』(pdf)(プレスリリース)https://www.pmda.go.jp/files/000217230.pdf2017年3月25日閲覧 、および、使用上の注意改訂情報(平成29年3月21日指示分)”. 医薬品医療機器総合機構 (2017年3月21日). 2017年3月25日閲覧。
  5. ^ a b “【薬食審】乱用防止へ販売数量制限‐一般薬配合7成分を指定”. 薬事日報. (2014年2月17日). http://www.yakuji.co.jp/entry34758.html 2015年9月29日閲覧。 
  6. ^ OTC医薬品 販売者・利用者各位 OTC医薬品の適正販売及び適正使用のお願い(2019年10月2日) 日本OTC医薬品協会
  7. ^ a b Ian Stolerman (2010). Encyclopedia of Psychopharmacology. Springer Science & Business Media. pp. 251. ISBN 9783540686989. https://books.google.co.jp/books?id=qoyYobgX0uwC&pg=PA251 
  8. ^ 角田信三、早川善平、松場喜六「急性「カルモチン」中毒3例に就いての考察」『消化器病学』第2巻第2号、1937年、325-329頁、doi:10.11405/nisshoshi1936.2.325 
  9. ^ 村瀬武吉「自殺ヲ目的トセル急性中毒患者ノ統計的觀察」『消化器病学』第2巻第3号、1937年、455-465頁、doi:10.11405/nisshoshi1936.2.455 
  10. ^ a b c 嶋津岳士「急性中毒と画像診断」『日本集中治療医学会雑誌』第13巻第2号、2006年、102-105頁、doi:10.3918/jsicm.13.102 
  11. ^ 鶴見 1993, p. 56.
  12. ^ 福永龍繁「監察医務院から見えてくる多剤併用」『精神科治療学』第27巻第1号、2012年1月、149-154頁。  抄録
  13. ^ 松本俊彦『よくわかるSMARPP―あなたにもできる薬物依存者支援』金剛出版、2016年、117頁。ISBN 9784772414746 
  14. ^ 柴田護, 鈴木則宏「5.薬物乱用頭痛」『日本内科学会雑誌』第96巻第8号、日本内科学会、2007年、1634-1640頁、doi:10.2169/naika.96.1634 
  15. ^ a b c d 医療用医薬品 : ブロムワレリル尿素 KEGG
  16. ^ ドーモ・編集『過去問から学ぶ登録販売者試験対策問題集』薬事日報社、2009年、107頁。ISBN 978-4840810845 
  17. ^ 上村直樹・編集『医薬品情報学』化学同人、2009年、140頁。ISBN 978-4759812718 
  18. ^ 東禹彦「アリルイソプロピルアセチル尿素とブロモバレリル尿素で同一部位に固定薬疹を生じた1例」『皮膚の科学』第13巻第6号、435-438頁、doi:10.11340/skinresearch.13.435NAID 130005068497 
  19. ^ a b c ブロムワレリル尿素”. 一般社団法人日本中毒学会. 一般社団法人日本中毒学会 (2018年10月3日). 2019年1月21日閲覧。
  20. ^ a b c ブロバリン原末インタビューフォーム






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