ブロムワレリル尿素 副作用

ブロムワレリル尿素

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/04/13 00:38 UTC 版)

副作用

以降に記すが、慢性的な摂取で臭化物中毒(bromid intoxication、ブロム中毒:bromism)をきたすが、症状は多彩で、精神、認知、神経、また皮膚の症状を生じる[7]。また、薬剤の服用を中止した場合、離脱症状による頭痛が生じる事がある[14]

過敏症
発疹、紅斑、そう痒感等の過敏症状[15]
消化器
悪心・嘔吐、下痢等[15]
精神神経系
頭痛、めまい、ふらつき、知覚異常、難聴、興奮、運動失調、抑うつ、構音障害等[15]
その他
発熱[15]

依存性

反復して摂取すると依存を生じることがある[16]。服用後、眠気が現れることがあり、乗り物や機械類の操作をしないよう注意する必要がある[17]

日本では2017年3月に「重大な副作用」の項に、連用により薬物依存症を生じることがあるので用量と使用期間に注意し慎重に投与し、急激な量の減少によって離脱症状が生じるため徐々に減量する旨が追加され、厚生労働省よりこのことの周知徹底のため関係機関に通達がなされた[4]

急性中毒

急性中毒では、見当識(いつ、どこ、だれの認識)の障害、言語障害、歩行障害などをきたす[1]。呼吸抑制も生じる。服薬中止や輸液により数日から、遅くて数週間で回復するが、それ以降に残る症状は障害となったものと考えられる[1]

薬物鑑別のため、尿中乱用薬物のスクリーニングに用いる検出キット「トライエージDOA」では、ブロムワレリル尿素は検出できない[10]。一般に中毒症状の診断に画像検査を用いることは少ないが、ブロムワレリル尿素はX線に不透過のため、X線撮影が利用できる[10]

慢性ブロム中毒

小脳、特に虫部の萎縮をきたすことがある[1]

アリルイソプロピルアセチル尿素によって薬疹を生じた患者で、ブロムワレリル尿素でも薬疹を起こし、交差反応が生じた例が報告されている[18]


  1. ^ 1937年の牧忠勝の『日本自殺考』では、内閣統計局と内務省の統計から(ブロムワレリル尿素の記述はないが)「毒による自殺」は、1909年(明治42年)の約3%から、1934年(昭和9年)では約20%までに増加しており、筆者はその増加について「特に毒を仰ぎては著しいのである」と記している:牧忠勝『日本自殺考』関西出版クラブ事務所、1937年、89-93頁。 
  1. ^ a b c d e f g h i j k l m 橋田英俊、本田俊雄、森本尚孝、相原泰「市販鎮痛剤常用量の服用による慢性ブロム中毒の1例」『日本老年医学会雑誌』第38巻第5号、2001年、700-703頁、doi:10.3143/geriatrics.38.700 
  2. ^ a b c d e f 井上雄一 2009, pp. 657–658.
  3. ^ a b c d e 藤井基之「かぜ薬の承認基準および地方委譲について(セミナー)」『ファルマシア』第7巻第2号、日本薬学会、1971年2月、157-159頁、doi:10.14894/faruawpsj.7.2_157NAID 110009914263 
  4. ^ a b 厚生労働省医薬・生活衛生局安全対策課長『催眠鎮静薬、抗不安薬および抗てんかん薬の「使用上の注意」改訂の周知について (薬生安発0321第2号)』(pdf)(プレスリリース)https://www.pmda.go.jp/files/000217230.pdf2017年3月25日閲覧 、および、使用上の注意改訂情報(平成29年3月21日指示分)”. 医薬品医療機器総合機構 (2017年3月21日). 2017年3月25日閲覧。
  5. ^ a b “【薬食審】乱用防止へ販売数量制限‐一般薬配合7成分を指定”. 薬事日報. (2014年2月17日). http://www.yakuji.co.jp/entry34758.html 2015年9月29日閲覧。 
  6. ^ OTC医薬品 販売者・利用者各位 OTC医薬品の適正販売及び適正使用のお願い(2019年10月2日) 日本OTC医薬品協会
  7. ^ a b Ian Stolerman (2010). Encyclopedia of Psychopharmacology. Springer Science & Business Media. pp. 251. ISBN 9783540686989. https://books.google.co.jp/books?id=qoyYobgX0uwC&pg=PA251 
  8. ^ 角田信三、早川善平、松場喜六「急性「カルモチン」中毒3例に就いての考察」『消化器病学』第2巻第2号、1937年、325-329頁、doi:10.11405/nisshoshi1936.2.325 
  9. ^ 村瀬武吉「自殺ヲ目的トセル急性中毒患者ノ統計的觀察」『消化器病学』第2巻第3号、1937年、455-465頁、doi:10.11405/nisshoshi1936.2.455 
  10. ^ a b c 嶋津岳士「急性中毒と画像診断」『日本集中治療医学会雑誌』第13巻第2号、2006年、102-105頁、doi:10.3918/jsicm.13.102 
  11. ^ 鶴見 1993, p. 56.
  12. ^ 福永龍繁「監察医務院から見えてくる多剤併用」『精神科治療学』第27巻第1号、2012年1月、149-154頁。  抄録
  13. ^ 松本俊彦『よくわかるSMARPP―あなたにもできる薬物依存者支援』金剛出版、2016年、117頁。ISBN 9784772414746 
  14. ^ 柴田護, 鈴木則宏「5.薬物乱用頭痛」『日本内科学会雑誌』第96巻第8号、日本内科学会、2007年、1634-1640頁、doi:10.2169/naika.96.1634 
  15. ^ a b c d 医療用医薬品 : ブロムワレリル尿素 KEGG
  16. ^ ドーモ・編集『過去問から学ぶ登録販売者試験対策問題集』薬事日報社、2009年、107頁。ISBN 978-4840810845 
  17. ^ 上村直樹・編集『医薬品情報学』化学同人、2009年、140頁。ISBN 978-4759812718 
  18. ^ 東禹彦「アリルイソプロピルアセチル尿素とブロモバレリル尿素で同一部位に固定薬疹を生じた1例」『皮膚の科学』第13巻第6号、435-438頁、doi:10.11340/skinresearch.13.435NAID 130005068497 
  19. ^ a b c ブロムワレリル尿素”. 一般社団法人日本中毒学会. 一般社団法人日本中毒学会 (2018年10月3日). 2019年1月21日閲覧。
  20. ^ a b c ブロバリン原末インタビューフォーム






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