ピストン運動
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/03/18 09:23 UTC 版)
利用の歴史
この「シリンダー・ピストン」構造は一定の金属加工技術が在れば簡単に製作できる事から、産業革命の時代には蒸気機関(蒸気エンジン)が盛んに動力として利用された。水蒸気では余り高い圧力が得られなかったが、水が沸騰できる低い温度でも一定の圧力が得やすい他、大型化することで低圧でも充分実用的な装置を作ることができ、産業・交通面で大いに利用された。
初期のものでは直径が1 - 5メートルもあるような大型のはずみ車を必要としたが、後にこれは金属加工技術の向上などによって小型化されていった。初期のものはイギリスのロンドンにある科学博物館で蒸気エンジン実動模型(ただし現在展示中のものはモーターではずみ車を回転させている)を見る事ができる。小型の物ではアルコールランプを使った模型が同ロンドン市内のハムレーズ(玩具専門百貨店)でも購入可能である。
これら蒸気エンジンは気密性を保持するために油を浸した布などが利用されており、このパッキン構造で高圧蒸気の圧力をピストンに伝えていた。この構造は燃焼などの熱に耐えられないため、これを応用・発展させて内燃機関にする事は到底不可能である。
後に金属の切削加工技術が発達、鉄などの耐熱性のある金属(パッキングに石綿も利用した)のみで構成された密閉シリンダー構造が可能となると、ガソリンエンジンが作れるようになった。現在では金属加工技術は更に向上、ディーゼルエンジン等の高温・高圧で駆動するエンジンも一般に広く利用されている。
これらは高圧のガスで駆動させる構造であるため、ボンベ等に蓄えられた高圧ガス(圧縮空気や炭酸ガスといったもの)で駆動する物も作る事ができる。1980年代以降には、アクリル樹脂でできた圧縮空気によって駆動する空気エンジンを搭載した玩具も数多く登場している。
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