トランスフォーマー (2007年の映画)
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登場兵器
- F-22 ラプター
- AC-130 スペクター
- A-10 サンダーボルト
- V-22 オスプレイ
- MH-53 ペイブロウ
- UH-60 ブラックホーク
- RQ-1 プレデター
- M1エイブラムス
- フォースプロテクション・バッファロー
- ダネルMGL
- M4カービン
スタッフ
- 監督 マイケル・ベイ
- 製作 ドン・マーフィー、トム・デサント、ロレンツォ・ディ・ボナヴェンチュラ、イアン・ブライス
- 製作総指揮 スティーヴン・スピルバーグ、マイケル・ベイ、ブライアン・ゴールドナー、マーク・ヴァーラディアン
- 製作補佐 ケニー・ベイツ
- 脚本 アレックス・カーツマン、ロベルト・オーチー、ジョン・ロジャース
- 編集 ポール・ルベル、グレン・スキャントルベリー
- 撮影 ミッチェル・アムンドセン
- 撮影第二班 ルーカス・エリントン
- 視覚効果 スコット・ファーラー
- アニマトロニクス監修・操演 グレゴリー・ニコテロ
- 美術 ナイジェル・フェルプス
- 衣装 デボラ・リン・スコット
- 音楽 スティーヴ・ジャブロンスキー
- 主題歌 リンキン・パーク「ワット・アイヴ・ダン」
- VFX インダストリアル・ライト&マジック、デジタル・ドメイン、CLMスタジオ
- 字幕翻訳:松崎広幸
- 吹替翻訳:岸田恵子
- 吹替演出:三好慶一郎
作品解説
何度か実写化は企画されてきたものの映像面の問題や物語展開が困難などの理由で不可能とされてきたが、映画会社が実写化を強く要望したためついに実現した。
企画の段階ではスティーヴン・スピルバーグが監督する意思があったが、脚本が完成した段階でメガホンを取る時間が割けず、また脚本の内容から「自分よりも若い監督がメガホンを取るべき」と判断したため、製作総指揮にまわりマイケル・ベイに監督を依頼した。スピルバーグは製作総指揮だけではなく、ベイ監督にも演出面で経費を節約するアドバイスを行っており、2億ドル以上かかると言われた本作品の制作費を1億5千万ドルまで抑えた。
マイケル・ベイは監督オファーの話が来た際、子ども向け玩具を原作とする本作品の監督をすることに難色を示していたが、ハズブロのトランスフォーマーに関する研修を受けさせてもらい、映像資料などを観ていくうちに考えを改めたという[18][19]。終盤においてメガトロンに指一本で弾き飛ばされた男性はエキストラ出演したマイケル・ベイ本人である。
ILMのVFXチームは、同時期に『パイレーツ・オブ・カリビアン/ワールド・エンド』のVFX制作の依頼が来ていたが、スタッフのほとんどがトランスフォーマーのファンだったため、同映画の制作を蹴って本作品を選んだ[要出典]。
ダイ・ハード4.0、スパイダーマン同様、少年が困難に対処する中で男気を発揮し、最後に憧れの女性の心をつかむというサクセス・ラブロマンスの形式となっている。
コンセプト・デザイン
作中でバンブルビーが変形する新型カマロを使用するにあたり、ゼネラルモーターズが自社ブランド自動車の使用を条件に出したことから、オプティマス・プライムとバリケードを除く主要車種がGM社の車で統一されている。
キャラクター作りはタカラトミーから間接的な協力を得て[16]、オリジナルにできるだけ忠実ながら実在性を考えてデザインされた。総勢20人ほどのデザイナーが集められデザインされている。
本作品の製作中にオプティマス・プライムの実写用のコンセプトデザインがネットに流出した際、マイケル・ベイはそのデザインに不満を抱いたファンから脅迫を受けたことがある(「マイケル・ベイを捕まえて殺す」など)[20]。
VFX
トランスフォーマーたちの変形シーンはマイケル・ベイのワンカットでみせたいという要望に応え細部までリアルに作り込まれている。最大で2万個以上の部品[21]が動く複雑な変形シーンのアニメーションはCGアーティストの山口圭二が担当した[22]。一体辺り数万という破格の部品数で構成されていたことから、製作当初動かそうとしただけでILM300台のパソコンが一斉に停止するという事態を引き起こした。
本作品のトランスフォーマーたちの動きにモーションキャプチャは使われておらず、全てアニメーターたちの手作業により動きを付けられている。ただし、戦闘シーンに関してはスタントマンたちによって行われた実際の立ち回りのテストショットをベースにしている。また合成に必要なブルーバックなどもほとんど使用されなかった。
『超時空要塞マクロス』(同じショットが連発されている)など[23]、日本のロボットアニメーションも参考にしている[24]。
演出
本作品ではトランスフォーマーの巨大感を出す演出に際し、遠くに居る場合は遅く、近くに居る場合は素早くといった演出方法を取っている。これはカメラから遠い場合は遅い動きの方が重量感が出るが、カメラに近ければ巨大なロボットがスピード感のある演出で動き回っても違和感がないという判断に基づいた演出である[25]。
脚本が軍を好意的に描いているため戦闘シーンはアメリカ軍の全面協力を得ることが出来、エキストラの多くに現役軍人や退役軍人などが参加している。またF-22・MH-53 ペイブロウ・V-22 オスプレイ・A-10 サンダーボルトII・AC-130 ガンシップなどは模型やCGではなく本物が貸し出され、他の映画では見られない、これらの兵器が大活躍している臨場感ある稀少なシーンを撮影することが出来た。
カタールでスコルポノックとの戦闘でアメリカ国防総省を呼び出す際に、クレジットカードの使用の有無で手間取っていたが、これは湾岸戦争において実際の戦闘であったエピソードをモチーフにしている。
評価
受賞
第34回サターン特殊効果賞、第17回MTVムービー・アワードではベスト作品賞を受賞。
スクリーム賞では最優秀SF映画賞に選ばれ、オプティマス・プライムとメガトロンの最終決戦が「"Jump-From-Your-Seat" Scene of the Year」に輝いた。
第80回アカデミー賞では録音賞、音響編集賞、視覚効果賞に候補としてノミネートされた。
注釈
- ^ 玩具関係の資料では、ケンワースW900トレーラートラックであるとされることが多い[3][4][5]。撮影に用いた車両は古い型の中古車両で、外装を大幅に改造した上で用いられている[6]。
- ^ 本編でオプティマス・プライムには「My first lieutenant(私の副官)」と紹介されているが、字幕では将軍、吹き替え版では将校と意訳されている。
- ^ 本作品には実物のM1エイブラムスも登場している(カタール基地の襲撃シーン他)が、ブロウルの変形する戦車として撮影で使用されたものはM1エイブラムスを元にデザインされたオリジナル車両で、大型トラックや建設機械のシャーシと走行装置を用いて製作されたプロップ車両であり、実在していない[14]。
なお、この車両は2005年公開(日本では劇場未公開)の『トリプルX_ネクスト・レベル(xXx: State of the Union)』に登場する「ステルス戦車(Stealth Tank)」として製作されたプロップに改造を加えたものである[15]。 - ^ タカラトミーの玩具開発スタッフによれば、デバステーター→ブロウル→デバステーターと二転三転したという[16]。
- ^ ただし、玩具化が予定されつつも映像作品のデザインが先行した作品としては『戦え!超ロボット生命体トランスフォーマー2010』などの前例がある。
出典
- ^ a b c “Transformers (2007)”. Box Office Mojo. 2022年8月28日閲覧。
- ^ “日本映画産業統計 過去興行収入上位作品 (興収10億円以上番組) 2007年(1月~12月)”. 社団法人日本映画製作者連盟. 2010年4月9日閲覧。
- ^ a b c d e f 「トランスフォーマーでわかったタカラトミーの技術力」『モノ・マガジン』第26巻第12号(通巻564号)、ワールドフォトプレス、2007年7月、190-191頁、雑誌 28751-7/2、EAN/JAN 4910287510771-00590。
- ^ a b 電撃ホビーマガジン2007年9月号、260頁。
- ^ ULTIMATE GUIDE、6頁。
- ^ スペシャル・コレクターズ・エディション、Disc2、§オートボット 出動、該当時間8分20秒-9分31秒。
- ^ スペシャル・コレクターズ・エディション、Disc2、§オートボット出動、該当時間1分54秒-2分32秒。
- ^ フォスター & 中原 2007, p. 100
- ^ フォスター & 中原 2007, p. 104
- ^ フォスター & 中原 2007, p. 20
- ^ スペシャル・コレクターズ・エディション、Disc2、§オートボット 出動、該当時間6分7秒-7分3秒。
- ^ フォスター & 中原 2007, p. 349
- ^ スペシャル・コレクターズ・エディション、Disc2、§ディセプティコン 襲来、該当時間11分16秒-11分37秒。
- ^ Internet Movie Firearms Database>Transformers_(2007)>Talk:Transformers(2007)>2.8Devastator/Brawl
- ^ Internet Movie Firearms Database>XXX: State of the Union>6 Other>6.7 Stealth Tank
- ^ a b c d ULTIMATE GUIDE、16頁。
- ^ スペシャル・コレクターズ・エディション、Disc2、§ディセプティコン 襲来、該当時間9分31秒-10分28秒。
- ^ “マイケル・ベイ監督、本当は「トランスフォーマー」を撮りたくなかった!?”. 映画ニュース (映画.com). (2007年7月24日) 2010年12月9日閲覧。
- ^ スペシャル・コレクターズ・エディション、Disc2、§物語の始まり、該当時間1分57秒-3分4秒。
- ^ スペシャル・コレクターズ・エディション、Disc2、§ロボットの起源、該当時間4分32秒-5分16秒。
- ^ 電撃ホビーマガジン2007年9月号、256頁。
- ^ “世界で活躍するクリエイターに訊く、日本のコンテンツの真価”. Variety Japan (2007年11月12日). 2008年1月28日閲覧。
- ^ 河森正治 (2007). “『トランスフォーマー』特別仕様!”. ぴあ (2007年8月16日号): 15頁.
- ^ マイケル・ベイ『トランスフォーマー 映画プログラム』東宝(株)出版・商品事業室、2007年8月4日、6頁頁。
- ^ 「PRODUCTION NOTES ACT 5 トランスフォーマーに命を吹き込む」『トランスフォーマー 映画プログラム』東宝(株)出版・商品事業室、2007年8月4日、23頁。
- ^ “トランスフォーマー スペシャル・コレクターズ・エディション / Transformers special collector's edition [Blu-ray / パラマウント ジャパン]”. paramount.nbcuni.co.jp. 2020年2月24日閲覧。
- ^ “トランスフォーマー スペシャル・コレクターズ・エディション / Transformers special collector's edition [DVD / パラマウント ジャパン]”. paramount.nbcuni.co.jp. 2020年2月24日閲覧。
- ^ “「トランスフォーマー」HD DVDオンリーにベイ監督激怒……一転謝罪”. ITmedia News (ITmedia). (2007年8月22日) 2010年6月9日閲覧。
- ^ 北米市場ではターゲットという量販店で限定販売された。
- ^ 「THE TRANSFORMERS 20周年大特集」『フィギュア王』No.82通巻509号、ワールドフォトプレス、2004年11月、30頁、ISBN 4-8465-2509-0。
- ^ a b 電撃ホビーマガジン2007年9月号、265頁。
- ^ a b c 岩村拓也 (2007年5月24日). “実写映画と連動 - 「トランスフォーマー」の新作玩具が130カ国で同時発売”. マイコミジャーナル (毎日コミュニケーションズ) 2010年6月8日閲覧。
- ^ 電撃ホビーマガジン2007年9月号、261頁。
- ^ 電撃ホビーマガジン2007年9月号、264頁。
- ^ a b 政宗一成(インタビュー)「トランスフォーマー ナレーター 政宗一成氏のコメント」(SWF)『Yahoo!動画 タカラトミーチャンネル』、2009年6月8日。 オリジナルの2009年6月9日時点におけるアーカイブ 。2010年6月8日閲覧。
- ^ 『2008年3月期中間決算説明会』(PDF)(プレスリリース)タカラトミー、2007年11月20日、13頁頁 。2010年6月8日閲覧。
- ^ a b 「特集 トランスフォーマー2010」『フィギュア王』No.144通巻804号、ワールドフォトプレス、2010年2月、28頁、ISBN 978-4-8465-2804-1。
- ^ 『トランスフォーマージェネレーション2010』ミリオン出版、2010年11月24日、93頁頁。ISBN 978-4-8130-2130-8。
- ^ “書籍詳細 トランスフォーマー ゴースト・オブ・イエスタデイ”. ハヤカワ・オンライン. 早川書房. 2010年6月15日閲覧。
- ^ “書籍詳細 トランスフォーマー”. ハヤカワ・オンライン. 早川書房. 2010年6月15日閲覧。
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