テールスキッド
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/05/31 04:47 UTC 版)
概要
第二次世界大戦ごろまで、飛行機の主流はレシプロエンジン推進のプロペラ機であったが、これらの機体の多くは尾輪式であった。尾輪式とは、ランディングギア(降着装置)の形態の一種で、重心のやや前方にメインギア(主脚)を備え、尾部付近に小型の尾輪を備えたものをいう。もう少し時代をさかのぼると、尾部のギアが単なる棒状や鉤状あるいはループ状の部材であった時期もあり、こうしたものは尾橇(びぞり)あるいはテールスキッドと呼ばれる。
現代では、ほとんどの飛行機のランディングギアは前輪式(メインギアと、機首下面にノーズギア〈前脚〉をもつ形態)だが、旅客機や輸送機、爆撃機などの一部で胴体の長い機体が引き込み式のテールスキッドを装備することがある。これは胴体が長くなれば、機体を引き起こす際に尾部を滑走路に擦る事故が発生する可能性が増すためである。飛行中は抗力低減のために格納される。
代表的な装備機種はボーイングの767-300や777-300、エアバスのA340など。
超音速旅客機コンコルドにも同様の目的の物が装備されているが、前述の機体と違うのは長さもさることながら、その特性上離着陸時には揚力を稼ぐために迎え角を大きく取る必要がある点である。なお、当該部品の構造も前述の機体とは異なり車輪があるのでテールスキッドというよりも「尾輪」である。
ブリティッシュ・エアウェイズの 767-300 の尾部を機体左側から見たところ。写真向かって左が前方。胴体下面から斜めに突き出たテールスキッドが見える。
胴体後端の円筒状のものはAPU(補助動力装置)の排気口。
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