ソリッドステートドライブ
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外形状とインタフェース
外装が全体を保護・支持するが内蔵型のものでは外装を持たないものもある。USBに対応することで、外付けSSDとして使用できるものも存在する。
HDDの代替デバイスとして
HDDの代替デバイスとして使われるため、HDD同様のインタフェースを持つものが多い。初期の頃にはIDE端子を搭載するSSDがあり、シリアルATA(SATA)移行前の古いノートPCでもATA接続で利用することが可能であった。また、ATA(IDE)端子に対しSATA・SSDを接合するゲタとよばれるアダプタも開発された。他にも、主に1.8インチHDDのリプレイス用としてZIFやLIFに対応したものも開発された。HDDでSATAが主流になるにつれて、SSDもSATA接続に対応したものが主流になった。
なお、SSD普及の時期から、ほとんどのドライブはSATAインターフェイス搭載であるが、従来のIDEインターフェース搭載の古いPCでも使えるようにしたものもある[24]。
SSDの大きさに関する標準規格はないが、1.8インチや2.5インチといった小型HDDの形状に対応したマウント部を持つ外装が存在する[14]。2013年5月時点では、ノートパソコンで多用される2.5インチハードディスクドライブ(HDD)のサイズおよびねじ穴位置に合わせたものがほとんどである。そのため、デスクトップパソコンの3.5インチベイに取り付けられるアダプタが付属するものも多い。厚さは7ミリと9.5ミリのものがある。なお、ノートパソコンに取り付ける(HDDと置き換える)場合、パソコン本体によっては(薄型のモバイル機など)7ミリ厚のものしか対応できない場合があり、注意が必要である。
SSD専用フォームファクタ・規格
2013年頃からmSATA(mini-SATA)に対応したSSDが登場した。mSATAはシリアルATAと同じ規格の信号を利用した端子で、通常のHDDやSSDと違って基板上に直接実装でき、電源コネクタと信号ケーブルが不要となり且、旧来のHDDの外殻に合わせたサイズ・形態から解放されるため、省スペース化が必要な小型PCやノートPCに利用される。mSATAに対応した製品によっては、Intel Smart Response Technology(ISRT)で使用するHDDキャッシュに用いられるが、通常のHDD(1.8インチHDD)と同じ単体のSSDとして使えるものもある。
SSDはHDDのアクセス速度を大きく改善するという目的を達成したが、やがてHDDの速度を想定して作られたインタフェース規格の転送速度の上限に達した。SATA Expressなどより高速なPCI Express等の従来規格を利用した製品が登場したほか、M.2、U.2など専用のフォームファクタ・規格に準拠した製品、AHCIの代わりにNVM Express(Non-Volatile Memory Express, NVMe)を利用した製品などがある。
上述の通り、SSDはHDDとは明確に異なる動作原理を有し、その特性もHDDとは大きく異なる。このため、形状・耐久性から制御コマンドに至る広範な規格の標準化が求められている。
アメリカの工業化規格団体のひとつであるJEDECは、2007年より小委員会においてSSDの標準化作業を開始し、2010年9月に「SSDが要求される機能および耐久性試験の方法に関する規格」(JESD218)と「耐久性試験を行う際にかかる負荷に関する規格」(JESD219)を策定した。標準化作業は現在も進行中である。
また、OSとSSD間の通信に用いるコマンドセットなどのインタフェースに関しては、2008年4月にインテルがマイクロソフトやデルと共同で「不揮発性メモリ ホストコントローラインターフェース規格」(NVMHCI Spec. Rev 1.0)を発表している。
組み込み向け
スマートフォンその他の組み込み機器に搭載されるフラッシュメモリのインタフェースは、SATAではなくeMMCが主流である。一部のノートパソコンやタブレットにはeMMCのSSDが搭載されている[25][26]。
また、eMMCの後継候補としてUniversal Flash Storageと言う規格がある。
注釈
出典
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- ^ 例:マウスコンピューター m-Book F シリーズの一部モデル、ドスパラ GALLERIA GCF1070NF
- ^ デル公式サイト、ノートパソコン
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- ^ a b https://eetimes.itmedia.co.jp/ee/articles/1205/08/news057.html
- ^ ハイエンド・ストレージの世界もSSD、アメリカ・EMCが大手ベンダー初の製品発表 マイコミジャーナル
- ^ SunもSSD製品投入へ、ハイエンドサーバの世界で急速に広がるSSD マイコミジャーナル
- ^ “【Hothotレビュー】エントリー向けSSDの新定番になるか?「Samsung SSD 980」を試す - PC Watch”. 2022年6月17日閲覧。
- ^ 参照外部リンク
- ^ 【特集】Windowsでストレージの空きが足りなくなったときに試すこと PC Watch
- ^ ARROWS Tab Q508/SB 仕様
- ^ Windows 7のSSD対応追加情報 - インプレス
- ^ 進歩する Linux カーネル 2009年03月24日 IBM
- ^ SPARC/Solarisへの投資継続を表明、オラクル 「Solaris OSではSSDを統合してI/O性能を劇的に向上するファイルシステム「ZFS」を持つ」
- ^ イノベーションの歴史 - サンディスク(日本法人)Webサイトより
《2014年4月29日閲覧(→アーカイブ) 当該ページ内に設置されている西暦年タグで「'91」タグを選択することで閲覧可能》 - ^ a b c 福田昭「【IMW 2011レポート】NANDフラッシュメモリの過去、現在、未来」『PC Watch』、Impress Watch Corporation、2011年5月31日、2014年4月29日閲覧。《→アーカイブ》
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上記記事のオリジナル:Lucas Mearian (2012年12月18日). “ついに「1GB=1ドル」を切り、SSDは本格普及へ向かう”. COMPUTERWORLD (IDG) 2014年4月29日閲覧。※現在はインターネットアーカイブに残存 - ^ 株式会社インプレス (2012年3月9日). “Western Digital、日立HDD事業の買収を完了 〜現金と株式で約48億ドル”. PC Watch. 2018年12月29日閲覧。
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- ^ 速い。長い。SSDモデルなら約10秒の高速起動 ジャケットスタイルモバイル レッツノートJ10
- ^ MtronとSuper Talentが高性能/高信頼性をアピール PC Watch
- ^ Super Talent's MasterDrive MX series Data Sheet
- ^ SSDにデータを書込みまくり再起不能に追い込む耐久試験で分かった信頼性に関する真実とは? GIGAZINE、2015年3月16日
- ^ 制御ICで決まるSSD、微細化進展で信頼性確保が課題に EE TIMES Japan
- ^ DOS/V POWER REPORT 2018年10月号 p58
- ^ M.2 SSDは冷却が必要?・・・・・・など、“ストレージのギモン” 3点を解決
- ^ よく冷える最速クラスのNVMe SSD「Plextor M9Pe(Y)」の実力をテスト
- ^ 最新SSD完全解説 | SSD完全攻略マニュアル | DOS/V POWER REPORT
- ^ “PCの動作が突然止まってしまう!SSDの謎の不具合「プチフリ」の原因と対策は?”. 2020年2月15日閲覧。
- ^ 『Intel SSD 320』“8MB病”に対処するファームウェアをアップデート
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