ソフトウェア・シンセサイザー 方式

ソフトウェア・シンセサイザー

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/10/24 21:42 UTC 版)

方式

多くのソフトシンセはそれ単体で発音させることもできるが、実際に音楽制作で使う際には他のソフトと連携させる必要があるため、ホストとなるシーケンサーソフト上でプラグインの形で制御される。現在はオペレーティングシステムやシーケンサーの開発元がそれぞれに提唱した複数の制御方式があり、統一はされていない。汎用規格としてはVSTAUDXi、特定シーケンサー用規格としてはPro Tools用のAAX・RTAS・TDM、Digital Performer用のMASなどがある[8]

バリエーション

アナログ音源(比較的単純なシンセサイザーの発音回路)をソフトに置き換えたもの、ビンテージ楽器をシミュレートしたもの、サンプラーに大別される。

アナログ音源をソフトに置き換えたもの

バーチャルアナログ音源のソフトウェア版である。音源の構造が比較的簡素であり、要求されるPCの性能もさほど高くない。単純な倍音合成方式から独自の変調方式まで、幅広い個性がある。フリーウェアも含めて多数のソフトが存在する。

ビンテージ楽器をシミュレートしたもの

ビンテージ楽器をシミュレートしたものは、ソフトシンセが普及するにあたって大きな役割を果たしている。実物は希少ゆえに高価で入手が難しいが、ソフトシンセならば手軽にその音を再現でき、ハードウェアにつきものの故障もない。このカテゴリーのソフトシンセの多くは楽器の発音構造や電子回路そのものを特性まで忠実に再現しており、実物そっくりに描写されたパネルで操作することができる。しかし、実物と音色は似ているが音質は物理音源を用いたバーチャルアナログシンセと同様である。

ハモンドオルガンローズメロトロンなどの電気楽器、ミニモーグプロフェット5アープ2600などのアナログシンセサイザーデジタルシンセサイザーDX7など、名機と呼ばれる鍵盤楽器はほとんどがソフトシンセで再現されている。従来のサンプラーPCM音源のような「実物の音を録音したもの」との大きな違いはその音の再現方法にある。

サンプラー

サンプラーは膨大な音色ライブラリーの読み出し・管理と視覚的な編集作業が必要なことから、比較的早い時期にハードウェアからソフトウェアへの転換が図られた。ソフトウェアサンプラーは大容量のハードディスクを使えるのが一番の利点であり、従来では考えられなかった数ギガバイトの容量をもつ高品位なピアノやオーケストラの音色ライブラリーもある。例として生楽器の再現では実物に近づける為に各音程毎にサンプリングする場合があり、演奏する際は瞬時に大容量の波形データを読み出すことになるので高性能のPCが必要となる。

サンプラーと同じ系統のものとして一般的なPCM音源のシンセをソフトウェア化したもの (e.g. ローランド・VSC) もあるが、数は少ない。PC一台にいくつもの音源をインストールできるソフトシンセの世界にあっては、「一台でどんな音色でもボタン一つで出せる」PCMシンセの利点は薄れてしまう。

またギタードラムなどの単一の生楽器の音色と演奏プログラミングに特化したソフトを、サンプラーに含めることもある。

その他

その他、特殊なソフトシンセにはサンプルを加工してグラニュラー・シンセシスを行うものや、MetaSynthなど周波数スペクトルから音を合成するもの、ReaktorMaxSuperColliderなどモジュールやプログラミングにより多様なシンセサイザ回路を構築するもの、Reasonなどのように、一つのアプリケーション内で複数の音源やエフェクターを同時に立ち上げや結線をできるようにしたもの、VOCALOIDなど音声合成により朗読または歌唱を再現するものがある。

出典

[脚注の使い方]

  1. ^ MUSYS III Software, 120 Years of Electronic Music
  2. ^ EMS: The Inside Story, Electronic Music Studios (UK)
  3. ^ History of Masters Program in Digital Musics”. Dartmouth College. 2009年8月22日閲覧。
  4. ^ Joel Chadabe (2000年). “The Electronic Century Part IV: The Seeds of the Future”. Electronic Musician (emusician.com). 2009年10月2日時点のオリジナル[リンク切れ]よりアーカイブ。2009年8月22日閲覧。
  5. ^ フェアライトの歴史”. フェアライト・ジャパン. 2009年6月17日閲覧。
  6. ^ History of d-lusion Rubberduck, d-lusion
  7. ^ UltraMaster Juno-6, Vintage Synth Explorer
    (Juno 6 by Sebastian Gottschall & Balázs Szórádi)
  8. ^ 藤本健 (2016年4月10日). “VST、AU、AAX…今さら聞けない「プラグインって何?」”. DTMステーション. 2022年3月20日閲覧。


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