スヴェルドロフ級巡洋艦 配備

スヴェルドロフ級巡洋艦

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/12 04:36 UTC 版)

配備

巡洋艦の砲熕火力を重視したスターリンは1953年3月5日に死去し、またこの時期には冷戦のグローバル化が進んでいたこともあり、まもなく最高指導者となったニキータ・フルシチョフは、西側の優勢な海軍力を阻止するためには、従来の砲熕火力主体の水上戦闘艦隊ではなく、対艦ミサイル火力と潜水艦戦力に期待するべきであるとの方針を採った(もちろん火砲も更に増産されたが)。このため、スターリン時代に推進されていた砲装型巡洋艦の計画は変化した。一方で本級は、建造数を14隻に減らしつつも生き残った。これは大きさが手頃で、改造や近代化に適していたためと考えられており、実際、上記の通り、様々な改装が行われている[3]

「オルジョニキーゼ」は、1956年にイギリスの潜水士ライオネル・クラブの諜報事件に関係したのち、1960年インドネシアに移譲されることとなった。これに伴い、1962年より熱帯海域での活動に必要な改装が行われたが、これはソ連海軍にとっても貴重な資料となった。また「アドミラール・ナヒーモフ」は1960年に退役し、水中核爆発等を想定した標的艦として用いられたのちに解体された。これらを除く各艦はその後も運用を継続したのち、1980年代終盤から1990年代初頭にかけて除籍解体され、「ミハイル・クトゥーゾフ」1隻がノヴォロシースクで記念艦として保存されている[4]。なお、世界最初のミサイル巡洋艦であるボストン級アメリカ海軍に改装艦として竣工したのは、1番艦「スヴェルドロフ」が新造艦として竣工したのと同じ1952年であった。

同型艦一覧
設計 # 艦名 起工 竣工 配備先 除籍 その後
68bis 408 スヴェルドロフ
«Свердлов» 
1949年10月 1952年5月 第4艦隊[脚注 1] 1989年5月 1990年、インドに売却解体。
374 ジェルジンスキー
«Дзержинский» 
1948年12月 1952年8月 黒海艦隊 1988年10月 1988年12月9日解体。
600 オルジョニキーゼ
«Орджоникидзе»
1949年10月 1952年6月 第4艦隊[脚注 1] 1963年1月 1963年1月よりインドネシア海軍「イリアン」として再就役、
1972年除籍、台灣に売却解体。
419 ジュダノフ
«Жданов»
1950年2月 1952年12月 第8艦隊[脚注 1] 1990年4月 1991年、インドに売却解体。
625 アレクサンドル・ネフスキー
«Александр Невский»
1950年5月 1952年12月 北洋艦隊 1989年5月 解体
375 アドミラール・ナヒーモフ
«Адмирал Нахимов»
1950年6月 1953年3月 黒海艦隊 1960年7月 標的艦として用いられた後解体。
420 アドミラール・ウシャコフ
«Адмирал Ушаков»
1950年8月 1953年9月 第8艦隊[脚注 1]
→黒海艦隊
1987年9月 1992年、インドに売却解体。
626 アドミラール・ラザレフ
«Адмирал Лазарев»
1951年12月 1953年12月 第8艦隊[脚注 1]
→北洋艦隊
太平洋艦隊
1986年10月 1991年、インドに売却解体。
436 アレクサンドル・スヴォーロフ
«Александр Суворов»
1951年2月 1953年12月 第8艦隊[脚注 1]
→太平洋艦隊
1989年12月
437 アドミラール・セニャーヴィン
«Адмирал Сенявин»
1951年10月 1954年11月 第4艦隊[脚注 1]
→太平洋艦隊
1989年5月 1992年、インドに売却解体。
301 モロトフスク
«Молотовск»[脚注 2]
オクチャーブリスカヤ・
レヴォリューツィヤ

«Октябрьская
Революция»
1952年7月 1954年11月 北洋艦隊
→バルチック艦隊
1987年9月 1988年売却解体
385 ミハイル・クトゥーゾフ
«Михаил Кутузов»
1951年2月 1954年12月 黒海艦隊 1989年に予備役編入、2001年8月に黒海艦隊博物館の分館に類別、
ノヴォロシースク記念艦として一般公開
445 ドミートリー・ポジャールスキー
«Дмитрий Пожарский»
1952年3月 1954年12月 北洋艦隊
→太平洋艦隊
1987年3月 1990年、インドに売却解体。
302 ムルマンスク
«Мурманск»[脚注 3]
1953年1月 1955年9月 北洋艦隊 1992年7月 1994年、インドに売却。
回航途上にノルウェー沖で座礁、同地に放棄。
2012-2013年にかけ解体撤去。
68bis
-ZIF
453 クロンシュタット
«Кронштадт
1953年4月 進水後建造中止、鋼材に
454 タリン
«Таллин»
1953年9月
460 ヴァリャーク
«Варяг»
1954年2月
627 シチェルバコーフ
«Щербаков»
1951年6月
395 アドミラール・コルニーロフ
«Адмирал Корнилов»
1951年11月
303 アルハンゲリスク
«Архангельск»
1954年4月 建造中止、鋼材に
304 ウラジオストク
«Владивосток»
1954年5月
628 クジマ・ミーニン
«Козьма Минин»
1952年6月 68bis型に設計変更され、「ムルマンスク」(302)として建造。
629 ドミートリー・ドンスコイ
«Дмитрий Донской»
1953年4月 68bis型に設計変更され、「モロトフスク」(301)として建造。
470 建造番号付与のみ、艦名未定のまま起工中止
631
396
705

  1. ^ a b c d e f g 1955年にバルチック艦隊として統合。
  2. ^ 当初、68bis-ZIF型の「ドミトリー・ドンスコイ」(629)として起工されていた船体を流用。
  3. ^ 当初、68bis-ZIF型の「クジマ・ミーニン」(628)として起工されていた船体を流用。






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