ストリートファイターIII ストリートファイターIIIの概要

ストリートファイターIII

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/03/23 13:32 UTC 版)

ストリートファイターIII
ジャンル 2D対戦型格闘ゲーム
対応機種 シリーズの項を参照
開発元 カプコン
発売元 カプコン
プロデューサー 岡本吉起、貞本友思、船水紀孝
デザイナー あきまん (AKIMAN)
発売日 シリーズの項を参照
対象年齢 CEROB(12才以上対象)
ESRBT(13歳以上)
コンテンツ
アイコン
暴力
システム基板 CPシステムIII
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1997年2月にアーケードゲームとして第1作『ストリートファイターIII -NEW GENERATION-』が稼働。後に続編が2本製作された。

本項では第2作『ストリートファイターIII 2nd IMPACT -GIANT ATTACK-』、第3作『ストリートファイターIII 3rd STRIKE -Fight for the Future-』についても記述する。

概要

ストリートファイター』シリーズのナンバリングタイトルであり、カプコンは本作を『ストリートファイターII』の正統な続編としている。『ストリートファイターZERO』シリーズと並行して開発され、先進的なシステムを集約したカジュアル路線の「ZERO」シリーズとは別に、ストイックかつ全く新しい2D対戦格闘ゲームとして制作された。システム基板に当時最新鋭のCPS-3を採用。キャラクターのアニメーション描画にはドット絵による膨大なパターン数を使用しており、滑らかで表現豊かなグラフィックが実現した。システム面では、相手の攻撃を「捌く」攻防一体の動作である「ブロッキング」を始め、「ダッシュ」「リープアタック」「ターゲットコンボ」「スーパーアーツセレクト」などの新システムが導入された。

キャラクターの面では、従来の主人公リュウを脇役に据え、アレックスという新世代[1]の主人公に変更するとともに、登場する12人のキャラクターのうちリュウとケンを除く全員を新キャラクターに刷新。ゲームの時代設定も本作が稼働開始した1997年前後が舞台となっており、これは『ストII』から約6年後という設定である。

続編として同年10月にアーケード版(以降「AC版」と表記)『ストリートファイターIII 2nd IMPACT』が、1999年5月に『ストリートファイターIII 3rd STRIKE』が稼働。プレイヤーの強い要望により、豪鬼春麗が復活した他、『ファイナルファイト』からヒューゴーも登場した。特に『3rd STRIKE』はプレイヤーに高く評価され[2]、稼働から20周年を経た現在[3]においても大会や動画配信が行われている。

シリーズ

日付はアーケード稼動初日・家庭用版発売日。

アーケード版

ストリートファイターIII -NEW GENERATION-

(1997年2月)
第1作(以降『1st』と表記)。登場キャラクターは12人 (うち使用可能キャラクターは11人) 。
カプコンが独自に開発したCPS-3基板を採用。主人公を始めとするキャラクターの一新やブロッキングなどの新システムが大きな特徴。

ストリートファイターIII 2nd IMPACT -GIANT ATTACK-

(1997年10月)
第2作(以降『2nd』と表記)。登場キャラクターは16人 (うち使用可能キャラクターは14人) 。
『1st』に改良が加えられ、追加要素としてEX必殺技、パーソナルアクション、グラップディフェンス、足払いの強化、ボーナスステージの復活、ブロッキングなどのシステム面の見直しと、プレイヤーへ歩み寄る調整がなされた。
新キャラクターとしてヒューゴー、ユリアン、(隠しキャラクターとして)豪鬼が追加。さらにCPU専用キャラクターとして真・豪鬼が登場する。また前作でユンと同キャラクター扱いだったヤンは性能が一新され独立したキャラクターとなった。一部のステージとBGMは新しく制作されている。
アーケードの対戦相手
プレイヤーキャラクター 中ボス 最終ボス 備考
アレックス ヒューゴー ギル
リュウ ギル ケン
ケン ギル リュウ
ユン ギル ヤン
ヤン ギル ユン
オロ リュウ ギル
ネクロ ケン ギル
ダッドリー ケン ギル
いぶき ケン ギル
エレナ ケン ギル
ショーン ギル ケン
ギル ケン ユリアン ドリームキャスト版『W IMPACT』のみ選択可能
ユリアン ケン ギル
ヒューゴー ケンorギル リュウorネクロorエレナorギル 中ボス戦・最終ボス戦のいずれかで必ずギルが登場する
豪鬼 ギル リュウ

ストリートファイターIII 3rd STRIKE -Fight for the Future-

1999年5月)
第3作(以降『3rd』と表記)。登場キャラクターは20人 (うち使用可能キャラクターは19人) 。
『III』シリーズの集大成として開発され、操作体系の根本的な見直しとバランス調整、「グレードジャッジシステム」、「ガードブロッキング」の追加など、完全新作のような作りこみが施された。ブロッキングの仕様は前作よりシビアになり、ゲームスピードも遅くなった。
新キャラクターとしてまこと、トゥエルヴ、Q、レミーに加え、ユーザーからの要望が高かった春麗を追加。プログレッシブヒットフレーム処理によってより精密な当たり判定を実装した。グレードジャッジシステムは結果だけでなく試合内容の面白さといったプロセスも評価対象とする。
背景グラフィックとBGMは一新されたが、キャラクターによっては同じものを流用している。また前作の隠しボスである真・豪鬼は削除された。

ストリートファイターIII 3rd STRIKE -Fight for the Future- NESiCAxLive

2014年11月6日)
「カプコン格ゲー復刻プロジェクト」の第2弾。タイトーが運営するゲーム用筐体用ダウンロードシステム「NESiCAxLive」版が2014年11月6日に稼働[4]。コンシューマ版に追加された新カラー6色が新たに選択可能[5]。キャラクター選択時にスタートボタンを押しながら各パンチ/キックボタンを押すことで使用できる。またワイド画面に対応し、NESiCAカードを利用することで戦績やプレイヤーポイントの保存、プレイヤーネームの表示といったネットワーク要素が利用可能[6]となった。

基板のバージョンについて

バージョンは電源投入時の日付で判断できる。

『NEW GENERATION』(1st)
  • 普及版(1997年2月4日) 一部のキャラクターは永久コンボが可能
  • 改良版(1997年3月12日) 普及版での問題点をある程度修正
  • 最新版(1997年4月3日) 改良版での未修正箇所を修正
最新版でも一部の強力なテクニックは残っており、これらを利用した永久コンボなどは使用可能
『2nd IMPACT』
  • 旧基板(1997年9月30日) 最初に出荷されたバージョン
  • 新基板(1997年10月16日) いくつかのバグ修正がなされたバージョン
『3rd STRIKE』
  • 旧基板(1999年5月12日) 最初に出荷されたバージョン
  • 新基板(1999年6月8日) いくつかのバグ修正がなされたバージョン

部品調達難に伴い、2015年3月31日(カプコンサービスセンター2015年3月14日到着分)を以って基板自体の修理サポートが終了した[7]。基板修理サポート終了後も継続されていたセキュリティ・カートリッジの電池交換も、2019年2月28日(カプコンサービスセンター同日到着分)をもって終了する予定[8]。これに伴い、2019年2月28日以降にセキュリティ・カートリッジの電池が切れた場合は、基板自体の故障の有無にかかわらず完全に稼働不可となる。

開発

ストリートファイターIII -NEW GENERATION-
企画は1994年春に始まり、先に稼働した『ZERO』よりも早い。開発に着手したのはその翌年初め[9]。途中で制作が中断され、結果として1997年まで長期間に渡る制作となった。企画時のタイトルは『ネクストジェネレーション』だったが、映画・テレビドラマの既存タイトルと被る、略称の『NG』が縁起が悪い、などの理由で『III』に変更された[9]。開発当初、新キャラクターのみで構成する予定であったが、「リュウが居なければストリートファイターにならない」との上役の判断により『II』シリーズのメインキャラクターのリュウとケンが続投となった。初期の段階では『ストリートファイター』とは全く別のシリーズとして制作が進んでいたが、あきまんがチームに入ったことで『ストII』の続編である『III』としての発表となった[10]
ブロッキングは当初、初心者の救済のために考案された[11]。画面端や「起き攻め」の対処の難しさの解決、劣勢であっても弾ければ相手に一矢報いることができるシステム、などのイメージを元に開発が進み、功夫映画では敵の攻撃を受けることから、ゲーム中で捌く動作を試みる意図もあった[12]。入力方法は当初、レバーを後ろ(ガード)方向に入れるものを考えていたが、社内スタッフから「それでは簡単過ぎるうえに何のリスクも伴わない」との猛反発を受け[12]現在の形になった。後に、「ストイック」というイメージはあったが、明確な方向性が定まらず製作は難航・長期化し、その結果開発期限を切ったため、会社の意向を受け製作途中で発売に踏み切ったことを明かしている。そのため『1st』のCD-ROMにはナンバー6が割り当てられた制作途上のキャラクターのデータが存在する[13]コインジャーナル誌アミューズメント産業誌などの年間業績ランキングでは上位に入るにもかかわらず、開発が長期化していたこと、新基板の採用などの要因で開発費がかさんでいたために、カプコン社内でも評価は芳しいものではなかった。
ストリートファイターIII 2nd IMPACT -GIANT ATTACK-
『1st』を発売する段階で『2nd』の製作は決まっており、前作に集中した批判を踏まえ開発は進んだ。消化不良であったブロッキングは根底から突き詰められ、「ブロッキングとは何か?」という命題に対し、当身技のように明快な「究極の守りのシステム」ではなく、トラップを仕込むような「攻めのシステム」であるとの結論に至ったという。
ストリートファイターIII 3rd STRIKE -Fight for the Future-
『1st』の時期から「なぜ『III』には春麗がいないのか?」と各方面から多く寄せられており[14]、「春麗を出す」という条件のもとシリーズの集大成として開発された[14]AMショー(1997年)の『2nd』発表時に、ムービー内のイラストにて『3rd』制作と春麗の登場が発表され、多くのユーザーの要望に応える形となった[要出典]

  1. ^ サブタイトル「New Generation」にも表されている。
  2. ^ 『ストリートファイターIII 3rd STRIKE』が復刻! NESiCAxLiveへの配信がスタート”. 電撃オンライン. 2014年11月6日閲覧。
  3. ^ 2019年の時点において。
  4. ^ NESiCAxLiveでAC「ストリートファイターIII サードストライク」配信開始”. 2014年11月6日閲覧。
  5. ^ 『ストリートファイターIII 3rd STRIKE』が復刻! NESiCAxLiveへの配信がスタート”. 2014年11月6日閲覧。
  6. ^ 「カプコン格ゲー復刻プロジェクト」始動!!不朽の名作格ゲーが、NESiCAxLiveにて配信決定!!”. カプコン公式サイト. 2014年8月25日閲覧。
  7. ^ 弊社基板製品保守サービス業務終了のご案内 カプコン 2014年9月30日
  8. ^ 弊社製品のサービス対応終了に関するご案内カプコン 2018年11月12日
  9. ^ a b c ALL ABOUT ストリートファイターIII THE FIGHTING BIBLE』p.212
  10. ^ 『ストリートファイター X 鉄拳 アートワークス』カプコン、2012年4月5日、185頁。ISBN 978-4-86233-344-5 
  11. ^ ROUND 4:貞本友思さん 前編”. CAPCOM:シャドルー格闘家研究所. 2016年6月1日閲覧。
  12. ^ a b c ROUND 4:貞本友思さん 後編 | ゲスト | 活動報告書 | CAPCOM:シャドルー格闘家研究所 2017年12月23日閲覧
  13. ^ a b 『ALL ABOUT ストリートファイターIII THE FIGHTING BIBLE』p.214
  14. ^ a b ファミ通DVDビデオ STREET FIGHTER SAGA 格闘武眞傳』内の開発者インタビューより。
  15. ^ Pen+ 完全保存版 いままでも、そしてこれからも、ストリートファイターが好きだ!. CCCメディアハウス. (2018/1/15) 
  16. ^ ゲーメストムックVol.81『ストリートファイターIII ファンブック』新声社、1997年7月27日、89頁。
  17. ^ 『2nd』のみ1回目の弱パンチが省略可能。
  18. ^ 『ALL ABOUT ストリートファイターIII THE CHARACTERS』p.8-9
  19. ^ ただしエレナの「ヒーリング」のように「攻撃判定の無い」SAは例外で、また豪鬼の「瞬獄殺」も例外。
  20. ^ 『1st』『2nd』でギルおよびダッドリー役を演じたブルース・ロバートソン(Bruce Robertson)による収録後、オロ(Oro)のナレーションが未収録であったため、タイムーバー(Time Over)とドゥー(Draw)の部分をそれぞれ継ぎ合わせたことが当時のスタッフによって語られている。
  21. ^ STREET FIGHTER III 3rd STRIKE ONLINE EDITION -Fight for the Future- 公式サイト”. カプコン. 2018年6月13日閲覧。
  22. ^ 「ストリートファイター 30th アニバーサリーコレクション インターナショナル」レビュー”. 2018年10月24日閲覧。


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