スッポン
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/11/22 08:24 UTC 版)
文化
タブー
古代中国では、スッポンの肉とヒユを混ぜて放置するとスッポンが生まれるとされ、同時に食べた場合はスッポンが腹を食い破ると伝えられた。そのため日本の養老律でも、天皇の食事にスッポンとヒユを同時に出した者は罰せられると規定された。
伝承
かつて日本ではキツネやタヌキといった動物と同様、土地によってはスッポンも妖怪視され、人間の子供をさらったり血を吸ったりするといわれていた[11]。また「食いついて離さない」と喩えられたことから大変執念深い性格で、あまりスッポン料理を食べ過ぎると幽霊になって祟るともいわれた[12]。
江戸時代には、ある大繁盛していたスッポン屋の主人が寝床で無数のスッポンの霊に苦しめられる話が北陸地方の奇談集『北越奇談』にある他[10]、名古屋でいつもスッポンを食べていた男がこの霊に取り憑かれ、顔や手足がスッポンのような形になってしまったという話が残されている[12]。また古書『怪談旅之曙』によれば、ある百姓がスッポンを売って生活していたところ、執念深いスッポンの怨霊が身長十丈の妖怪・高入道となって現れ、そればかりかその百姓のもとに生まれた子は、スッポンのように上唇が尖り、目が丸く鋭く、手足に水かきがあり、ミミズを常食したという[13]。
近代でも、一度噛みつかれると「雷が鳴っても離さない」と言い伝えられてきた。
文章表現
スッポン食に関係する諺(ことわざ)として、「鼈人を食わんとして却って人に食わる」がある。物事をしつこく探求する者を「スッポンの何某」と呼ぶこともあった。
前近代の中国人は、漁業で生活する異民族を「魚鼈(ぎょべつ)にまみれる」と表現した。
- ^ “肉類/<その他>/すっぽん/肉/生 - 一般成分-無機質-ビタミン類-アミノ酸-脂肪酸-炭水化物-有機酸等”. 食品成分データベース. 文部科学省. 2021年12月12日時点のオリジナルよりアーカイブ。2021年12月12日閲覧。
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- ^ a b c “日本で初めてスッポンの養殖を開始。カレーやサプリなど新商品を次々と開発”. しんきん経営情報-トップインタビュー (ダイヤモンド・オンライン). (2021年10月1日). オリジナルの2021年9月30日時点におけるアーカイブ。
- ^ 伊庭, 功「粟津湖底遺跡の発掘調査(湖底に沈んだ縄文時代中期の貝塚)」『滋賀考古』第5号、1990年、50-51頁。
- ^ a b 新美倫子「鳥獣類相の変遷」『縄文時代の考古学4 人と動物の関わりあい』(同成社、2010年)、pp.146 - 147
- ^ 樋泉岳二「漁撈活動の変遷」西本豊弘編『人と動物の日本史1 動物の考古学』(吉川弘文館、2008年)、p.143
- ^ “楊貴妃も愛した?!旬の「スッポン」”. 一般財団法人 日本educe食育総合研究所. 2021年1月25日時点のオリジナルよりアーカイブ。2021年12月11日閲覧。
- ^ “名料理を新たに登録/スッポン丸煮、チョウザメ冷製煮物など”. 朝鮮新報. (2021年6月7日). オリジナルの2021年12月12日時点におけるアーカイブ。
- ^ “土別甲 生薬学術情報”. 伝統医薬データベース. 富山大学和漢医薬学総合研究所. 2021年12月12日時点のオリジナルよりアーカイブ。2021年12月12日閲覧。
- ^ a b 京極夏彦他編著『北斎妖怪百景』国書刊行会、2004年、131頁。ISBN 978-4-336-04636-9。
- ^ 村上健司編著『妖怪事典』毎日新聞社、2000年、198頁。ISBN 978-4-620-31428-0。
- ^ a b 水木しげる『妖鬼化』 2巻、Softgarage、2004年、84頁。ISBN 978-4-86133-005-6。
- ^ 江馬務『日本妖怪変化史』中央公論新社〈中公文庫〉、1976年、37頁。ISBN 978-4-12-200349-1。
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