キイセンニンソウ キイセンニンソウの概要

キイセンニンソウ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/12/31 03:39 UTC 版)

キイセンニンソウ
キイセンニンソウ・花序 
分類APG IV
: 植物界 Plantae
階級なし : 被子植物 angiosperms
階級なし : 真正双子葉類 eudicots
: キンポウゲ目 Ranunculales
: キンポウゲ科 Ranunculaceae
: センニンソウ属 Clematis
: キイセンニンソウ
C. ovatifolia
学名
Clematis ovatifolia T. Itô et Maxim.

特長

常緑性木本性蔓植物[1]。乾くと黒紫色に変色する。は緑色で無毛。は2~3回の3出複葉か羽状複葉となっている。小葉は卵形から狭卵形で長さ3~12cm、幅1~5.5cm、葉質は厚手で光沢があり、縁は滑らか。葉柄は長さ3~12cm。また小葉の柄の先の方に関節がある[2]

花期は8~9月。花序は蔓の先端か葉の腋に生じ、多数の花が円錐状の集散花序の形になる。個々のは径が2~3cmの両性花で、上向きに咲いて花柄は長さ1.5~2cmで無毛、小苞は卵形で長さ1cm。花弁に見えるのは萼で4枚あり、倒披針形で長さ1~1.5cm、幅0.2~0.3cmで、白くて平らに開き、先端は尾状に突き出して尖り、背面には柔らかい毛がある。また萼は乾くと黒く変色する。雄しべは長さ4~11mm、花糸は無毛で少し広がっており、葯隔は突き出している。痩果は狭円錐形で長さ6~8mm、無毛で残存する花柱は長さ2~3cm。

和名は紀伊センニンソウの意で、当初これが和歌山県で発見され、その地域特産と考えられたためとのこと[3]

明治の末の頃まではブドウ科のウドカズラと混同されていたものが、明治43年に宇井縫蔵の採集した標本に基づいて牧野富太郎同定、命名したものである[4]

分布と生育環境

紀伊半島南部を主たる分布域とし、それ以外ではわずかに熊本県から知られており、北限は和歌山県川辺町である[4]

明るい林の縁や谷川沿いでよく見られる。森林の内部で見ることは少なく、アケビボタンヅルなどと共に森林外周を覆う、いわゆるマント群落を構成するものである[4]

分類、類似種など

日本に広く見られる普通種であるセンニンソウ C. terniflora は本種とよく似ているが小葉に関節がなく、夏緑性で葉質も柔らかい。そのような点で本種により似ているのは沖縄に分布するオキナワセンニンソウ C. alsimitrifolia で、花の径が1~1.5cm、痩果に毛があることなどで区別される[2]

なおYListは学名を C. unciana var. ovatifolia としており、これはタイワンセンニンソウ C. unicata var. unicata の変種との位置づけで、オキナワセンニンソウも C. unicata var. okinawensis も同種の変種となっている。


  1. ^ 以下、主として大橋他編(2016) p.146
  2. ^ a b 大橋他編(2016) p.142
  3. ^ 牧野原著(2017),p.499
  4. ^ a b c 紀和町(1991),p.60
  5. ^ 日本のレッドデータ検索システム[1]2023/08/05閲覧


「キイセンニンソウ」の続きの解説一覧



英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  
  •  キイセンニンソウのページへのリンク

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「キイセンニンソウ」の関連用語

キイセンニンソウのお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



キイセンニンソウのページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアのキイセンニンソウ (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。

©2024 GRAS Group, Inc.RSS