ガストン・ネサン ソマチッド

ガストン・ネサン

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/09/25 05:36 UTC 版)

ソマチッド

ソマチッド[3]: Somtidソマチットとも)とはネサンが「ヒト血液中に極微小な生命体が存在する」とした仮説のこと[4][5]。もしくはその生命体のことを指す。生物学・医学的に存在を認められておらず、科学的研究の対象ではない。

ソマトスコープ

ソマトスコープ: Somatoscope)は、ネサンが独自に発明したと主張する光学顕微鏡。倍率は最大3万倍、分解能0.015μmの超光学顕微鏡[注釈 1]で、通常科学の認識を超えた異例の性能であると言われている。

ネサンの説

ソマトスコープで人の血液を観察し、その中に不思議な微小生命体が存在する事を確認したとし、それを「ソマチッド」と命名した。

彼はや他の難病患者の血液から発見したソマチッドが健康な人から採取したもの異なった形態をもつことを発見し、それを健康な人の物と同じ状態に戻す薬剤の開発を始めた。

その方法は動物実験臨床試験ではなく、ソマチッドを観察しながらその形態が回復する薬草を見つけ出すというものであった。

また、ネサンはこの仮説に基づいた治療によって、多数の患者を治癒せしめたと主張した。

ただし、ネサンは医師免許を持たないため、法的に医療行為をできない。そのため、カナダの厚生省から告訴された。

ソマチッドサイクル

ソマチッドサイクルは、ソマチッドが胞子、バクテリア、細菌状など16段階のパターン変容を1サイクルとして繰り返すことから、ネサンが命名したもの。

彼によると健康な人の体内では、ソマチッド、胞子、二重胞子の3段階のサイクルで変化する。しかし病的な因子によってソマチッドは細菌バクテリア酵母に似た形態を含む16段階のサイクルに変化し、などの免疫不全疾患の発症に関連するとしている[4][5]

ネサンによる癌の原因およびメカニズムについての理論は、現在の科学的知見と一致していない[7]


注釈

  1. ^ 光学顕微鏡の拡大倍率は1000倍-1500倍程度が限界である。これは光の波長の大きさにより光学顕微鏡の分解能の限界が0.2μm程度である[6]ことによる。すなわち、ネサンのソマトスコープが3万倍率(分解能:0.015μm)の機能をもつと主張することは、科学の原理ではない疑似科学に属する機器であることを示す。

出典

  1. ^ Le chercheur Gaston Naessens n'est plus” (フランス語). La Tribune (2018年2月21日). 2018年9月2日閲覧。
  2. ^ CERBE DISTRIBUTION INC. - 1147135975 - Quebec” (英語). b2bhint (2023年9月6日). 2023年9月23日閲覧。
  3. ^ がん情報各論(患者さん向け): 714-X(PDQ)”. 神戸医療産業都市推進機構. 2018年9月25日閲覧。
  4. ^ a b Naessens G., 714-X: a highly promising non-toxic treatment for cancer and other immune deficiencies. (1996). Centre expérimental de recherches bi-logiques de l’Estrie (Centre d’orthobiologie somatidienne).
  5. ^ a b Peter Havasi (2013). Education of Cancer Healing Vol. VII - Heretics. Lulu. pp. 115-124. ISBN 9781291453683 
  6. ^ 1.4 分解能と開口数|1.顕微鏡光学の基礎|顕微鏡の基礎─日本顕微鏡工業会(JMMA)
  7. ^ Kaegi E., Unconventional therapies for cancer: 6. 714-X. Task Force on Alternative Therapeutic of the Canadian Breast Cancer Research Initiative., CMAJ. 1998 Jun 16;158(12):1621-4.
  8. ^ Paula Kurtzwei (1996年11月1日). “Promoter of 714X Cure-All Faces Prison for Selling Unapproved Drug” (英語). Quackwatch. 2023年9月25日閲覧。
  9. ^ 714-X” (英語). アメリカがん協会 (2008年11月1日). 2010年12月10日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年9月24日閲覧。
  10. ^ 714-X (PDQ)” (英語). アメリカ国立生物工学情報センター (2002年). 2023年9月23日閲覧。


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