カリン (バラ科)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/12/10 01:34 UTC 版)
カリン | ||||||||||||||||||||||||||||||
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カリン
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分類 | ||||||||||||||||||||||||||||||
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学名 | ||||||||||||||||||||||||||||||
Pseudocydonia sinensis (Thouin) C.K.Schneid. (1906)[2] | ||||||||||||||||||||||||||||||
シノニム | ||||||||||||||||||||||||||||||
和名 | ||||||||||||||||||||||||||||||
カリン(榠樝、花梨) | ||||||||||||||||||||||||||||||
英名 | ||||||||||||||||||||||||||||||
Chinese quince |
名称
和名「カリン」は、材の木目が三味線の胴や竿、座卓に使われる唐木の花櫚(読みは「かりん」、花梨とも書く)に似ているので名づけられたものである[7]。 カリンの属名 Pseudocydonia は偽のマルメロを意味する。
別名で、カラナシ[5][8]、カリントウ[8]、アンランジュ(安蘭樹)[8]、またはアンラジュ(菴羅樹)ともよばれる。「菴羅」はマンゴーの別名だが、古い時代の日本では誤訳によりカリンを指す場合がある。長野県諏訪地方で、「かりん」と称するものはマルメロのことであり、導入時にカリンとマルメロを間違えたことにより、現代もその呼称でよばれている[4]。
果実は生薬名を和木瓜(わもっか)という。ただし和木瓜をボケやクサボケとする人もあるし、カリンを木瓜(もっか)とする人もいるが、木瓜はボケの果実である[9]。なお、日本薬局方外生薬規格においてカリンの果実を木瓜として規定していることから,日本の市場で木瓜として流通しているのは実はカリン(榠樝)である[10]。
中国語では『爾雅』にも記載がある「木瓜」を標準名とする[11]。他に「榠樝」(めいさ)[9]、「榠楂」(『図経本草』)、木李(『詩経』)、「木瓜海棠」、「光皮木瓜」[11]、「香木瓜」、「梗木瓜」、「鉄脚梨」、「万寿果」などの名称がある。「木瓜」は他にボケ類やパパイア(「番木瓜」の略)を意味しうる。
分類
かつてボケ属 Chaenomeles とする説もあったが、ドイツの植物学者カミロ・カール・シュナイダーが1属1種のカリン属 Pseudocydonia を提唱し[12]、分子系統で確認された[1][13]。 カリン(属)に最も近縁なのはマルメロ属 (Cydonia) とカナメモチ属 (Photinia) であり[1][13]、それに次ぐのがナシ亜連の他の属で、かつて属していたボケ属のほか、リンゴ属、ナシ属などがある。マルメロ(学名:Cydonia oblonga)は同科別属(1属1種)の植物で、果実も似ているが「カリン」と称するのは正しくない。マルメロの葉の縁には細鋸歯がない。
なお、漢名の「木瓜」や「万寿果」をもってパパイア科パパイア属のパパイア(番木瓜、乳瓜)と混同される場合があるが、全くの別種である。
また、マメ科のカリン(花梨)とは和名が同じであるが、全くの別種である(近縁でもない)。
注釈
出典
- ^ a b c d e Potter, D.; Eriksson, T.; Evans, R.C.; Oh, S.H.; Smedmark, J.E.E.; Morgan, D.R.; Kerr, M.; Robertson, K.R.; Arsenault, M.P.; Dickinson, T.A.; Campbell, C.S. (2007), “Phylogeny and classification of Rosaceae”, Plant Systematics and Evolution 266 (1–2): 5–43, doi:10.1007/s00606-007-0539-9
- ^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Pseudocydonia sinensis (Thouin) C.K.Schneid. カリン(標準)”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2023年2月1日閲覧。
- ^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Chaenomeles sinensis (Thouin) Koehne カリン(シノニム)”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2023年2月1日閲覧。
- ^ a b c d e f g 田中潔 2011, p. 90.
- ^ a b c d e 亀田龍吉 2014, p. 79.
- ^ a b c d e f g h 鈴木庸夫・高橋冬・安延尚文 2014, p. 167.
- ^ a b c d e f g h i j k l m 田中孝治 1995, p. 130.
- ^ a b c d e f g 山﨑誠子 2019, p. 128.
- ^ a b c d e f g h i 貝津好孝 1995, p. 88.
- ^ 漢方のくすりの事典 -生薬・ハーブ・民間薬-,医歯薬出版株式会社,2004年 第1版第7刷発行
- ^ a b c d 中国科学院《中国植物志》編集委員会 (1974年). “《中国植物志》第36卷350頁 木瓜” (中国語). 中国科学院植物研究所. 2017年6月10日閲覧。[1]
- ^ Schneider, C. K. (1906) Species varietatesque Pomacearum novae. Repertorium novarum specierum regni vegetabilis 3: 177-183.
- ^ a b C. S. Campbell, R. C. Evans, D. R. Morgan, T. A. Dickinson, and M. P. Arsenault (2007), “Phylogeny of subtribe Pyrinae (formerly the Maloideae, Rosaceae): Limited resolution of a complex evolutionary history”, Pl. Syst. Evol. 266: 119–145, doi:10.1007/s00606-007-0545-y
- ^ a b c d e f 正木覚 2012, p. 49.
- ^ a b c d e f 平野隆久監修 永岡書店編 1997, p. 121.
- ^ “白河建成14万亩木瓜产业基地 标志产品走向全国” (中国語). 中国新闻网 (2011年6月13日). 2017年6月10日閲覧。
- ^ a b 猪股慶子監修 成美堂出版編集部編 『かしこく選ぶ・おいしく食べる 野菜まるごと事典』成美堂出版、2012年7月10日、214頁。ISBN 978-4-415-30997-2。
- ^ a b 山﨑誠子 2019, p. 129.
- ^ 話題の食品成分の科学情報:アミグダリンについて - 素材情報データベース<有効性情報>(国立健康・栄養研究所)公開日2009年02月19日、閲覧日2011年11月23日
- ^ a b c d e 田中潔 2011, p. 91.
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