オートバイ用タイヤ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/05/26 13:56 UTC 版)
オートバイは旋回する際に車体を傾ける必要があることから、自動車用タイヤのトレッド面が偏平なのに対して、オートバイ用タイヤは円に近い断面形状となっている。その結果、オートバイ用タイヤの接地面(en:contact patch)は非常に小さく、名刺1枚分程度とも言われている。非常に小さい接地面積でグリップ性能を発揮させる必要があることから、個々の種類で目的に応じ性格の異なるゴム配合が行われている。
車体を傾斜させる程度や頻度によってトレッド面の摩耗は必ずしも均一ではなく、またその偏りも一様ではない。サイドウォールに近いショルダー部分にほとんど使用されていない領域が帯状に残る場合も多く、これを俗に、運転者の技量不足を示す(実際そうとは限らないが)ものと見なして英語でchicken strips(「臆病者の帯」の意)と呼んだり、日本でもアマリングなどと呼んで揶揄することがある。接地する頻度が高い部分は摩耗により表層には常に新しいトレッドコンパウンドが表出するが、接地する頻度が低い部分は表面が経年硬化している場合があり、このようなタイヤで硬化した部分が接地するほど車体を傾けて旋回するとグリップ力の変化が大きく、転倒する危険性が高い。
エンデューロなどでは、タイヤに空気の代わりにタイヤムース(en:Tire mousse)と呼ばれるドーナツ形の発泡樹脂を装着して、パンクを予防する場合もある。
注釈
- ^ バイアス構造のトレッドの弱さを補う為にラジアル構造と同じブレーカーコードで強化を図ったもの。バイアスの乗り心地の良さにラジアルの剛性感が併せられたような乗り味となる。
- ^ 今日ではテンパータイヤでのみ使われる事の多い表記であるが、原則としてはバイアスタイヤと同じものである。
- ^ ダンロップ・TT100シリーズや、ミシュラン・M45など。
- ^ マウンテンバイク向けの解説であるが、原理としてはオートバイも同一である。
- ^ 近年のBMWモトラッドの車両において、このようなパターンが使用される場合が多い。
- ^ ホンダ・スーパーカブなどのビジネスバイクに多い。
- ^ 左側通行の場合であり、右側通行の場合には左側が偏摩耗する。
出典
- ^ Cossalter, Vittore (2006). Motorcycle Dynamics (Second Edition ed.). Lulu.com. pp. 37–72. ISBN 978-1-4303-0861-4
- ^ Foale, Tony (2006). Motorcycle Handling and Chassis Design (Second Edition ed.). Tony Foale Designs. pp. 2–40. ISBN 978-84-933286-3-4
- ^ a b “Motorcycle Tyres and Your Safety” (PDF). TyreSafe. 2010年5月4日閲覧。
- ^ バイクのタイヤサイズ 【たいややもどき】
- ^ バイク基本整備実践 タイヤの賞味期限 - バイクブロス
- ^ 自転車タイヤ タイヤ模様[注 4]
- 1 オートバイ用タイヤとは
- 2 オートバイ用タイヤの概要
- 3 種類
- 4 タイヤ表記
- 5 太さと外径
- 6 トレッドパターン
- 7 脚注
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