オートバイ用タイヤ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/10/07 23:31 UTC 版)
トレッドパターン
オートバイ用タイヤのトレッドパターンはオンロードのパフォーマンスを重視したタイヤ程、よりスリックに近い溝の少ないものになっていくが、公道走行向けタイヤの場合一般的にはウエット路面での排水性を重視してタイヤ中央付近に円周方向の溝(グルーブ)が刻まれ、グルーブの左右に要求性能に応じて斜め方向若しくは横方向の溝が刻まれる。斜め方向の溝は排水性を重視する場合進行方向に対して中央から外側に向けて刻まれる。逆に、排水性能は多少犠牲になるものの偏摩耗を防ぎ耐摩耗性を高めたい場合には進行方向に対して外側から中央に向かって斜めの溝が刻まれる[注 5]。
実際には排水性能と耐摩耗性の複数の要素を同時に満足する為に、グルーブ左右の溝の方向性は一律ではなく非常に複雑な形状に設計される事が多い。
タイヤローテーション
オートバイのタイヤは前後で外径・幅共に違うサイズが選定される事が多く、四輪車のようなタイヤローテーションは殆どの場合行えないが、少数ではあるが前後のタイヤサイズが全く同じオートバイも存在[注 6]しており、このような構造の場合は前後のタイヤのローテーションが行える。また、小径タイヤで路肩に近い部分を走行することが多い小型スクーターでは、路面の水勾配のため右側[注 7]が偏摩耗することが多く、回転方向を逆向きに付け替えて寿命を延長することがある。ローテーションを行う際には、装着されているオートバイ用タイヤに回転方向指定が元々存在しない場合には単純に前後を入れ替えるだけでよいが、前と後ろで正反対の回転方向指定がされている場合にはタイヤの回転方向を反転させた上で入れ替えをしなければならない。ただし、四輪車の場合と異なり、タイヤのサイズが共通であったとしてもホイール(スポークタイプであれば軸部分)が共通でないかつ左右の装着方向も指定されている場合が一般的なため、ローテーションするにあたってはタイヤ自体をホイールから脱着させる手間が伴う。
タイヤサイズのカスタマイズ
オートバイのホイールは4輪車のものとは異なり、車体への取付に互換性を持ちながらサイズの異なるホイールを選べる機会が少ないため、容易にサイズを変更することはできない。それでも、場合によってはフロントフォークやフォークブリッジ、スイングアームのような車体側の部品から交換してタイヤサイズを変更する例はある。スポークホイールを履く車種の場合にはリムのみの交換で同一インチ内であればタイヤサイズが変更できるため、比較的容易である。ごく一部にスポークホイールとキャストホイールを交換できる車種もある。
注釈
- ^ バイアス構造のトレッドの弱さを補う為にラジアル構造と同じブレーカーコードで強化を図ったもの。バイアスの乗り心地の良さにラジアルの剛性感が併せられたような乗り味となる。
- ^ 今日ではテンパータイヤでのみ使われる事の多い表記であるが、原則としてはバイアスタイヤと同じものである。
- ^ ダンロップ・TT100シリーズや、ミシュラン・M45など。
- ^ マウンテンバイク向けの解説であるが、原理としてはオートバイも同一である。
- ^ 近年のBMWモトラッドの車両において、このようなパターンが使用される場合が多い。
- ^ ホンダ・スーパーカブなどのビジネスバイクに多い。
- ^ 左側通行の場合であり、右側通行の場合には左側が偏摩耗する。
出典
- ^ Cossalter, Vittore (2006). Motorcycle Dynamics (Second Edition ed.). Lulu.com. pp. 37–72. ISBN 978-1-4303-0861-4
- ^ Foale, Tony (2006). Motorcycle Handling and Chassis Design (Second Edition ed.). Tony Foale Designs. pp. 2–40. ISBN 978-84-933286-3-4
- ^ a b “Motorcycle Tyres and Your Safety (PDF)”. TyreSafe. 2010年5月4日閲覧。
- ^ バイクのタイヤサイズ 【たいややもどき】
- ^ バイク基本整備実践 タイヤの賞味期限 - バイクブロス
- ^ 自転車タイヤ タイヤ模様[注 4]
- オートバイ用タイヤのページへのリンク