アルカン
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/12/02 20:58 UTC 版)
合成
実験室的なアルカンの合成法は多い。最もよく知られるものはアルケンの水素化とグリニャール試薬の加水分解である。ハロゲン化アルキルからコーリー・ハウス・ポスナー・ホワイトサイズ反応によって得ることもできる。バートン・マクコンビー脱酸素化はアルコールからヒドロキシ基を除去する反応、クレメンゼン還元はアルデヒドやケトンからカルボニル基を取り除き、アルカンとする反応である。
命名法
アルカンの命名法はIUPAC命名法に従う。分岐のないアルカンは主なアルカンの節に詳しい。分岐のあるアルカンは最も長い直鎖を主幹とするアルカンにアルキル基が置換したように命名する。下のような官能基を R を用いて表すこともある。
アルキル基
アルキル基:他の言語
アルキル基(あるきるき、alkyl group)は直鎖のアルカンの末端から水素を1つ取り除いた官能基で、CnH2n+1 で表される[10]。n = 1 をメチル基、n = 2 はエチル基というように、対応するアルカンの語尾を ane から yl に変える事で命名できる[10]。 n=21までと24,30はアルカン (データ)にてアルカン名を参照できる[注 1]。
n | アルキル基 | 直鎖アルカン |
---|---|---|
n= 1 | メチル基 | メタン |
n= 2 | エチル基 | エタン |
n= 3 | プロピル基 | プロパン |
n= 4 | ブチル基 | ブタン |
n= 5 | ペンチル基 | ペンタン |
n= 6 | ヘキシル基 | ヘキサン |
n= 7 | ヘプチル基 | ヘプタン |
n= 8 | オクチル基 | オクタン |
n= 9 | ノニル基 | ノナン |
n= 10 | デシル基 | デカン |
アルキレン基
アルキレン基(あるきれんき、alkylene group)は直鎖のアルカンから水素を2つ取り除いた2価の置換基で、-CnH2n-、もしくは CnH2n= と表される。命名法では、n=1 のものをメチレン基、n=2 のものをエチレン基というように、対応するアルカン名の語尾を -ane から -ylene(同一炭素から水素2個を取り除いた基の場合は -ylidene とも)に変えて示される。
分枝アルカンの慣用名
アルカンの慣用名には iso-(イソ)、neo-(ネオ)を接頭辞として直鎖アルキルにつけて、異性体の慣用名とするものするものがある。ただし、全ての直鎖アルキルに対して適用できる命名ルールではなく、IUPAC命名法では次の分枝アルキルあるいは分枝アルキルを基にした置換基の名称に iso- 等から誘導される慣用名の使用を認めている。また、置換基に限って tert-、sec- などの接頭辞を付けて異性体の分枝アルキル基の慣用名の使用を認めている。しかし、これら基幹炭素鎖や置換基に使用する慣用名に対して置換命名法で更なる命名を誘導すること認めていない。いずれの場合でもIUPAC命名法は直鎖炭化水素を用いた置換命名法による分枝アルキルの命名の方を推奨している。
- 慣用名の使用が認められている分枝アルキル(下段はIUPAC組織名)
代表的なアルカン
注釈
- ^ 2021年5月現在、Wikipediaではn=100までのアルカンの単独記事があり、これらの名称を確認できる。
出典
- ^ McMurry(2004)、p.39。
- ^ “alkanes”. IUPAC Compendium of Chemical Terminology, Electronic version. IUPAC (1995年). 2007年6月24日閲覧。
- ^ https://www.natureasia.com/en/research/highlight/12924
- ^ a b McMurry(2004)、p.48。
- ^ McMurry(2004)、p.47。
- ^ McMurry(2004)、p.49。
- ^ Jones(2006)、p.714。
- ^ McMurry(2004)、p.418。
- ^ Jones(2006)、p.745。
- ^ a b McMurry(2004)、pp.41-43。
アルカンと同じ種類の言葉
固有名詞の分類
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