アッグシリーズ ゾゴック

アッグシリーズ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/05/28 06:13 UTC 版)

ゾゴック

諸元
ゾゴック
ZOGOK[37]
型式番号 MSM-08
所属 ジオン公国軍
生産形態 試作機
全高 18.8m[27]
頭頂高 18.2m[27]
本体重量 77.4t[27]
全備重量 107.3t[27]
装甲材質 超硬スチール合金[38][13]
チタン・セラミック複合材[37]
出力 1,688kW[27]
推力 97,400kg[27]
最高速度 47kt[27]
武装 頭部ブーメラン・カッター×10
腹部ブーメラン・カッター
アーム・パンチ
ヒート・ソード(UC版)
シュツルム・ファウスト(UC版)

『MSV』で詳細な設定が追加され、のちに『ΖΖ』やアニメ版『UC』にも登場。後者ではカトキによって改めて設定画が描かれたが、腹部を除き原典をほぼ踏襲している(後述)。

ズゴックの改良発展型[15]、派生型[38]あるいは姉妹機[9]とされる[注 11]。格闘戦用MSで、ロケット砲やビーム兵器などの固定武装をもたない[15]。第2期水陸両用MSとしてズゴックと並行して開発され、ズゴックの制式採用後に[39]一時ペンディングされるが、アッグシリーズと連携して作戦行動できるように改設計され[30]、特務用MSに転換されている[39]。その際に格闘用に特化され、火器類の内装案は排除されたため[13]、特務用MSの中ではもっとも一般的なMSに近い[39]。開発はキャリフォルニアベースでおこなわれている[25]

ズゴックと異なり陸戦を主体としているため、ランドセルは地上で効果を発揮できる方式にあらためられている[38]。ただし、足裏にはほかの水陸両用MSと同様にスクリュー式の推進機が装備されている[38]。水空冷ハイブリッド式のジェネレーター冷却装置が使用できないため、ズゴックよりジェネレーター出力は低い[40]。胴体中央に位置するモノアイ・カメラはほかのMSより大型で光学的な性能は良好[40]、広範囲に可動し、それを防護するカバーも堅牢な造りになっている[38]。発光系・発火系兵器を採用しない質量切断兵器のみで統一された固定兵装類は、あまりにも割り切った設計であると評されるが、ジャブロー潜入時において敵に察知される可能性を最大限まで抑え、作戦を遂行するための必然であるともいわれる[38]。なお、本機は量産されたとするものと、試作機に終わったとする2説がある[37]。カラーリングは赤・白・黒を基調に一部黄色で塗られたものと、ズゴック(量産型)に似た水色とダーク・グリーンを基調とする2種類があり、後者は「ジャブロー攻略戦機」として攻略用に調整された機体であるとする資料もある[31]

武装
ブーメラン・カッター[6][38]
「(ブーメラン式)ワイド・カッター」[39][15]または「ブーメラン・ミサイル」[37]とも呼ばれるほか、スペックにブーメラン・カッターとワイド・カッターの両方を記載している資料もある[31]。本体上部の10基のほか、腹部にも内蔵されている[9][注 12]。上部のものは内蔵アームで[38]外側にマウントされたものから発射される[40]。炸薬が内蔵されていないため威力は低く、牽制向けであるとされる[40]一方で、ガンダリウム合金製の装甲をも穿つ威力をもつともいわれる[38]。腹部のものはこれより小型であるとされる[37]
『UC』登場機は、腹部の本武装が廃され、排熱機能を重視して[38]ダクトに換装されている[40]
アーム・パンチ[37]
腕部は伸縮式のロッド・アームとなっており、スクエアカットされた指先によって敵MSの装甲を貫通することができたという[15]。マニピュレーターは4本指だが、5本指とする説もある[注 13]。通常のMSより頑強な構造だが、汎用の携行武装を把持することも可能[41]。一説には20メートル以上も伸びたとする資料もあるらしいとされる[38]
ヒート・ソード
『UC』登場機が装備。グフ系の装備の流用[38]
シュツルム・ファウスト
『UC』登場機が装備。背部にマウント・ラッチを増設して装備する[38]
劇中での活躍
『ΖΖ』では、宇宙世紀0088年にコロニー「タイガーバウム」のスタンパ・ハロイが所有するMSのひとつとして登場。スタンパの命令でジュドーを追跡するためにアッグガイとともに出撃するが、直後にビーチャの搭乗するΖガンダムにモノアイを蹴られて破壊され転倒し、その後は登場しない。カラーリングはこれまでの赤を基調としたカラー画稿と同様。
アニメ版『UC』では、0096年のジオン残党軍のトリントン湾岸基地襲撃に参加。ヒート・ソードで背後からジムIIのコックピットを貫いたあと、すかさずもう1機のジムIIをシュツルム・ファウストにて撃破する。その後、左腕を破壊された状態でバイアラン・カスタムと交戦、ブーメラン・カッターで攻撃するも味方のカプールを盾にして防がれる。援護に入ったゼー・ズールにヒート・ソードを渡すが、その後は登場しない。カラーリングは赤を基調とするが、これまでのものと異なり黄色は使用されておらず、塗り分けも一部異なる。
漫画『機動戦士ガンダムUC 『袖付き』の機付長は詩詠う』では、上記の機体が残存部隊とともに残党軍のアジトである洞穴へ帰還したあとに、アジトを襲撃する海賊との戦闘に参加している。ブーメラン・カッターは再装填されていないが、左腕は修復されて引き続きヒート・ソードを装備しているほか、マラサイ用のビーム・ライフルを装備するために右手のマニピュレーターを通常のMSの物に交換している。上陸を図る敵部隊をビーム・ライフルで迎撃したり、ハイゴッグを撃破するなど主戦力のひとつとして活躍し、ほかの水中両用MSとともに無事脱出を果たす。パイロットについては不明。
漫画『機動戦士ガンダム オレら連邦愚連隊』では1機が登場。ジム改のマシンガンを取り上げてへし折り、アッグの残骸のドリルを握りつぶすほか、組み合っての力比べでも微動だにしないほどのパワーを見せる。その状態で上部のブーメラン・カッターを放ち敵背後への攻撃をおこなうが、巴投げで空中に飛ばされ、みずからのカッターがすべて命中し撃破される。
ことぶきつかさの漫画『機動戦士Ζガンダム デイアフタートゥモロー ―カイ・シデンのレポートより―』では、0087年のグリプス戦役時にジオン軍残党によるゲリラ作戦で数機が運用されている。
漫画『機動戦士ガンダム0079』では、ジャブローでシャア率いる水中MS部隊の一員として登場。マニピュレーターが3本指になっている以外、デザインはほとんど変更されていない。腕を切断され逃走するシャア専用ズゴックを追うガンダムの前に立ちはだかり、上部のブーメラン・カッターとアーム・パンチを繰り出すが、カッターをシールドで防がれたうえ、投げつけられたシールドで片腕を切断され、ビームジャベリンで腹部を貫かれ撃破される。『機動戦士ガンダム THE MSV』では、ブーメラン・カッターを使って敵沿岸陣地に設置された阻止ワイヤー(高圧電流でMSの機能を停止させる鉄条網)を切断、除去する目的で開発されたとされる。
漫画『機動戦士ガンダム サンダーボルト』ではアッグシリーズに先駆けて登場。両前腕部甲に用途不明のユニットが追加されているほか、水中航行時にはつま先を折りたたんで推進機を露出させる。板状の銃器を携行して水上都市リグの警護に当たる1機が、潜入せんとするジオン残党軍のビリー・ヒッカムのアッガイによる背後からのスニーキングにより、誘爆なしに破壊される。その後、マーメイド隊所属の3機がザク・マリンタイプとともにサブロック・ガンを携行してリグから逃走するプローバー級高速潜水艇を護衛する。追撃するアトラスガンダムと交戦、同機は攻撃をくぐり抜けプローバー級を追うが、本機の損害は不明。また、タール火山基地守備隊の中にも数機が確認できる。なお、カラーリングは水色を基調とするカラー画稿を踏襲している[42]
漫画『機動戦士ガンダム アグレッサー』では、グリフォン隊隊長のマクシミリアンが搭乗する機体が登場。両肩およびモノアイの上半分を覆うように装甲を追加、左腕はズゴックのものに換装され、右手にはグフのヒート・サーベル(刀身を生成するタイプ)を携行する。また、腹部には折り畳み式の大型ブーメラン・ミサイルを内装。さらに自爆が目的であるため、衝撃を高めるために高性能爆薬が搭載されている。これらの改修はユーコン級潜水艦内で極秘におこなわれる。カラーリングは上半身が水色、下半身は赤を基調とする。ジャブロー攻略戦の際にズゴック2機とともに出撃、目標であるジャブロー基地のCブロック3番大型ゲートに向かう途中、元隊員で連邦軍に亡命したチェイス・スカルガードのレッドライダーと死闘を繰り広げる。僚機の犠牲を払い、両腕を失いながらも敵機を行動停止に追い込み、目的地に進入して熱核融合炉を暴走させて自爆しようとするが、同じく元隊員のハインツ・ハイウェイが操縦するガンタンクに押し戻され、基地外の湖の中でともに爆発する。

注釈

  1. ^ このため、一年戦争緒戦で公国軍はスペース・コロニーをジャブローに落とすブリティッシュ作戦を実行に移すが、失敗に終わっている。
  2. ^ 当初の設定ではアッグシリーズ3機種による作戦であったが[7][9]、のちにゾゴックも追加された[8]
  3. ^ ストリームベースによって製作され、雑誌『コミックボンボン』に掲載された[要出典]ジャブローの大ジオラマには、4機種が各1機ずつ配されている。また、近藤和久の漫画『機動戦士ガンダム0079』でも、ジャブロー攻略戦に4機種が登場する。
  4. ^ 現実のノルマンディー上陸作戦においても、イギリス軍のパーシー・ホバート少将が立案した上陸作戦用特殊車両群が「ホバーツ・ファニーズ」と呼称されている。
  5. ^ 一方で、水陸両用MSをベースに開発されたとする資料もある[17]
  6. ^ 初出は『コミックボンボン』1982年11月号掲載の「大河原邦男オリジナルメカシリーズ9」で、名称は「アッグ戦闘タイプ」であった[18]
  7. ^ ただし "ROCK GRINDER" と英文表記。
  8. ^ 富野のラフにも「複眼」の引き出しがあるが、クリーンアップ画稿と異なり4つのモノアイの集合体となっている。
  9. ^ 書籍『ENTERTAINMENT BIBLE』では「3連装320ミリロケット弾ランチャー」[27]、『MS大全集』では「3連装320ミリロケット・ランチャー」とされた[14]
  10. ^ 劇中では発射時にバルカン砲と同じ効果音が使用されており、プラモデル『HGUC ジュアッグ(ユニコーンVer.)』では、各砲身の内部に7つの細い銃口がある。
  11. ^ ズゴックの原型機とする資料もある[6]
  12. ^ 腹部が「カッター内蔵ブロック」であることは富野によるラフにも記されている[2]
  13. ^ 1/144と1/100のプラモデル、およびゾゴックの右腕に換装したジュアッグの設定画では5本指となっている。

出典

  1. ^ a b c d e f g OFFICIALS 2001, p. 24-25.
  2. ^ a b c d e f 記録全集4 1980, p. 183-185.
  3. ^ ガンプラファクトリー 2005, p. 74.
  4. ^ ガンプラファクトリー 2005, p. 81-88.
  5. ^ a b ガンプラジェネレーション 1999, p. 74.
  6. ^ a b c d ボンボン8206 1982, p. 201-207.
  7. ^ a b c d MSVハンドブック2 1983, p. 14.
  8. ^ a b c d e MSVジオン編 1984, p. 107.
  9. ^ a b c d e f g h ボンボン8311 1983, p. 364-365.
  10. ^ a b c d e f g h i j k l m HGUCジュアッグUC 2012.
  11. ^ a b c d e f MSVジオン編 1984, p. 33-40.
  12. ^ a b サンダーボルト設定集2 2020, p. 34-37.
  13. ^ a b c d e ジオノグラフィ量産型ズゴック 2006.
  14. ^ a b c MS大全集98 1998, p. 24.
  15. ^ a b c d e f g h ポケットカードMSV 1984.
  16. ^ MSVジオン編 1984, p. 127-128.
  17. ^ ガンダム事典1.5 2009, p. 184-185.
  18. ^ ボンボン8211 1982, p. 17.
  19. ^ a b パーフェクトファイル25 2012, p. 7-8.
  20. ^ MSVスタンダード 2018, p. 79.
  21. ^ a b c MSV-Rジオン編 2014, p. 38-39.
  22. ^ MSVスタンダード 2018, p. 103.
  23. ^ a b c d e f MSV-Rジオン編 2014, p. 108-109.
  24. ^ a b c d e f MSV-Rジオン編 2014, p. 136-137.
  25. ^ a b c OFFICIALS 2001, p. 796-799.
  26. ^ a b MS大全集2003 2003, p. 103.
  27. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t EB一年戦争編 1989, p. 56-57.
  28. ^ a b c d MSVジオン編 1984, p. 122-124.
  29. ^ a b アニメック15 1981, p. 31.
  30. ^ a b 一年戦争全史下 2007, p. 88-89.
  31. ^ a b c d MS大全集2013 2012, p. 14.
  32. ^ a b Ζを10倍楽しむ本 1985, p. 136-138.
  33. ^ a b c d MSVジオン編 1984, p. 119-121.
  34. ^ ボンボン8206 1982, p. 202-207.
  35. ^ ウェブHGUCジュアッグMSV 2012.
  36. ^ MJ8908 1989, p. 43.
  37. ^ a b c d e f OFFICIALS 2001, p. 456.
  38. ^ a b c d e f g h i j k l m HGUCゾゴックUC 2013.
  39. ^ a b c d MSVジオン編 1984, p. 125-126.
  40. ^ a b c d e UCメカ&ワールド4-6 2013, p. 94-95.
  41. ^ UCメカ&ワールド4-6 2013.
  42. ^ サンダーボルト8 2016, 裏表紙。





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