のうみん‐くみあい〔‐くみあひ〕【農民組合】
農民組合
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農民組合(のうみんくみあい)とは、日本の農民の社会的・経済的地位の向上や改善を目指して組織された組合である。
概要
明治時代初期に地主に対して小作料減免や耕作権確立を要求した小作人組合をルーツとしている[1]。
1922年に賀川豊彦や杉山元治郎らによって神戸で設立された日本農民組合(日農)が日本における最初の全国組織とされ[1]、大正期から昭和期にかけて全国各地で数多くの農民組合が設立された。
特に昭和期に入ると運動の在り方を巡って日農の中では対立が生じ、既存路線継承を主張する全農総本部派と共産党の指導を受けて自作農を巻き込んだ階級闘争を目指す全農全国会議派に分裂するなど[1][2]、必ずしも運動は一枚岩ではなかったものの、伏石事件・木崎村小作争議・阿仁前田小作争議等に代表される、実力行使を含む争議が各地で展開され、旧体制の打破が図られた。
21世紀の今日でも活動している主要な農民組合には、農民運動全国連合会(農民連)や全日本農民組合連合会(全日農)、北海道農民連盟などが存在する。また、農業協同組合の政治組織として全国農業者農政運動組織連盟が活動している。これらの団体は農産物自由化(WTOの農業に関する協定や環太平洋パートナーシップ協定)に反対する活動をしたり、独自の農作物の販路を開拓するなどしている。農民運動の国際組織としては、ビア・カンペシーナがあり、農民連が日本の組織としてこれに加盟している。
脚注
参考文献
- 『戦前における農民組合の系譜』〈村落社会研究 第2巻 農地改革と農民運動〉、218頁 。
- 黒田寿男、池田恒雄『日本農民組合運動史』新地書房、1949年 。
- 栗原百寿『農業問題入門』有斐閣、1955年 。
- 『農民組合運動の現勢』(日本労働問題研究所 編)日本労働問題研究所〈農民運動資料 第1輯〉、1934年6月 。
- 黒田寿男、池田恒雄『日本農民組合運動史』新地書房、1949年 。
- 青木恵一『日本農民組合運動史 : 農民は如何に戦つたか?また如何に戦はんとしているか?』大衆公論社、1931年 。
- 木村靖二『近代日本農民運動發達史 改訂新版(日本農民運動史 上)』白揚社、1931年 。
- 『村落社会研究会年報 第2巻 農地改革と農民運動』(村落社会研究会 編)時潮社、1955年。
- 『村落社会研究会年報 第2巻 農地改革と農民運動』(村落社会研究会 編)御茶の水書房、1977年8月 。
- 『栗原百寿著作集 6 農民運動史 上』(栗原百寿著作集編集委員会 編)校倉書房、1981年2月 。
- 『栗原百寿著作集 6 農民運動史 下』(栗原百寿著作集編集委員会 編)校倉書房、1982年10月 。
- 『歴史科学大系 第24巻 農民運動史』(歴史科学協議会 編、編集:金原左門、解説:林宥一)校倉書房、1991年6月 。
- 『特高警察関係資料集成 第10巻 (農民運動)』(荻野富士夫 編・解題)不二出版、1992年6月 。
- 『特高警察関係資料集成 第11巻 (農民運動)』(荻野富士夫 編・解題)不二出版、1992年6月 。
- 横関至「日本農民組合の再建と社会党・共産党(上)」『大原社会問題研究所雑誌』第514巻、法政大学大原社会問題研究所、2001年、NDLJP:9971569。
- 横関至「日本農民組合の再建と社会党・共産党(下)」『大原社会問題研究所雑誌』第516巻、法政大学大原社会問題研究所、2001年、NDLJP:9971587。
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