テュロス (バーレーン)とは? わかりやすく解説

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テュロス (バーレーン)

(Tylos から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/11/11 20:36 UTC 版)

テュロス[2][3]あるいはティロス[4]古代ギリシャ語: Τύλος, ラテン文字転写: Tylos)は、古代ギリシア語におけるバーレーン島の名称である[3]アレクサンドロス大王の東征以降、様々なギリシア語文献に登場する[5]バーレーン考古学の時代区分においては、テュロスの名称にちなんだタイロス時代という呼び方が定着している[3]


注釈

  1. ^ エリュトゥラー海は、字義的には紅海を意味するが、古代にはインド洋ペルシア湾、紅海をひっくるめた総称であった[15]
  2. ^ 実際の碑文の記述は、「Thilouans を治めた」というものだが、“Thilouans” は「テュロスの民」の意味であるとエルンスト・ヘルツフェルト英語版が指摘し、それが定説となっている[8]
  3. ^ アルダシール1世が破った、テュロスなどを統治する王はサナトルクといわれるが、これはアラビア東部の地名「ハッタ」(Hatta)と、サナトルクという王の実在が確認されているイラク北部の「ハトラ」(Hatra)を混同した可能性が指摘されている[13][5]
  4. ^ ただし、バハレインという名前は、イスラーム化以前のムアッラカートに既にその名がみられ、また、バハレイン以前にバーレーンの島々を指したとされるアワル英語版という名前も、用例は6世紀までさかのぼることができるという[18]
  5. ^ ラギュノスはギリシア風の徳利、カンタロスは酒神に捧げる広く張った把手付きの酒盃[26]

出典

  1. ^ Burney MS 111”. Digitised Manuscripts. British Library. 2023年10月27日閲覧。
  2. ^ a b 中野定雄・中野里美・中野美代 訳『プリニウス博物誌』 I(縮刷第二)、雄山閣東京都千代田区、2021年9月25日、278頁。ISBN 978-4-639-02787-4 
  3. ^ a b c d e 後藤健「アラビア湾岸出土のメソポタミア系土器」(PDF)『西アジア考古学』第3巻、7-19頁、2002年http://jswaa.org/wp/wp-content/themes/jswaa/pdf/jwaa/03/JWAA_03_2002_007-019.pdf 
  4. ^ a b c d e 西藤清秀ほか「バハレーン、ティロス期の古墳の調査 —バハレーン、マカバ古墳群の発掘調査2016-2020」『第28回西アジア発掘調査報告会報告集』(PDF)日本西アジア考古学会、2020年、89-94頁http://jswaa.org/wp/wp-content/uploads/2021/03/AME28P089-094Saito.pdf 
  5. ^ a b c d e f g h i j k Potts, Daniel T. (2009-01). “The archaeology and early history of the Persian Gulf”. In Potter, Lawrence G.. The Persian Gulf in history. Palgrave Macmillan. pp. 27-56. ISBN 978-1-4039-7245-3 
  6. ^ a b c d Gatier, Pierre-Louis; Lombard, Pierre; Al-Sindi, Khalid M. (2002), “Greek Inscriptions from Bahrain”, Arabian Archaeology and Epigraphy 13 (2): 223-233, doi:10.1034/j.1600-0471.2002.130204.x, ISSN 0905-7196 
  7. ^ Potts, Daniel (2012), “Tylos”, in Hornblower, Simon; Spawforth, Antony; Eidinow, Esther, Oxford Classical Dictionary, Oxford: Oxford University Press, p. 1522, doi:10.1093/acrefore/9780199381135.013.6617, ISBN 9780199545568 
  8. ^ a b c d e f g h i j k l m n Andersen, Søren Fredslund; Salman, Mustafa Ibrahim (2006), “The Tylos burials in Bahrain”, Proceedings of the Seminar for Arabian Studies 36: 111-124, https://www.jstor.org/stable/41223886 
  9. ^ 織田, 武雄『古代地理学史の研究 —ギリシア時代—』柳原書店、京都市、1959年9月30日。doi:10.11501/2984953 
  10. ^ a b c 大牟田, 章 (1987-02-10), “フラウィウス・アッリアノス『アレクサンドロス東征記』第六巻および第七巻・訳”, 金沢大学文学部論集 史学科篇 (7): 1-94, ISSN 0285-6522, NCID AN00044488, http://hdl.handle.net/2297/5083 
  11. ^ a b c d e Kosmin, Paul (2013), “Rethinking the Hellenistic Gulf: The New Greek Inscription from Bahrain”, Journal of Hellenic Studies: 61-79, doi:10.1017/S0075426913000049 
  12. ^ 城江良和 訳『ポリュビオス 歴史3』京都大学学術出版会京都市〈西洋古典叢書〉、2011年10月15日、283-285頁。ISBN 978-4-87698-192-2 
  13. ^ a b c d e f g 平成23年度協力相手国調査 バハレーン王国調査報告書』(PDF)文化遺産国際協力コンソーシアム、東京都台東区、2012年12月https://www.jcic-heritage.jp/wp-content/uploads/2022/12/2012Report_Bahrain_jp.pdf 
  14. ^ a b c d e f g Andersen, Søren Fredslund (2002-11), “The Chronology of the earliest Tylos period on Bahrain”, Arabian Archaeology and Epigraphy 13 (2): 234-245, doi:10.1034/j.1600-0471.2002.130205.x, ISSN 0905-7196 
  15. ^ 村川 1946, p. 4.
  16. ^ 蔀勇造文献史料に見る南東アラビア (1) ササン朝支配期以前」『金沢大学考古学紀要』第24巻、20-38頁、1998年9月30日。ISSN 0919-2573https://hdl.handle.net/2297/1577 
  17. ^ a b 西藤清秀「バハレーン・マカバ古墳群の調査 2017-2019」(PDF)『青陵』第167号、1-6頁、2022年11月18日http://www.kashikoken.jp/under_construction/wp-content/uploads/2022/11/seiryo-167Web.pdf 
  18. ^ a b c Potts, D. T. (1985), “Review: Reflections on the History and Archaeology of Bahrain”, Journal of the American Oriental Society 105 (4): 675-710, doi:10.2307/602727 
  19. ^ 川崎, 寅雄『東アラビアの歴史と石油』吉川弘文館、東京都文京区、1967年10月1日、42-43頁。doi:10.11501/3013022 
  20. ^ 村川 1946, p. 176.
  21. ^ プリニウス 2021, pp. 542–543.
  22. ^ テオフラストス 1988, p. 171.
  23. ^ 村川 1946, p. 199.
  24. ^ プリニウス 2021, p. 698.
  25. ^ テオフラストス 1988, p. 216.
  26. ^ 橋本謙一「ギリシアの窯業」『窯業協會誌』第64巻、第732号、C478-C485頁、1956年12月1日。doi:10.2109/jcersj1950.64.732_C479 


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