The Box Man (novel)とは? わかりやすく解説

Weblio 辞書 > 辞書・百科事典 > 百科事典 > The Box Man (novel)の意味・解説 

箱男

(The Box Man (novel) から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/02/19 00:40 UTC 版)

箱男』(はこおとこ)は、安部公房書き下ろし長編小説ダンボール箱を頭から腰まですっぽりとかぶり、覗き窓から外の世界を見つめて都市を彷徨う「箱男」の記録の物語。「箱男」の書いた手記を軸に、他の人物が書いたらしい文章、突然挿入される寓話新聞記事、冒頭のネガフィルムの1コマ、写真8枚など、様々な時空間の断章から成る実験的な構成となっている[1][2]。都市における匿名性不在証明、見る・見られるという自他関係の認識、人間の「帰属」についての追求を試みると同時に[3][4][5]、人間がものを書くということ自体への問い、従来の物語世界や小説構造への異化を試みたアンチ・小説(反・小説)の発展となっている[3][6][7][8]


注釈

  1. ^ 昭和元年に、「3月7日」という日付は存在しない。1927年3月7日は「昭和2年」とならなければならないため。安部公房は、自己を作中に刻印すると同時に、消してもいると工藤智哉は解説している[8]

出典

  1. ^ a b c d e f g 苅部直『安部公房の都市』(講談社、2012年)
  2. ^ a b 永野宏志「書物の「帰属」を変える―安部公房『箱男』の構成における「ノート」の役割―」(工学院大学研究論叢、2012年10月)
  3. ^ a b c d e f g 安部公房「『箱男』を完成した安部公房氏――談話記事」(共同通信、1973年4月6日号に掲載)
  4. ^ a b 安部公房「書斎にたずねて――談話記事」(『箱男』投込み付録)(新潮社、1973年)
  5. ^ a b c d 高野斗志美『新潮日本文学アルバム51 安部公房』(新潮社、1994年)
  6. ^ a b c d 平岡篤頼「二重化と象徴(迷路の小説論11)」(早稲田文学、1973年12月)
  7. ^ a b c d e f g h 杉浦幸恵「安部公房『箱男』における語りの重層性」(岩手大学大学院人文社会科学研究科紀要、2008年7月)
  8. ^ a b c d e f g h i j k 工藤智哉「『箱男』試論―物語の書き手をめぐって」(国文学研究、2002年6月)
  9. ^ 安部公房「国家からの失踪」(インタビュー 1967年11月)
  10. ^ a b c d e 安部公房「小説を生む発想――『箱男』について・現代乞食考」(第66回新潮社文化講演会・新宿・紀伊國屋ホール、1972年6月2日)。新潮カセット『小説を生む発想――「箱男」について』(新潮社、1993年10月20日)
  11. ^ a b 安部公房「発想の種子――周辺飛行29」(波 1974年3月号に掲載)
  12. ^ a b 安部公房「著者のことば」(『箱男』函表)(新潮社、1973年)
  13. ^ a b c d 安部公房「都市への回路」(海 1978年4月号に掲載)
  14. ^ a b 安部公房「〈物語とは〉――周辺飛行1」(波 1971年3・4月号に掲載)
  15. ^ a b 安部公房(聞き手:ナンシー・S・ハーディン)「安部公房との対話」(ユリイカ 1974年8月号に掲載)
  16. ^ a b c 安部公房「箱男 予告編――周辺飛行13」(波 1972年11月号に掲載)
  17. ^ a b c d 平岡篤頼「解説」(文庫版『箱男』)(新潮文庫、1982年)
  18. ^ a b c d 真銅正宏「『箱男』の寓意―遮蔽・越境・迷路」(国文學─解釈と教材の研究─、1997年8月号に掲載)
  19. ^ 岡庭昇花田清輝と安部公房―アヴァンガルド文学の再生のために』(第三文明社、1980年)
  20. ^ 田中裕之「『箱男』論(1)「箱男」という設定から」(梅花女子大学文学部紀要・比較文化編1号、1997年)
  21. ^ a b c d 平岡篤頼「続フィクションの熱風〔安部公房『箱男』〕(迷路の小説論8)」(早稲田文学、1973年9月)
  22. ^ 八角聡仁 「箱男の光学装置─写真・都市・演劇」(ユリイカ 1994年8月号に掲載)
  23. ^ 安部公房「都市について」(新潮 1967年1月号に掲載)
  24. ^ a b c d e 永野宏志「書物の「帰属」を変える (II) : 安部公房『箱男』の折込付録「〈書斎にたずねて〉」の展開可能性」(工学院大学研究論叢、2013年10月)





英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

The Box Man (novel)のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



The Box Man (novel)のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアの箱男 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。

©2024 GRAS Group, Inc.RSS