パロニコドンとは? わかりやすく解説

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パロニコドン

(Paronychodon から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/02/04 15:36 UTC 版)

パロニコドン
生息年代: 中生代後期白亜紀, 75–125 Ma
地質時代
後期白亜紀
分類
ドメイン : 真核生物 Eukaryota
: 動物界 Animalia
: 脊索動物門 Chordata
亜門 : 脊椎動物亜門 Vertebrata
: 爬虫綱 Reptilia
亜綱 : 双弓亜綱 Diapsida
下綱 : 主竜形下綱 Archosauromorpha
上目 : 恐竜上目 Dinosauria
: 竜盤目 Saurischia
亜目 : 獣脚亜目 Theropoda
下目 : テタヌラ下目 Tetanurae
階級なし : コエルロサウルス類 Coelurosauria
: トロオドン科 Troodontidae?
: パロニコドン属 Paronychodon
学名
Paronychodon
Cope1876

パロニコドンParonychodon "爪の側の歯"[ギリシャ語 παρά、para="〜の側に"+ὄνυξ、onyx="爪"+ὀδών、odoon="歯"])は獣脚類恐竜の属である。歯に基づく属であり、歯の"バケット"のみが残っており、化石の状態が断片的なためしばしば属としては疑わしいとされる。

タイプ種は1876年にエドワード・ドリンカー・コープによって命名されたParonychodon lacustrisであり[1] 、アメリカ、モンタナ州のジュディスリバー累層の7500万年前のカンパニア期の地層由来である。ホロタイプ標本はAMNH 3018である。1 cmほどの歯の化石で、細長く、後方に反り、鋸歯を欠き、低い垂直の峰を持ち、断面がD字型で内側が平らである。コープは初め首長竜のものであると考えたが[1]、同年これが肉食恐竜のものであると気づく[2]

第2の種Paronychodon caperatusワイオミング州ランス累層マーストリヒト期末期6600万年前)より知られ、元々は1889年にオスニエル・チャールズ・マーシュにより哺乳類の属トリプレオドンのものとされ、1991年にジョージ・オルシェフスキーオランダ語版によりパロニコドン属に移された[3] 。これはホロタイプYPM 10624に基づいており、歯はP. lacustrisのホロタイプと近い形態だがやや大きい。オルシェフスキーは1995年にコープが1876年にLaelaps explanatusと名づけた化石をParonychodon explanatusに改名した[4];今日ではこのタクソンはサウロルニトレステス(Saurornitholestes)の歯に基づいているとされる。

解剖学的特徴の一部もしくは全部がこれらと一致する非常に多数の標本がパロニコドンに割り当てられた。これらには鋸歯状の歯、低い歯や平らな側面の無い歯も含まれた。一般的な"パロニコドン"型のこれらの歯は様々な時代と場所由来のものが報告され、スペインの白亜紀初期のウナ累層英語版バレーム期後期1億2500万年前のものも含まれる。

パロニコドンはコエルルス科オルニトミモサウルス類ドロマエオサウルス科始祖鳥科、そしてトロオドン科またはそれ以外の種類のコエルロサウルス類の獣脚類であると考えられた。たいていの研究者はそれゆえ単に不定の獣脚類の歯とみなすが、デイノニコサウルス類のものであることには少数のコンセンサスがある。パロニコドンのものと割り当てられた歯はいずれも小さく、様々なデイノニコサウルス類の幼体のものかもしれない。識別可能な歯を持った成体の個体の顎は未だ発見されていない。マーシュは既にこのような歯は病的で、下顎の歯の最初の歯が偶然にも縫合線上で互いに背中合わせに成長したことによって形成されたものだと示唆している。フィリップ・J・カリーは1990年に平らな側面は歯槽の内壁に歯の残りが付着するには長すぎるために生じたものだと考え、奇形であると結論した。この型で鋸歯のある標本はこれゆえ、単純に異常なドロマエオサウルス科の歯なのだろう;しかしながら、鋸歯の無い歯は独自のタクソンもしくはタクサを表すものかもしれない[5]。Sunny Hwangnによるある研究ではこれらの歯のエナメル質は鋸歯の無い歯を持つ幼体で知られる、トロオドン科の属であるビロノサウルス英語版で見つかるものと同じだと示している[6]

様々なタクサがパロニコドンのシノニムであると考えられたことがあったが、少数のコンセンサスしか得られなかった。パロニコドンは1876年コープによりザプサリス英語版に似ていると記載しているが、ザプサリスは別の歯に基づく属であり、これ自体しばしばおそらくドロマエオサウルス科であるリカルドエステシアのシノニムであるとされる。Richardoestesia isoscelesはJulia Sankey他の研究に従えば細長く、"A型"とされるパロニコドンの歯のシノニムであり、これにはパロニコドンのホロタイプも含まれる[7]。ユーラシアの歯による属エウロニコドン英語版もまたパロニコドンの(ジュニア)シノニムだと考えられることがある。

脚注

  1. ^ a b Cope, E.D., 1876, "Descriptions of some vertebrate remains from the Fort Union Beds of Montana", Proceedings of the Academy of Natural Sciences of Philadelphia, 28: 248-261
  2. ^ Cope, E.D., 1876, "On some extinct Reptiles and Batrachia from the Judith River and Fox Hills Beds of Montana", Proceedings of the Academy of Natural Sciences of Philadelphia, 28: 340-359
  3. ^ Olshevsky, G., 1991, A Revision of the Parainfraclass Archosauria Cope, 1869, Excluding the Advanced Crocodylia. Mesozoic Meanderings 2 pp 196
  4. ^ Olshevsky, G., Ford, T.L. & Yamamoto, S., 1995, "The origin and evolution of the tyrannosaurids", Kyoryugaku Saizensen 9: 92-119/10: 75-99
  5. ^ Currie, P.J., Rigby, Jr., J.K., and Sloan, R.E., 1990, "Theropod teeth from the Judith River Formation of southern Alberta, Canada", pp. 107–125 in: K. Carpenter and P. J. Currie (eds.), Dinosaur Systematics: Perspectives and Approaches. Cambridge University Press, New York
  6. ^ Hwang, S.H. 2005. "Phylogenetic patterns of enamel microstructure in dinosaur teeth." Journal of Morphology, 266: 208-240
  7. ^ Sankey, J.T., D.B. Brinkman, M. Guenther, and P.J. Currie, 2002, "Small theropod and bird teeth from the Judith River Group (late Campanian), Alberta", Journal of Paleontology 76(4): 751-763



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