LS-Cロケットとは? わかりやすく解説

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LS-Cロケット

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/02/17 06:15 UTC 版)

LS-Cロケットとは科学技術庁宇宙開発推進本部と後継機関の宇宙開発事業団(後の宇宙航空研究開発機構)が開発した技術試験用の2段式ロケットである。

概要

Qロケット第3段用液体燃料ロケットエンジン技術及び、ジンバルを用いた推力偏向による誘導制御技術の開発を目的として1966年から開発が開始された。その後、1970年にQ,N計画が新N計画に変更されたことに伴い、N-Iロケット第2段用エンジンの開発へと目的が変更された[1]1968年から1974年まで種子島宇宙センター竹崎射場から8機が飛翔し5機が成功した。

LSは第2段が液体(英語: Liquid)ロケット、第1段が固体(英語: Solid)ロケットであることを意味する[1]

構成・諸元

第1段に固体ロケット、第2段に液体ロケットを使用した2段式の構成をもつ。第1段、第2段ともに三菱重工業が製造した。第1段は566mmで固体推進剤は旭化成が担当した。第2段の構成は号番によって異なり、LS-C-Dではダミー、1号機では硝酸非対称ジメチルヒドラジンを推進剤とする二重壁構造のLE-1エンジン、2号機から6号機では硝酸とエアロジン-50を推進剤とする管構造のLE-2エンジン、7号機では四酸化二窒素とエアロジン-50を推進剤とする管構造のLE-3エンジンが用いられた[1]

主要諸元一覧(1号機)[1][2]
諸元
全長 10.3m
全備質量 2,338kg
段数 第1段 第2段
各段全長 7.1m 3.2m
直径 566mm 600mm
平均推力 15.5tf 3.5tf
比推力 210s 178s
燃焼時間 10.16s 38.9s

飛翔実績

号番 飛翔日時(JST) 場所 到達高度 目的 成否 備考
LS-C-D 1968年 9月19日 10:58 TNSC竹崎射場竹崎第1射点 9.6km 第1段固体ロケットの性能確認、1,2段分離機能の確認 成功
LS-C1号機 1969年 2月6日 15:31 TNSC竹崎射場竹崎第1射点 LE-1の性能確認 失敗 第1段燃焼末期に爆発し1,2段が分離、第2段は点火後正常に飛行した
LS-C2号機 1969年 9月10日 15:30 TNSC竹崎射場竹崎第1射点 LE-2の性能及び飛翔性能の確認 失敗 発射時にタイマースタート用スイッチが動作せず、1,2段分離失敗
LS-C3号機 1970年 2月3日 15:03 TNSC竹崎射場竹崎第1射点 65km LE-2の性能及びジンバル機構の動作確認 成功
LS-C4号機 1970年 9月9日 15:40 TNSC竹崎射場竹崎第1射点 45km ジンバル制御装置の作動試験、ジャイロ機器及びガスジェット制御装置の回転制御特性確認 成功
LS-C5号機 1971年 9月10日 15:47 TNSC竹崎射場竹崎第1射点 53km ジンバル制御試験、ジャイロ機器及びガスジェット制御装置の回転制御特性確認 成功
LS-C6号機 1972年 9月25日 15:06 TNSC竹崎射場竹崎第1射点 40km ジンバル制御装置及びガスジェット制御装置による制御試験 成功
LS-C7号機 1974年 2月9日 15:30 TNSC竹崎射場竹崎第1射点 15km LE-3エンジンの飛翔性能試験 失敗 第2段着火時、推進薬供給配管に圧力異常が発生し、多量の酸化剤が漏洩

出典・脚注

  1. ^ a b c d 新版 日本ロケット物語 - 大澤弘之 監修 / 2003年9月 ISBN 4-416-20305-5 p.132-135
  2. ^ 我が国の宇宙開発のあゆみ - 科学技術庁 編 / 1978年8月31日 p.15

関連項目

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