不変測度
(Invariant measure から転送)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2017/06/28 04:50 UTC 版)
- 実数直線 R 上で、通常のボレル集合族を考える。各 a ∈ R に対して平行移動変換: をとれば、一次元ルベーグ測度 λ は Ta-不変測度である。したがって特に、平行移動変換からなる任意の変換族 T に対して λ は T-不変であって、ルベーグ測度 λ は平行移動不変であるという。
- より一般に、n-次元ユークリッド空間 Rn に通常のボレル集合族を考えるとき、その上の n-次元ルベーグ測度 λn は、ユークリッド空間の任意の等長変換について不変である。そのような変換 T: Rn → Rn は、と書ける。ここに、O(n) は直交群(つまり A は n × n 直交行列である。
最初に挙げた例である一次元ルベーグ測度は、定数倍による正規化定数の取り換えという自明な操作を除いて一意に決まる。しかし、一般の場合には必ずしもそのような一意性が存在するわけではない。例えば、二点集合 S = {A, B} と、各点を動かさない恒等写像 T = idS を考えると、任意の(確率)測度 μ: S → R は T-不変である。S は明らかに T-不変成分 {A} および {B} に分割される。
- 度やラジアンで測った(円)角の角度(角測度)は、回転不変である。同様に、双曲角は圧搾写像の下で不変である。
- ユークリッド平面における面の面積(面測度)は、行列式が 1 であるような 2 × 2 実行列に対して不変である。そのような行列は、特殊線型群 SL(2,R) として知られている。
- すべての局所コンパクト群は、群作用の下で不変なハール測度を持つ。ルベーグ測度はハール測度の例になっている。
関連項目
- 準不変測度
参考文献
- Invariant measures, John Von Neumann, AMS Bookstore, 1999, ISBN 978-0-8218-0912-9
外部リンク
- Hazewinkel, Michiel, ed. (2001), "Invariant measure", Encyclopaedia of Mathematics, Springer, ISBN 978-1-55608-010-4