フォーム・テンケー〈Form10-K〉
日本の有価証券報告書に当たるもので、事業内容の説明から主要財務諸表、経営者の報酬などまで細かく明記されています。アメリカでは、これをSEC向けに作成するとともに、一般の株主に対してはアニュアル・レポートが作成されています。アニュアル・レポートと比べると、フォーム・テンケーのほうが詳細な記述がなされていますが、企業動向などをチェックするうえで必要な基本項目については、両者ともほぼ同じ内容のものが掲載されています。アメリカは一般的に、企業のディスクロージャーに対して厳しい開示規則が設けられており、日本に比べてより細かい内容まで開示する必要があります。最近では日本の企業のなかにも、SEC基準のディスクロージャーを実行するところもあり、それが企業の評価につながる側面もあります。
Form 10-K
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2026/09/16 15:47 UTC 版)
Form 10-Kは、1934年証券取引所法第13条または第15条(d)に基づく報告義務を負う企業が米国証券取引委員会(SEC)に毎年提出する年次報告書の様式である[1]。10-K、フォーム10-Kとも表記される。事業年度ごとに事業の内容、財務諸表、経営者による財政状態と経営成績の説明などを記載して提出し[2]、提出された報告書はSECの電子開示システムEDGARで公開される[3]。
概要
Form 10-Kは、1934年証券取引所法に基づく年次報告のうち、ほかの様式が定められていないものに用いる様式で、連邦規則集17編249.310節(17 CFR 249.310)に規定されている。事業年度の末日を変更したときの移行報告書にも用いる[1]。
2026年時点の規則では、非関係者が保有する議決権付および無議決権の普通株式の時価総額が7億ドル以上であることなどを要件として大規模早期提出会社(large accelerated filer)が、7500万ドル以上7億ドル未満であることなどを要件として早期提出会社(accelerated filer)が定義されており[4]、年次報告書はそれぞれ事業年度終了後60日以内、75日以内に提出する。それ以外の提出者の期限は90日以内である[1]。
報告書の表紙には、提出者がどの区分に当たるか(大規模早期提出会社、早期提出会社、非早期提出会社、小規模報告会社、新興成長企業)を示す欄と、財務報告に係る内部統制の有効性についての経営者の評価に対して登録公認会計事務所(監査人)が証明報告書を作成したか(サーベンス・オクスリー法第404条(b))を示す欄が設けられている[2]。
主な内容
Form 10-Kは4部(Part I〜IV)で構成され、各部に番号を付した項目(Item)が置かれる。多くの項目は、記載内容を定めるレギュレーションS-K(17 CFR 229)の対応する条項を参照する形式をとる[2]。主な項目は次のとおりである。
- Part I(Item 1〜4)
- 事業の内容(Item 1)、リスク要因(Item 1A)、SECスタッフからの未解決のコメント(Item 1B)、サイバーセキュリティ(Item 1C)、物件(Item 2)、法的手続(Item 3)[2]
- Part II(Item 5〜9C)
- 経営者による財政状態および経営成績の検討と分析(Management's Discussion and Analysis、MD&A、Item 7)、財務諸表および補足財務情報(Item 8)、統制および手続(Item 9A)[2]
- Part III(Item 10〜14)
- 取締役・執行役員とコーポレート・ガバナンス(Item 10)、役員報酬(Item 11)、株式の所有状況(Item 12)[2]
- Part IV(Item 15〜16)
- 添付書類および財務諸表明細表(Item 15)[2]
経緯
提出は電子化されており、SECはEDGARを1933年証券法や1934年証券取引所法などに基づく提出書類の主要なシステムとしている[3]。
2005年7月19日付の証券公募改革(Release No. 33-8591)により、Form 10-KのPart Iに「リスク要因」(Item 1A)と「SECスタッフからの未解決のコメント」(Item 1B)を追加した[5]。
2023年7月26日、SECはサイバーセキュリティのリスク管理、戦略、ガバナンスに関する年次開示を求める規則を採択し、レギュレーションS-Kに第106項を新設した。この開示はForm 10-Kで行い、2023年12月15日以後に終了する事業年度の年次報告書から適用された[6]。
会計学やファイナンスの研究では、キャンベル(John L. Campbell)らが企業の開示書類における義務的なリスク要因開示の情報内容を分析し[7]、ラフラン(Tim Loughran)とマクドナルド(Bill McDonald)が10-Kの文章を対象とする語彙分析の手法を検討している[8]。
関連する書類
四半期ごとの報告にはForm 10-Qが、臨時報告(Current Report)にはForm 8-Kが用いられる[2]。外国民間発行者(foreign private issuer)の年次報告にはForm 20-FまたはForm 40-Fが用いられる[9]。株主に配布される年次報告書(アニュアルレポート)はForm 10-Kとは別の文書で、Form 10-Kはその該当部分を参照により組み込むことができる[2]。
関連項目
脚注
- 1 2 3 “17 CFR § 249.310 - Form 10-K, for annual and transition reports pursuant to sections 13 or 15(d) of the Securities Exchange Act of 1934” (英語). Legal Information Institute, Cornell Law School. 2026年9月7日閲覧。
- 1 2 3 4 5 6 7 8 9 “Form 10-K: Annual Report Pursuant to Section 13 or 15(d) of the Securities Exchange Act of 1934” (PDF) (英語). U.S. Securities and Exchange Commission (2025年2月). 2026年9月7日閲覧。
- 1 2 “About EDGAR” (英語). U.S. Securities and Exchange Commission. 2026年9月7日閲覧。
- ↑ “17 CFR § 240.12b-2 - Definitions” (英語). Legal Information Institute, Cornell Law School. 2026年9月7日閲覧。
- ↑ “Securities Offering Reform (Release Nos. 33-8591; 34-52056)” (PDF) (英語). U.S. Securities and Exchange Commission (2005年7月19日). 2026年9月7日閲覧。
- ↑ “SEC Adopts Rules on Cybersecurity Risk Management, Strategy, Governance, and Incident Disclosure by Public Companies” (英語). U.S. Securities and Exchange Commission (2023年7月26日). 2026年9月7日閲覧。
- ↑ Campbell, John L.; Chen, Hsinchun; Dhaliwal, Dan S.; Lu, Hsin-min; Steele, Logan B. (2013). “The information content of mandatory risk factor disclosures in corporate filings”. Review of Accounting Studies 19 (1): 396–455. doi:10.1007/s11142-013-9258-3.
- ↑ Loughran, Tim; McDonald, Bill (2011). “When Is a Liability Not a Liability? Textual Analysis, Dictionaries, and 10-Ks”. The Journal of Finance 66 (1): 35–65. doi:10.1111/j.1540-6261.2010.01625.x.
- ↑ “Inline XBRL” (英語). U.S. Securities and Exchange Commission. 2026年9月7日閲覧。
外部リンク
- Form 10-K(様式原本、PDF) - 米国証券取引委員会
Form 10-K
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/03/11 07:57 UTC 版)
「有価証券報告書」の記事における「Form 10-K」の解説
アメリカ合衆国において、有価証券報告書に相当する書類をForm 10-K(英語)という。これは、事業年度ごとに証券取引委員会に提出される。また、四半期報告書に相当する書類はForm 10-Q(英語)という。
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