Classroom Adventure
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/11/16 05:02 UTC 版)
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| 種類 | 株式会社 |
|---|---|
| 市場情報 | 非上場 |
| 本社所在地 | 〒104-0033 東京都中央区新川1丁目7-2[2] |
| 設立 | 2024年10月2日(法人登記)[3] |
| 業種 | 9050(教育、学習支援業) |
| 法人番号 | 3010001248691 |
| 事業内容 | 教育プログラム開発・提供(ゲーミフィケーション、情報リテラシー教育)[4] |
| 代表者 | 代表取締役CEO 今井善太郎[5] |
| 資本金 | - |
| 外部リンク | 公式ウェブサイト |
株式会社Classroom Adventure(クラスルームアドベンチャー、英: Classroom Adventure Inc.)は、東京都中央区に本社を置く日本の企業。慶應義塾大学発のEdTechスタートアップで、ゲーミフィケーションを通じた情報リテラシー教育プログラムの開発・提供を行っている[6]。
主な提供プログラムとして、誤情報を見抜くスキルを学ぶ「レイのブログ (Ray’s Blog)」や、闇バイトの危険性を疑似体験する「レイの失踪 (Ray’s Gone)」などがある[7][8]。2024年からは、米Google社が主催していたファクトチェックの国際大会「Youth Verification Challenge」(ユースファクトチェック選手権)の運営を引き継いで主催している[9]。
概要
「Make maenomeri(前のめりをつくる)」をミッションに掲げ、ゲームの仕組みを学習に取り入れる「ゲーミフィケーション」の手法を用い、若年層向けの情報リテラシーおよびメディア・リテラシー教育プログラムを開発・提供している。特に、フェイクニュースや闇バイトといった、現代のデジタル社会における脅威への対策に焦点を当てている。
沿革
- 2022年 - 米Google主催のファクトチェック世界大会「Youth Verification Challenge」で、後の共同創業メンバーが中心となる日本代表チームが国内大会優勝(世界4位)する[10]。
- 2023年 - 体験型メディアリテラシー教材「レイのブログ」を開発・公開。同年、シンガポール開催のアジア最大級メディア会議「Trusted Media Summit 2023」で英語版 "Ray's Blog"を発表。
- 2024年(令和6年)
- 12月1日 - 「闇バイト」対策プログラム「レイの失踪」をリリース。
- 12月 - 東京都主催のスタートアップコンテスト「Tokyo Startup Gateway 2024」(TSG)において、「レイの失踪」が最優秀賞を受賞[11]。
- 12月 - ファクトチェック世界大会「Youth Verification Challenge 2024」を主催。
- 2025年(令和7年)
主な事業・プログラム
レイのブログ (Ray's Blog | 三年B班的隱藏者)
メディア・リテラシーを「学習」するための、謎解きゲーム形式の教育プログラム[14]。参加者は「レイ」と名乗る謎の人物のブログに隠された情報をもとに、インターネット検索や情報検証技術を駆使して真実を探る物語を通じて、情報リテラシーを体験的に学ぶ。SNS上の偽情報、生成AIによるフェイク、統計のトリックなどを網羅する。情報の真偽を「疑う・調べる・判断する」という3ステップの実践に重きを置いている。2024年には朝日新聞社主催「大学SDGs Action! Awards 2024」でグランプリを受賞した。[15] 2025年10月時点で世界12カ国以でプログラムを展開しており、2023年には英語版 "Ray's Blog"[16]、2024年には台湾版である"三年B班的隱藏者"を公開。[17]
レイの失踪 (Ray's Gone)
「闇バイト」の脅威を「シミュレーション(追体験)」するための、ネットリテラシープログラム[18]。SNSを通じて失踪した友人「レイ」を探す設定のもと、参加者はレイが闇バイトに勧誘され、個人情報を奪われ、脅迫によって抜け出せなくなるまでの過程を擬似体験する。若年層の闇バイト加担が社会問題となる中、当事者視点で学ぶ「追体験」型のアプローチが評価され、2024年12月に東京都主催「Tokyo Startup Gateway 2024」で最優秀賞を受賞。2025年6月には、本プログラムの知見に基づき、文部科学大臣へ闇バイト対策教育の充実を求める提言を行った[19]。
ユースファクトチェック選手権 (GenAsia Challenge)
情報リテラシーを「競技」として実践する、12歳から24歳までを対象としたファクトチェックの国際大会。元々はGoogle社が主催していた「Youth Verification Challenge」だが、創業メンバーの大会出場・優勝経験を背景に、2024年からClassroom Adventureがその運営を引き継いだ[20][13]。参加者はチームを組み、オンライン上で出題されるフェイクニュース、デマ、生成AIによる偽画像・動画などに対し、「検索力」や情報検証技術を駆使して迅速かつ正確に真偽を見抜く能力を競う。2025年大会からは、エントリーの多いアジア地域に焦点を当て、大会名を「GenAsia Challenge(ジェネアジア・チャレンジ)」に改称。日本ファクトチェックセンター(JFC)や台湾、インド、タイ、モンゴルなど各国ファクトチェック団体と共催している[13]。
公的機関との連携
総務省「偽・誤情報対策事業」
2025年7月、総務省の「インターネット上の偽・誤情報等への対策技術の開発・実証事業」に採択された。「偽・誤情報サンドボックスを活用した実践的ゲーム型プレバンキング技術の開発・実証」プロジェクトを推進する。[21]
文部科学省「EDU-Portニッポン」
2025年度、文部科学省による日本型教育の海外展開事業「EDU-Portニッポン」の応援プロジェクトに採択された。「アジア地域におけるゲーミフィケーションを活用した情報リテラシーの向上」をテーマに、「レイのブログ」や「GenAsia Challenge」のアジア展開を計画している。[22]
文部科学大臣への提言
2025年6月24日、あべ俊子文部科学大臣に対し、若者の「闇バイト」加担問題など、インターネット上の脅威に対する教育の充実を求める陳情書を提出した。陳情書では、現行の情報モラル教育が犯罪手口の巧妙化に追いついていない現状を指摘し、教育課程において「レイの失踪」のような体験型・シミュレーション型の予防教育(プレバンキング)を導入する必要性を提言した[23][24]。
自治体・教育機関との連携
- 東京都北区 - 2025年、北区生活安全担当課と連携し、区内の中学3年生を対象に「レイの失踪」を導入[25]。
- 東京都 - 2025年、都立高校で初めて「レイの失踪」が授業導入された[26]。
- 鳥取県 - 「情報的健康とっとりプロジェクト」において、鳥取大学や公立鳥取環境大学など県内の高等教育機関と連携し、体験型情報リテラシー教育を展開[27]。
- 兵庫県、藤沢市など、全国の自治体や警察と連携した導入が進んでいる[28]。
主な受賞歴・採択実績
| 年月 | 受賞・採択名 | 主催・管轄 | 対象 | 典拠 |
|---|---|---|---|---|
| 2024年 | 大学SDGs Action! Awards 2024 グランプリ | 朝日新聞社 | メディアリテラシープログラム「レイのブログ」 | [29] |
| 2024年12月 | Tokyo Startup Gateway 2024 最優秀賞 | 東京都 | ネットリテラシープログラム「レイの失踪」 | [30] |
| 2025年度 | 「EDU-Portニッポン」応援プロジェクト | 文部科学省 | アジア地域におけるゲーミフィケーションを活用した情報リテラシーの向上 | [31] |
| 2025年度 | インターネット上の偽・誤情報等への対策技術の開発・実証事業 | 総務省 | 偽・誤情報サンドボックスを活用した実践的ゲーム型プレバンキング技術の開発・実証 | [32] |
| 2025年度 | 「未来の教室」教育イノベーター支援プログラム(Edvation Open Lab) | 経済産業省 | (プログラム採択) | [33] |
| 2025年度 | Global EdTech Startup Awards 日本代表 | 世界最大のEdTechスタートアップコンペティション | [34] |
脚注
- ^ “株式会社Classroom Adventure”. gBizINFO(経済産業省). 2025年11月15日閲覧。
- ^ “「闇バイト」を追体験する。 全く新しいネットリテラシープログラム「レイの失踪」をリリース【東京都スタートアップコンテスト優勝】”. 株式会社 Classroom Adventure (2024年12月3日). 2025年11月15日閲覧。
- ^ “株式会社Classroom Adventure”. G-Searchデータベースサービス. G-Search. 2025年11月15日閲覧。
- ^ “株式会社Classroom Adventure(令和7年度 応援プロジェクト)”. EDU-Portニッポン(文部科学省) (2025年7月18日). 2025年11月15日閲覧。
- ^ “ファクトチェック日本代表の「Classroom Adventure」プロジェクトがEdTechプログラム「Ray's Blog」のグローバル版をリリース”. 100BANCH (2023年12月2日). 2025年11月16日閲覧。
- ^ “【藤沢市】慶大発スタートアップが藤沢翔陵高校で闇バイト対策授業を実施!”. 湘南人 (2025年5月10日). 2025年11月15日閲覧。
- ^ “フェイクニュースを見抜く力を! ゲーム形式で学べる「レイのブログ」”. 日本財団ジャーナル (2025年6月10日). 2025年11月15日閲覧。
- ^ “「闇バイト」について追体験しつつ学べるネットリテラシープログラム「レイの失踪」がリリース”. EdTechZine (2024年12月4日). 2025年11月15日閲覧。
- ^ “「検索力世界一」の称号を目指せ!「 ユースファクトチェック選手権」が今年も開催。”. PR TIMES (2025年10月15日). 2025年11月15日閲覧。
- ^ “ファクトチェック日本代表の「Classroom Adventure」プロジェクトがEdTechプログラム「Ray's Blog」のグローバル版をリリース”. 100BANCH (2023年12月2日). 2025年11月16日閲覧。
- ^ “東京都主催のTokyo Startup Gatewayにて3317名の中から最優秀賞を受賞しました。”. Classroom Adventure (2024年12月3日). 2025年11月15日閲覧。
- ^ “Classroom Adventureがあべ俊子文部科学大臣に「闇バイト」等、若者を取り巻くインターネット環境の安全啓発に関する教育充実を求める陳情を行いました”. Classroom Adventure (2025年7月25日). 2025年11月16日閲覧。
- ^ a b c “「検索力世界一」の称号を目指せ!「 ユースファクトチェック選手権」が今年も開催。”. PR TIMES (2025年10月15日). 2025年11月15日閲覧。
- ^ “メディア・リテラシープログラム レイのブログ”. Classroom Adventure. 2025年11月15日閲覧。
- ^ “【WEB採録】メディアリテラシーの力をつける中高生向けゲームアプリと理系女子を増やすためのプログラミング教室がグランプリに 大学SDGs ACTION! AWARDS 2024”. 2025年11月16日閲覧。
- ^ Kajimoto, Masato. “Benefits and challenges of gamification” (英語). talk.annieasia.org. 2025年11月16日閲覧。
- ^ 劉芮菁 (2024年6月17日). “這款解謎遊戲讓事實查核變有趣,紅遍50所學校!三名日本大學生,如何用遊戲翻轉教育?- 今周刊” (中国語). www.businesstoday.com.tw. 2025年11月16日閲覧。
- ^ “レイの失踪 -闇バイトを擬似体験する教育ゲーム”. Classroom Adventure. 2025年11月15日閲覧。
- ^ 株式会社インプレス (2025年7月28日). “Classroom Adventureが文部科学大臣に陳情、若者を取り巻くインターネット環境の安全啓発を要望”. こどもとIT. 2025年11月16日閲覧。
- ^ “画像に潜むウソ、見破れる? ファクトチェック能力を競う大会が開催:朝日新聞”. 朝日新聞 (2025年11月14日). 2025年11月16日閲覧。
- ^ “総務省|インターネット上の違法・有害情報に対する対応(情報流通プラットフォーム対処法)|インターネット上の偽・誤情報等への対策技術の開発・実証事業(令和7年度)”. 総務省. 2025年11月16日閲覧。
- ^ “採択プロジェクト一覧|日本型教育の海外展開(EDU-Portニッポン)”. www.eduport.mext.go.jp. 2025年11月16日閲覧。
- ^ 株式会社インプレス (2025年7月28日). “Classroom Adventureが文部科学大臣に陳情、若者を取り巻くインターネット環境の安全啓発を要望”. こどもとIT. 2025年11月16日閲覧。
- ^ “Classroom Adventureがあべ俊子文部科学大臣に「闇バイト」等、若者を取り巻くインターネット環境の安全啓発に関する教育充実を求める陳情を行いました”. Classroom Adventure (2025年7月25日). 2025年11月16日閲覧。
- ^ “Classroom Adventureは東京都北区と協力し、区内の若者を闇バイトから守るため、5月から闇バイト擬似体験ゲーム「レイの失踪」を活用した啓発講習会を実施する”. ICT教育ニュース (2025年4月30日). 2025年11月15日閲覧。
- ^ “朝日新聞で「レイの失踪」 が掲載されました 慶大生開発のゲームで闇バイトを体験、都立高で初授業 都などが実施”. Classroom Adventure (Asahi Shimbun) (2025年9月30日). 2025年11月15日閲覧。
- ^ “鳥取県と株式会社Classroom Adventure「情報的健康とっとりプロジェクト」において体験型情報リテラシー教育を本格展開”. PR TIMES (2025年11月9日). 2025年11月15日閲覧。
- ^ “株式会社 Classroom Adventureのプレスリリース一覧”. PR TIMES. 2025年11月16日閲覧。
- ^ “「レイのブログ」の活動が朝日新聞 大学SDGs Action! Awardsでグランプリを受賞”. Classroom Adventure (2024年9月20日). 2025年11月16日閲覧。
- ^ “東京都主催のTokyo Startup Gatewayにて3317名の中から最優秀賞を受賞しました。”. Classroom Adventure (2024年12月3日). 2025年11月15日閲覧。
- ^ “株式会社Classroom Adventure(令和7年度 応援プロジェクト)”. EDU-Portニッポン(文部科学省) (2025年7月18日). 2025年11月15日閲覧。
- ^ “Classroom Adventureが総務省「インターネット上の偽・誤情報等への対策技術の開発・実証事業」に採択”. Media Innovation (2025年7月28日). 2025年11月15日閲覧。
- ^ “Classroom Adventure、令和7年度 経済産業省「未来の教室」教育イノベーター支援プログラム(Edvation Open Lab)に採択”. PR TIMES (2024年12月3日). 2025年11月15日閲覧。
- ^ “GESA | グローバルEdTech推進委員会”. GESA | グローバルEdTech推進委員会. 2025年11月16日閲覧。
関連項目
外部リンク
- Classroom Adventure公式サイト
- Classroom Adventure (@classroom_adv) - X
- ユースファクトチェック選手権
- Classroom Adventureのページへのリンク