At the Gatesとは? わかりやすく解説

Weblio 辞書 > 辞書・百科事典 > 百科事典 > At the Gatesの意味・解説 

アット・ザ・ゲイツ

(At the Gates から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/10/24 15:37 UTC 版)

アット・ザ・ゲイツ
At the Gates
基本情報
出身地  スウェーデン
ヨーテボリ・ブーヒュース県
ヨーテボリ
ジャンル メロディックデスメタル[1][2]
デスメタル(初期)[1][2]
ヘヴィメタル[2]
スカンジナヴィアン・メタル[2]
デスラッシュ
シンフォニックブラックメタル
活動期間 1990年 - 1996年
2007年 - 2008年
2010年 -
レーベル デフ・レコード
ピースヴィル・レコード

イヤーエイク・レコード
センチュリー・メディア・レコード
ポニーキャニオン
トイズ・ファクトリー
トゥルーパー・エンタテインメント
共同作業者 フレドリック・ノルドストローム
公式サイト www.atthegates.se
メンバー
旧メンバー
  • アルフ・スヴェンソン (ギター)
  • ヨナス・ストールハマール (ギター)
  • トニー・アンダーソン (ベース)

アット・ザ・ゲイツ: At the Gates)は、スウェーデンヨーテボリ出身のメロディックデスメタルバンドである。1990年に結成され1996年に解散したが、2007年から2008年にかけて一時的に活動を再開。その後改めて2010年に再結成を果たし、以降も各ライブイベントに出演している。

概要

カーカスエッジ・オブ・サニティアモルフィスらと並び、1990年初頭からメロディックデスメタルというジャンルの形成に大きく関わり、デスメタルのアグレッシブさに叙情的なメロディを加えた1995年リリースの4thアルバム『Slaughter of the Soul』で一つの完成形を迎え、カーカスの『Heartwork』と共に世界各地で多くのフォロワーを生んだ。

その後、メロディックデスメタルはイン・フレイムスダーク・トランキュリティらによってよりメロディアスな方向へ推し進められ、メロディックデスメタルとしての完成度を高める一方、ソイルワークザ・クラウンカーナル・フォージフォーセイクンらによって、アグレッシブさを保ちつづけながらも一定のメロディを盛り込んだデスラッシュというアプローチをとるバンドも現われることになった。

また、後続のメロディックデスメタル/デスラッシュバンドだけでなく、キルスウィッチ・エンゲイジザ・ブラック・ダリア・マーダーアズ・アイ・レイ・ダイングらアメリカのヘヴィメタルバンドにも無視できない影響を及ぼすことになったが、これは4thアルバムリリース後のツアーで2度に渡る長期のアメリカツアーを行ったことも大きく影響していたと思われる。

このアット・ザ・ゲイツのアメリカツアーによって築き上げられたアメリカでのメロディックデスメタルのファン・ベースは、後のソイルワークイン・フレイムスアーチ・エネミーらによるアメリカ進出における成功の下地を作った。

略歴

1990年、グロテスク、インフェステイションらのメンバーによりアット・ザ・ゲイツが結成される。メンバーはトーマス・リンドバーグ(Vo)、アンダース・ビョーラー(G)、アルフ・スヴェンソン(G)、ヨナス・ビョーラー(B)、エイドリアン・アーランドソン(Ds)の5人であった。1991年デモEP『Gardens of Grief』をリリース。同デモは、同年中にドロレス・レコードよりアナログレコードで再発された。1992年にもプロモ盤を作成し、イギリスピースヴィル・レコードと契約を行う。ヴァイオリン奏者のイェスパー・ヤロルドをセッションに迎え、アルバムのレコーディングを行う。同年7月に1stアルバム『The Red in the Sky Is Ours』をリリース。その後、セリオンマイ・ダイイング・ブライドらとヨーロッパツアーを行う。また、1992年の途中から1993年にかけて、ヨナス・ビョーラーがバンドを離れており、トニー・アンダーソンがベーシストとして参加している。この関係からか、1stアルバムの裏ジャケットには、トニー・アンダーソンがベーシストとしてクレジットされている[3]

1993年4月にサンライト・スタジオでとトマス・スコッグスベルグと共にレコーディングを行う(当時サンライト・スタジオで働いていたディスメンバーのフレッド・エストビー、カーナル・フォージのラーズ・リンデンらがエンジニアとして参加している)。音楽的方向性の違いによりアルフ・スヴェンソン(G)が脱退するがアルバムのレコーディングには参加、後任にマーティン・ラーソンを迎える。5月に2ndアルバム『With Fear I Kiss the Burning Darkness』をリリース。アナシマ、クレイドル・オブ・フィルスらとツアーをヨーロッパツアーを行う。1994年2月にイエテボリのスタジオ・フレッドマンにてプロデューサーのフレドリック・ノルドストロームと共にレコーディングを行う。4月にEP『Gardens of Grief 』を限定666枚リリース。7月に3rdアルバム『Terminal Spirit Disease』をリリース。これは新曲6曲に、ライブ3曲という変則的な構成のアルバムであった。アナシマ、マイ・ダイイング・ブライドらとヨーロッパツアーを行う。

1995年、イギリスのイヤーエイク・レコードと契約を行い。5月から7月にかけ再びスタジオ・フレッドマンでフレドリック・ノスドストロームプロデュースの元、アルバムのレコーディングを行う。11月に4thアルバム『Slaughter Of The Soul』をリリース。アンリージェッドとヨーロッパツアーを行い、途中フェスティバル出演ではテスタメントクリーターらと共演した。1996年1月にはディセクションらとイギリスツアーを行い、3月にはモービッド・エンジェル、ディセクションとアメリカツアーを行う。4月にはナパーム・デスフェイス・ダウンらとヨーロッパツアーを行い、6月にはナパーム・デスとアメリカツアーを行う。その後スウェーデンでフェスティバルに出演後、9月に解散した。解散のきっかけは、ライブ・ツアーの疲れから、アンダース・ビョーラーが脱退の意向を示したことだという[4]

2001年、ピースヴィルよりイヤーエイク在籍時の曲も含むベストアルバム『Suicidal Final Art』がリリースされた。

2007年、再結成。ライヴ限定で活動を行うが、2008年9月21日に最後のショウを行い再び解散。2010年、12月に再結成して2011年以降に、ライブに参加することが発表された。2014年センチュリー・メディア・レコードと契約し、秋に約20年ぶりとなる新アルバム『At War with Reality』をリリースした[5]2017年3月中旬、アンダース・ビョーラーの脱退が発表された[6]。同年9月、アンダースの後任としてヨナス・ストールハマール(G)の加入が発表された[7]。また、併せて同年冬より新アルバムのレコーディングに入ることが発表され[7]、翌2018年5月に6thアルバム『To Drink from the Night Itself』をリリースした。2021年7月に、7thアルバム『The Nightmare of Being』をリリース。

2022年7月下旬、ギタリストのストールハマールが脱退した[8]。10月5日に後任として、アンダース・ビョーラーの復帰が発表された[9]

音楽的特徴

  • 1stアルバムは専任のヴァイオリン奏者が存在していて、初期の頃からデスメタルメロディを導入しようと試行錯誤していたことが窺える。ただ全てにおいてこの試みが成功していたわけではなく、ヴァイオリンによるメロディアスなパートとデスメタル部分の融合には至っていないが、その後の成長を感じさせるような部分もある。
  • 続く2ndアルバムでは専任のヴァイオリン奏者が脱退し、エントゥームドディスメンバーに通ずる典型的なデスメタルの音になっている。この頃からデスメタルに叙情的なメロディを導入し始めるが、基本的には変拍子や不気味なスケールを前面に出しており、90年代後半から広まった所謂メロディックデスメタルとは方向性が異なる。このアルバムでボーカルのトーマス・リンドバーグは典型的なデスボイスから脱却し、泣き叫ぶようなボーカルスタイルに変化している。プロデュースはトマス・スコッグスベルグによる。
  • 3rdよりプロデューサーがヨーテボリスタジオ・フレッドマンフレドリック・ノルドストロームに交代。以前の作品よりサウンド・プロダクションに改善が見られ、また作曲もビョーラー兄弟がメインで担当するようになり、よりストレートかつメロディアスな曲構成への変遷が見られる。1stの頃のようにヴィオラチェロを導入しているが曲中に絡ませるわけではなく、弦楽器による叙情性のあるイントロからアグレッシブな展開に移行させるように用いられた。
  • 4thアルバムではスラッシュメタルの色を強め、特にスレイヤーの影響を感じさせる重たく小刻みなリフが多くなり、アルバム全編にわたって畳み掛けるような構成になっている。サウンド・プロダクションも大きく向上し、アグレッシブさと叙情的なメロディとの融合を成し遂げた。
  • 5thアルバム以降は4thアルバムまでの音楽性をさらにメロディアスに、そして攻撃的に進化させている。この頃になると、デスラッシュ風の曲が多くなった。

メンバーのアット・ザ・ゲイツ以外の活動

備考

  • 2ndアルバム以前は、アンダース・ビョーラーとアルフ・スヴェンソンの2人を中心に作曲を行い、作詞は、トーマス・リンドバーグかアルフ・スヴェンソンが担当していた。アルフ・スヴェンソン脱退後は、アンダースとヨナスのビョーラー兄弟を中心に作曲が行われるようになり、作詞は全曲トーマス・リンドバーグが行うようになった。
  • 1stアルバム、2ndアルバムはピースヴィル・レコード傘下のデフ・レコードよりリリースされ、3rdアルバムはピースヴィルよりリリースされたが、いずれもピースヴィルより再発されている。
  • 2002年には4thアルバムに未収録曲、カヴァー曲、デモテイク(チューニングがリリーステイクと異なる)を追加、2006年にはアルバム制作時のことを振り返った談話や当時のプロモーションビデオを収録したDVDを更に追加し、イヤーエイク・レコードより再発された。また、このDVD付きのものは、トイズファクトリーから、日本盤もリリースされた。
  • 日本では、1st~3rdがポニーキャニオンから、4thアルバムがトイズファクトリーから日本盤がリリースされていたが、現在は、前述の4thアルバム再発盤を含めて、すべて廃盤になっている。特にポニーキャニオン盤は、現在入手困難である。
  • デモEP『Gardens of Grief』は1991年にドロレス・レコードよりアナログレコード盤がリリースされた。始めてCD音源となったのは、1995年のブラック・サン・レコードによる再発盤である。また2004年にはトーマス・リンドバーグ、アルフ・スヴェンソンがアット・ザ・ゲイツ結成前に在籍していたグロテスクとのスプリット盤として再発された。またピースヴィル・レコードからも「Souls of the Evil Departed」「All Life Ends」の2曲のみ収録した7"EPが666枚限定でリリースされた。
  • 1996年の解散前は一度も来日することはなかったが、メイン・ソングライターのビョーラー兄弟が在籍しているザ・ホーンテッドでアット・ザ・ゲイツの曲が演奏される事があり、過去のザ・ホーンテッドの日本公演で「Blinded By Fear」(『Slaughter of the Soul』収録)が演奏された事があった[10]。また、再結成後の2008年には、アット・ザ・ゲイツとしての来日が実現している[11]
  • アット・ザ・ゲイツが3rdアルバム、4thアルバムでレコーディングを行ったスウェーデンヨーテボリにあるスタジオ・フレッドマンプロデューサーフレドリック・ノルドストロームはその後、シーンを牽引したイン・フレイムスダーク・トランキュリティアーチ・エネミーらの作品を多く手掛けたことから、彼らの下へ世界各地のヘヴィメタルバンドが次々とレコーディングに訪れるようになった。
  • アーチ・エネミーのドラマーであるダニエル・アーランドソンはエイドリアン・アーランドソンの実弟である。

メンバー

現メンバー

旧メンバー

  • アルフ・スヴェンソン (Alf Svensson) - ギター (1990-1993)
  • ヨナス・ストールハマール (Jonas Stålhammar) - ギター (2017-2022)
  • トニー・アンダーソン (Tony Andersson) - ベース (1992)
    • 1stアルバム『The Red in the Sky Is Ours』の裏ジャケットにクレジットされているが、アルバムには参加していない。

タイムライン

セッションメンバー

  • イエスパー・ヤロルド (Jesper Jarold) - ヴァイオリン
    • 1stアルバム『The Red in the Sky Is Ours』に参加。
  • マッティ・カルキ (Matti Kärki) - ヴォーカル
  • ピーター・アンダーソン (Peter Andersson) - チェロ
    • 3rdアルバム『Terminal Spirit Disease』の「The Swarm」に参加。
  • イルヴァ・ヴァールステッド (Ylva Wåhlstedt) - ヴィオラ
    • 3rdアルバム『Terminal Spirit Disease』の「And The World Returned」に参加。
    • 他にイン・フレイムスの1stアルバムにも参加している。
  • アンディ・ラ・ロック - (Andy La Rocque) - ギター
    • 4thアルバム『Slaughter of the Soul』の「Cold」でギターソロでゲスト参加。
    • キング・ダイアモンドで活動中、デスの5thアルバムにも参加している。

ディスコグラフィー

アルバム

シングル・ミニアルバム

ライブアルバム

ベスト

映像作品

コンピレーション

  • 1993年 V.A. / Deaf Metal Sampler
  • 1994年 V.A. / No Peace At All
  • 1995年 V.A. / Slatanic Slaughter

脚注

  1. ^ a b At the Gates reviews, music, news - sputnikmusic・2015年6月21日閲覧。
  2. ^ a b c d AT THE GATES|Biography”. オールミュージック. All Media Guide. 2015年6月21日閲覧。
  3. ^ ただし、ブックレットの方には、ヨナス・ビョーラーがベーシストとしてクレジットされている。
  4. ^ 『Slaughter of the Soul』のDVDに収録されたインタビューでの、トーマス・リンドバーグの回答より。
  5. ^ http://atthegates.se/at-war-with-reality-released-today/ 2014年11月29日閲覧。
  6. ^ Guitarist ANDERS BJÖRLER Quits AT THE GATES; Rest Of Band Vows To Carry On”. blabbermouth.net (2017年3月8日). 2017年3月20日閲覧。
  7. ^ a b AT THE GATES Announces New Guitarist; Next Album To Be Recorded This Winter”. blabbermouth.net (2017年9月11日). 2017年9月19日閲覧。
  8. ^ At the gates have chosen to part ways with...”. At the Gates Official Facebook (2022年7月24日). 2022年9月18日閲覧。
  9. ^ https://blabbermouth.net/news/at-the-gates-announces-return-of-founding-guitarist-anders-bjorler
  10. ^ その音源は、ザ・ホーンテッドのライブアルバム『Live Rounds in Tokyo』の日本盤に収録されている。
  11. ^ その模様は、『The Flames of the End』に、3曲分のみだが収録されている。

外部リンク


「At the Gates」の例文・使い方・用例・文例

Weblio日本語例文用例辞書はプログラムで機械的に例文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

At the Gatesのお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



At the Gatesのページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアのアット・ザ・ゲイツ (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。
Tanaka Corpusのコンテンツは、特に明示されている場合を除いて、次のライセンスに従います:
 Creative Commons Attribution (CC-BY) 2.0 France.
この対訳データはCreative Commons Attribution 3.0 Unportedでライセンスされています。
浜島書店 Catch a Wave
Copyright © 1995-2025 Hamajima Shoten, Publishers. All rights reserved.
株式会社ベネッセコーポレーション株式会社ベネッセコーポレーション
Copyright © Benesse Holdings, Inc. All rights reserved.
研究社研究社
Copyright (c) 1995-2025 Kenkyusha Co., Ltd. All rights reserved.
日本語WordNet日本語WordNet
日本語ワードネット1.1版 (C) 情報通信研究機構, 2009-2010 License All rights reserved.
WordNet 3.0 Copyright 2006 by Princeton University. All rights reserved. License
日外アソシエーツ株式会社日外アソシエーツ株式会社
Copyright (C) 1994- Nichigai Associates, Inc., All rights reserved.
「斎藤和英大辞典」斎藤秀三郎著、日外アソシエーツ辞書編集部編
EDRDGEDRDG
This page uses the JMdict dictionary files. These files are the property of the Electronic Dictionary Research and Development Group, and are used in conformance with the Group's licence.

©2025 GRAS Group, Inc.RSS