Anti-tank dogとは? わかりやすく解説

Weblio 辞書 > 辞書・百科事典 > 百科事典 > Anti-tank dogの意味・解説 

対戦車犬

(Anti-tank dog から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/05/26 04:36 UTC 版)

ソ連軍の訓練校の対戦車犬たち。1931年、撮影。

対戦車犬(たいせんしゃけん)とは、第二次世界大戦中に赤軍が考案した対戦車兵器動物兵器)。別名、戦車犬(せんしゃけん)、爆弾犬(ばくだんけん)、地雷犬(じらいけん)[1]

ロシア語Противотанковая собака からの訳語である。英語では Anti-tank dogs、あるいは dog mines (犬地雷)と訳されている。

概要

の背中に爆薬と起爆スイッチとなる木製レバーを設置し、レバーを垂直に立てた状態で戦車へ走らせる。犬が戦車の下に潜り込んだところで起爆レバーが倒れ、敵戦車を破壊する計画であった[1]

犬の訓練にはオペラント条件づけを利用した。戦車や装甲車輛の下に犬の餌を置き、空腹の犬が餌を目当てに戦車の下に潜り込むように教え込むというものである。実戦では空腹の犬を敵戦車の前に放つだけで自発的に爆弾を運ぶことが期待されたが、精度は高いとは言い難く、たとえ訓練を積んだ犬といえども、敵戦車が走行する際に発する激しい騒音に怯え、逃げ去ったり自陣に駆け戻り自爆するなど、扱いの難しい兵器であった。また当初、訓練に自軍の戦車を用いたため、それに対する条件反射が成立してしまい、ドイツの戦車は無視して、訓練通りソ連の戦車に向かって突っ込んでしまうという大きな失敗もあった[2]。その後訓練法が改善され、ソ連戦車は主にディーゼルエンジン、ドイツ戦車はガソリンエンジンだったため、ガソリンの臭いに対しての条件反射をすりこんだ。

対戦車犬への対抗策

ドイツ軍は対戦車犬を Hundemine(フンデミーネ、ドイツ語で「犬地雷」の意)と呼び、警戒した。小型で高速な犬は戦車砲や機関銃の最低俯角よりも下を移動することから、視認できても攻撃を防ぐことが難しく、脅威であった。対抗策として、戦車に火炎放射器を搭載し、対戦車犬を焼き払うことが試みられた。しかし、警戒のあまり、ただの犬に出くわして、ドイツ軍側がこれを銃撃したため、敵に気付かれ奇襲が失敗したケースもあった。

火炎放射器の攻撃に曝された対戦車犬のうち、何頭かの対戦車犬は訓練通り敵戦車の撃破を果たしているが、動物は本能的に火を恐れるため、ほとんどの対戦車犬は逃走したり、あるいは自陣に舞い戻り自爆するなど、赤軍の被害が拡大していった。

特に1942年に起こった戦闘では、ドイツ軍の火炎放射に放たれた対戦車犬達はパニックに陥り、自陣に逃げ帰って自爆して赤軍部隊に甚大な被害を与え、遂には撤退を余儀なくされるに至った。この一件以降、対戦車犬は実戦の場から姿を消している[3]

他国での事例

1943年にアメリカ軍では、敵の陣地を破壊するために、犬を訓練して爆薬を運ばせる試みが行われた。しかしソ連赤軍と同様に所期の効果は得られず、計画は同年12月に中断された。

イラク戦争の大規模戦闘終結後、2007年頃に反政府武装勢力が爆弾犬を使用している。犬に背負わせた爆薬を無線で遠隔起爆するというものだが、生物を食用以外の目的で殺す行為がイスラムの戒律に反するとして、市民からは批判された。

脚注

関連項目

参考文献



「Anti-tank dog」の例文・使い方・用例・文例

Weblio日本語例文用例辞書はプログラムで機械的に例文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「Anti-tank dog」の関連用語

Anti-tank dogのお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



Anti-tank dogのページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアの対戦車犬 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。
Tanaka Corpusのコンテンツは、特に明示されている場合を除いて、次のライセンスに従います:
 Creative Commons Attribution (CC-BY) 2.0 France.
この対訳データはCreative Commons Attribution 3.0 Unportedでライセンスされています。
浜島書店 Catch a Wave
Copyright © 1995-2025 Hamajima Shoten, Publishers. All rights reserved.
株式会社ベネッセコーポレーション株式会社ベネッセコーポレーション
Copyright © Benesse Holdings, Inc. All rights reserved.
研究社研究社
Copyright (c) 1995-2025 Kenkyusha Co., Ltd. All rights reserved.
日本語WordNet日本語WordNet
日本語ワードネット1.1版 (C) 情報通信研究機構, 2009-2010 License All rights reserved.
WordNet 3.0 Copyright 2006 by Princeton University. All rights reserved. License
日外アソシエーツ株式会社日外アソシエーツ株式会社
Copyright (C) 1994- Nichigai Associates, Inc., All rights reserved.
「斎藤和英大辞典」斎藤秀三郎著、日外アソシエーツ辞書編集部編
EDRDGEDRDG
This page uses the JMdict dictionary files. These files are the property of the Electronic Dictionary Research and Development Group, and are used in conformance with the Group's licence.

©2025 GRAS Group, Inc.RSS