AMP化と病原性
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2018/12/23 08:50 UTC 版)
細菌のエフェクタータンパク質はAMP化反応を用いることが知られている。VopSやIbpA、DrrAといったエフェクターは、Rho、Rab、Arfのようなアクチン細胞骨格の動態変化や小胞輸送に関与するGTPアーゼを標的とする。これらのGTPアーゼは食作用などの機構にも関与しており、病原体の感染の際に宿主の食作用をコントロールする。 腸炎ビブリオ (Vibrio parahaemolyticus) のVopSタンパク質は、Ficドメインを持っている。VopSはRho GTPアーゼのswitch1領域のスレオニン残基を修飾する。スレオニン残基のAMP化が行われると、立体障害によってRhoは下流の因子と相互作用ができなくなる。その結果、宿主はアクチン骨格を制御できなくなり、cell roundingが起こる。Histophilus somni (Haemophilus somnus) のIbpAタンパク質はC末端に2つのFicドメインを持つ。IbpAは、VopSと同様にRho GTPアーゼのswitch1領域をAMP化し、その結果PAKといった下流因子との相互作用が妨げられる。 レジオネラ (Legionella pneumophila) のDrrAタンパク質は、ATaseドメインを持っており、Rab1b GTPアーゼのswitch2領域をAMP化する。その結果、GTPアーゼ活性化タンパク質(GAP)との相互作用が妨げられる。DrrAは、ATaseドメインのほかにGEFドメインを持っている。DrrAのGEFドメインによってRab1bはGTP結合型へと変換されるが、AMP化によってGAPとの相互作用は阻害されるため、Rab1bは活性化状態であるGTP結合型に固定された状態となる。
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